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講演会「サルコジ大統領の政策」

日仏経済交流会(パリクラブ) 主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)、笹川日仏財団 共催

サルコジ大統領は、「過去との断絶」(Rupture) を標榜し、矢継ぎ早に革新的な政策を発表しています。その在任期間はまもなく2年となります。この段階で大統領の諸政策のBILANを検討致しました。ア メリカのサブ・プライムローン問題に端を発した世界経済、あるいはフランス経済の諸問題にフランスはどう対処しつつあるのか? 1月29日には大規模なス トも行われ、また現在の労働組合以外の極左組合結成の動きもあります。こうした問題にも触れて行きました。

今回の討論会では、サルコジ大統領の諸政策について、フランス政治にお詳しいラショッセ会頭にお話頂き、モリス公使のコメントも頂きながら議論を深めました。

日時 2009年3月18日(水) 18:30~21:00
スピーカー ミシェル・ラショッセ 氏
在日フランス商工会議所会頭
コメンテーター ルイ・ミシェル・モリス 氏
経済公使、在日フランス大使館
アニメーター 沢田 義博 氏
パリクラブ理事、経済社会委員長
プログラム 18:30~20:00 講演会
20:00~20:00 懇親会 (ビュッフェ形式)
場所 日本財団ビル 1階バウ・ルーム及び8階宴会場
東京都港区赤坂1-2-2 03-6229-5558
最寄り駅 【東京メトロ 銀座線】虎ノ門駅 (3番出口)
【東京メトロ 銀座線・南北線】溜池山王駅 (9番出口)
【東京メトロ 丸ノ内線・千代田線】国会議事堂前駅 (3番出口)
使用言語 仏語

講演会「『女性的価値』は企業経営を刷新するか?」 「フランス経済はなぜ危機によく持ちこたえているのか?」

日仏経済交流会 (パリクラブ) 主催
在日フランス商工会議所 (CCIFJ)・ ESSEC・笹川日仏財団 共催

日時 2009年11月19日(木) 18:30~20:00
講演会 1.「女性的価値」は企業経営を刷新するか?(50分)
講師:アニエス・アルシエ女史(フランス国際技術協力庁長官)
講演内容:アルシエ女史は近著『女性指数が経営を変える』(NTT出版)で、「『女性的価値』は今や時代の流れであり、その活用が企業経営へインパクトを もたらす」と説いています。これはいわゆる女性特有なマネジメントスタイルを意味するものではありません。同女史が説く、この「女性的価値」が経済的危機 のダメージから脱しようともがいている日本企業にもたらすものは果たして何か?

2.フランス経済はなぜ危機によく持ちこたえているのか?(20分)
講師:瀬藤澄彦氏(ジェトロ・パリ・センター特別顧問)
講演内容:昨日までグローバル競争優位に立脚できない、コーポラテイズムの蔓延する資本主義と揶揄されてきたフランス経済がなぜこの危機に耐えているの か。この「フ レンチ・パラドックス」を、フランス式内需主導経済のメカニズムから説明する など、長年フランス経済を身近に見つめてきた瀬藤氏が解読します。
場所 日本財団ビル 2階
港区赤坂1-2-2
Tel:(03)6229-5111
アクセス (日本語)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
(English)
http://www.nippon-foundation.or.jp/eng/who/to_contact.html
最寄り駅 【地下鉄銀座線】虎ノ門駅 3番出口より徒歩5分
【地下鉄銀座線・南北線】溜池山王駅 9番出口より徒歩5分
【地下鉄丸ノ内線・千代田線】国会議事堂前駅 3番出口より徒歩6分
使用言語 フランス語、日本語(同時通訳付)
 

■ご報告

日仏経済交流会(パリクラブ)、在日フランス商工会議所(CCIFJ)、ESSECおよび笹川日仏財団共催の講演会が、2009年11月19日18時30分より虎ノ門の日本財団ビル会議室で開催され、60名ほどの聴衆が参加しました。

「『女性的価値』は企業経営を刷新するか」をご講演されたフランス国際技術協力庁長官のアニエス・アルシエ女史は、人の耳に意見を傾けたり、些細なサイン を見逃さない、あるいは情報を共有する、チームワークを発揮するなどの「女性的価値」は、性別によらず誰しもが持っている資質であること、そしてこれらを うまく組織に取り入れる能力を「女性指数」と定義。NECの関本忠弘氏、資生堂の福原義春氏あるいは那須秀康といった経営人の言葉を引き、日本の大企業は 女性的価値を理解し、かつ備えていて「女性指数」が高いのではないか、と語りました。

前ジェトロ・リヨン事務所長の瀬藤氏は、「フランス経済はなぜ危機によく持ちこたえているのか」において、これをアメリカなどではフレンチ・パラドックス と呼んでいるが、実はパラドックスなどではなく、きちんとした裏付けがあると分析、その理由として、国民負担率の高さ、高い出生率、独特な農業生産輸出構 造、低い家計債務、ユニバーサル・バンキングの存在を挙げ、それぞれについて簡潔にかつ明瞭に説明されました。

講演会最後には、パリクラブ久米会長よりアルシエ長官に対し、今回の講演のお礼として有田焼のお皿が贈呈されました。その後会場を移し懇親会が催され、 ESSECから差し入れられたボジョレー・ヌーボーを片手に、参加者と講師、あるいは参加者同士の間で、盛んな交歓が行われました。

(文責:伊藤)

講演会「都市における屋外通知及び新しい形状のメディア」 「人目を引く屋外広告:会社商標のイメージ向上に資するメディア」

日仏経済交流会(パリクラブ) 主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ) 共催

パリや東京等の大都市における、看板等を利用した広告は、常に都市の美観維持の観点から、適度な表現形態・方法が求められます。この分野で多くの実績のある、フランスの2つの企業の日本代表にお越し頂き、各社の取組み、仏日の違い等をご説明頂きました。

MCDecauxは、JCDecauxSAと三菱商事の合弁会社として2000年に設立されました。大型商業施設における広告パネル (モールスケープ)と、バス停における広告パネル (シティスケープ)の設置の実績があります。また、JCDecauxがパリで運営し、大成功をおさめている、貸自転車事業である、Vélib (Vélo en libre-service)についても、時間が有ればご説明頂きます。

DEFI Groupは1975年にフランスで設立され、34年 (フランス国外では22年)の実績を持つ、国際的広告企業です。30ヶ国、55都市で展開しています。現在は米国のClear Channel Outdoor社 (1901年設立)の一部門になっています。

日時 2009年11月5日(木) 18:30~21:00
講演会 1. 都市における屋外通知及び新しい形状のメディア
スピーカー:MCDecaux 代表取締役社長 トマ・ゲドロン氏
経歴:工学修士、INSEADにてMBAを取得、1998年JCDecaux入社、欧州、アジア、韓国、アジア、勤務を経て、2006年より現職。

2. 人目を引く屋外広告:会社商標のイメージ向上に資するメディア
スピーカー:DEFI Group 日本代表部担当 トマ・ソヴァージュ氏
経歴:パリ大学ドーフィヌ校経済学部卒業、英国ブラッドフォードマネージメントスクールにて国際ビジネス修士取得、2007年東京のEU事務所の貿易部門にて研修、2008年より現職
プログラム 18:30~20:00 講演会 1階ホール
20:00~21:00 懇親会 (ビュッフェ形式) 1階フォアイエ
場所 日仏会館ビル 1階ホール 及び 1階フォアイエ
東京都渋谷区恵比寿3-9-25
案内図:http://www.mfjtokyo.or.jp/guide/guide_002.html
最寄り駅 【JR/山手線・埼京線】恵比寿駅 東口下車 恵比寿ガーデンプレイス方面へ 徒歩10分
【東京メトロ/日比谷線】恵比寿駅 1番出口 アトレ・JR恵比寿駅東口を経由 徒歩12分
使用言語 仏語、資料は英語
 

■ご報告

屋外広告メディア分野で活躍するフランス企業 エムシードゥコーとDEFIグループ

パリや東京等の大都市における、看板等を利用した広告は、常に都市の美観維持の観点から、適度な表現形態・方法が求められる。2009年11月5日、日仏 会館1階ホールを会場に開催された、日仏経済交流会(パリクラブ)主催 在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催の講演会に、この分野で多くの実績のあ る、フランスの2つの企業、エムシードゥコーとDEFIグループの日本代表にお越し頂き、各社の取組み、仏日の違い等をご説明頂いた。

エムシードゥコーの代表取締役社長、トマ・ゲドロン氏は、「屋外広告の認識が変わる」をテーマに発表を行なった。エムシードゥコーは、仏ジェーシードゥ コーと三菱商事の合弁会社として2000年に設立された。大型商業施設における広告パネル(モールスケープ)と、バス停における広告パネル(シティスケー プ)の設置の実績を持つ。モールスケープはイオンやイトーヨーカドーで、シティスケープは岡山、横浜、名古屋、神戸で実績がある。最近は、香りの出る広 告、双方向で情報の交換が出来る広告も設置した。また、ジェーシードゥコーがパリで運営し、大成功をおさめている、貸自転車事業である、「ヴェリブ」 (Vélib:Vélo en libre-service)は、2年間で5千4百万人の利用者を数え、社会現象にもなった。ジェーシードゥコーの子会社であるシクロシティ株式会社が、 富山県富山市とバイクシェアリング事業の導入について合意し、実施に向けた契約を締結している。

DEFIグループの日本代表部担当、トマ・ソヴァージュ氏は、「人目を引く屋外広告:会社商標のイメージ向上に資するメディア」をテーマに発表を行なっ た。DEFIグループは1975年にフランスで設立、34年(フランス国外では22年)の実績を持つ国際的広告企業で、現在30ヶ国、55都市で展開中。 全売上の20%が日本企業からであり、日本事務所を開設する事になった。現在、米国のClear Channel Outdoor社(1901年設立)の一部門として活動している。広告設置は、大都市の一等地(銀座や、ニューヨークのタイムズスクエア、ロンドンのピカ デリーサーカス)に、長期的に、目立つ看板を設置する事を心掛けている。

ニューヨークのタイムズスクエアの1900年代から現在までの、屋外広告の変遷をスライドで紹介し、次代と共に、ネオンやビデオ画面が出現した事を検証し た。東京ではOKであるが、パリ市内では、点滅、消去、ビデオ等のあらゆる動画による広告は禁止されている。また、東京ではOKであるが、パリ中心部で は、光る広告は禁止されている。日仏で広告に関する規制は、このように大変異なっている。今後は、省エネを考慮した、エコロジカルが広告が必要とされるだ ろう。

以上

日仏米の企業にみる購買戦略の違い―購買・調達・サプライチェーンを担う社員に求められる資質は何か―

日仏経済交流会(パリクラブ)・在日フランス商工会議所(CCIFJ) 共催

日時 2009年10月28日(水) 18:00~19:00
講師 特定非営利活動法人 日本サプライマネジメント協会TM
理事長 上原 修氏
講演の要旨 資材調達、購買という仕事は、企業においては長らく縁の下の力持ちという存在で、経営者や株主からの期待はある程度ある ものの、販売や営業、さらには人事、財務に比べて目立つ存在ではありませんでした。  しかし、先進国ではここ10数年、売上増加が期待できない中で、企業の価値創造、利益創出のために、戦略的な資材調達は経営に欠かせない存在として見直 されてきています。
ここで問題となるのは、どういう人物がこの業務をこなすのに適切かということです。
日仏米の3カ国の企業の購買パーソンの資質を比較して、そこから企業経営者の戦略の違いをご覧頂きました。
講師の紹介

上原修先生は、国内最大の資源エネルギー会社で購買・物流管理、原料調達、製品マーケティング(欧米)、海外事業企画の各 部門を経験され、またフランス留学、アフリカ駐在、アメリカ(東海岸、西海岸)駐在を経た後、複数の外資系企業で常務執行役員・購買本部長を歴任されまし た。2003年4月、ISM(米サプライマネジメント協会)の日本支部の法人化と同時にその代表取締役に就任され、2006年12月1日、同法人の組織改 正に伴って特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会TMの理事長に就任されました。日本で初めてC.P.M.資格を導入し教育したビジネストレー ナーとして有名です。

・C.P.M. MBA JGA ・仏パリ大学院ESSECビジネススクール客員教授
・米アリゾナ州立大学CAPS日本代表研究員
・法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 兼任講師
・仏グルノーブル大学院客員教授
“La Lettre des Achats” 日本における編集委員

主な著書
「グローバル調達戦略経営」日本規格協会2008年10月
「購買・調達の実際」日経文庫2007年7月

場所 NTTコミュニケーションズ株式会社 セミナー室
東京都港区海岸1-2-20 汐留ビルディング
http://www.ntt.com/aboutus/B02-010-shiodome.html
最寄り駅 【JR山手線・京浜東北線】浜松町駅 北口/下車徒歩3分
【東京モノレール】浜松町駅 中央口改札/下車徒歩3分
【都営大江戸線・浅草線】大門駅 B1出口/下車徒歩3分
使用言語 講演―日本語(質疑応答は、仏語、英語も可)
 

■ご報告

2009年10月28日18時より汐留ビルのNTTコミュニケーションズの会議室で、日仏経済交流会(パリクラブ)と在日フランス商工会議所 (CCIFJ)共催で「日仏米の企業にみる購買戦略の違い:購買・調達・サプライチェーンを担う社員に求められる資質は何か」と題して講演会が開催され た。 講演会では、パリクラブ会員で特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会理事長の上原修氏に「日仏米の企業における購買戦略の違い」というテーマで お話をしていただいた。

資材調達、購買という仕事は、企業においては長らく縁の下の力持ちという存在で、目立つ存在ではなかった。しかし、先進国ではここ10数年、売上増加が期 待できない中で、企業の価値創造、利益創出のために、戦略的な資材調達は経営に欠かせない存在として見直されてきている。この企業の購買戦略の違いが購買 担当者の資質の違いをもたらしていることなど、興味深いお話をいただいた。日仏米の3カ国の企業の購買パーソンの資質を比較し、そこから企業経営者の戦略 の違いが分析された。

講演の最後には、参加者より活発な意見や質問が出された。また、講演会に引続いて懇親会が催され、講師と参加者の交流が図られた。

「古代カルタゴとローマ展」見学と大使公邸での懇親会のご案内

日仏経済交流会(パリクラブ)・在日フランス商工会議所(CCIFJ) 共催

日時 2009年10月13日(火) 19:00~
企画趣旨 現在、「古代カルタゴとローマ展」が日本国内8か所で順次開催されています。今回の企画はパリクラブ理事の森由美子さんのご紹介で実現いたしました。
2800年前、フェニキア人によって建設され、東西地中海貿易基地として栄華を極めた都市国家カルタゴの遺品や芸術品160点が存分にお楽しみ頂きました。
また見学の後は、チュニジア大使のご招待で公邸での懇親会が行われました。世界遺産カルタゴやチュニジア事情についてお話を伺い、チュニジアのお料理もご賞味頂きました。
スケジュール 19:00~19:45 「古代カルタゴとローマ展」見学(大丸ミュージアム)
 - 19:00 – 会場入口にて受付、19時45分までチュニジア展を見学
 - 19:45 – 見学終了後、チュニジア大使館まで各位ご移動
20:15~22:00 チュニジア大使との懇親会(市ヶ谷大使公邸)
 - 冒頭に大使のスピーチ(言語:フランス語)
展覧会場所 大丸ミュージアム・東京
千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店10階
http://www.daimaru.co.jp/
アクセス 最寄り駅 東京駅
懇親会場所 在日チュニジア共和国大使館
東京都千代田区九段南3-6-6
アクセス 参加者には、大使館よりご招待状及びアクセス地図を郵送

講演会「多極時代と欧州、そしてフランス」

日仏経済交流会(パリクラブ) 主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)、笹川日仏財団 共催

【講演要旨】

米国の圧倒的優位が崩れ国際政治・経済構造の多極化が進んでいます。中国、インドなどの新興国が大きく浮上し、さらに主権国家以外の組織やネットワークが 影響力を持ち始めました。こうした多極の時代は、欧州そしてフランスにとってどういう意味を持つのでしょうか。日欧、日仏関係には何が期待されているので しょうか。日本経済新聞のジャナリストとして欧米アジア3地域に駐在し、国際経験豊かな小池教授により、この問題を読み解いて頂きました。

【経歴】

1974年横浜国立大学経済学部卒、日本経済新聞社に入り、シンガポール支局長、ワシントン支局長、編集委員、国際部長、日経ヨーロッパ社長(ロンドン駐 在)、論説副委員長などを経て、2009年4月から関西学院大学総合政策学部教授。世界経済フォーラム・メディアリーダー、日本公共政策学会理事、ケンブ リッジ大学クレアホール終身会員。日EU協力に関する有識者懇談会座長や「グローバル・ソーシャル・リスポンシビリティー(GSR)」研究会(日本経済研 究センター)副主査も務める。 著書は『アジア太平洋新論』(日経)、『政策形成の日米比較』(中央公論新社)など。和歌山県新宮市生まれ、58歳。

日時 2009年6月9日(水) 18:30~21:00
スピーカー 小池 洋次 氏
関西学院大学総合政策部教授
アニメーター 綿貫 健治
パリクラブ理事
プログラム 18:30~20:00 講演会 1階バウ・ルーム
20:00~21:00 懇親会 8階宴会場 (ビュッフェ形式)
場所 日本財団ビル 1階バウ・ルーム及び8階宴会場
東京都港区赤坂1-2-2 03-6229-5558
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
最寄り駅 【東京メトロ 銀座線】虎ノ門駅 (3番出口)
【東京メトロ 銀座線・南北線】溜池山王駅 (9番出口)
【東京メトロ 丸ノ内線・千代田線】国会議事堂前駅 (3番出口)
使用言語 日本語。通訳なしでキーワードは英語化したレジメ使用。
 

■ご報告

要約を掲載致します。

【自分とフランスの係わり合い】

私自身はフランス語の専門家ではないが、自分にとってフランスは特別な国である。個人的な旅行等の経験も踏まえて、結果的にフランスは好きな国なの でフランス贔屓になってしまう。去年の6月までロンドンに日経欧州の社長として駐在していたが、その時にも何度かフランスを訪問した。

【多極論とは】

多極化という考え方は以前から存在していたもので、多くの文献からもそれは見て取れるが、この時期に重要な時代背景として以下のようなものが挙げられる。

  1. イラク戦争:アメリカ/イギリスを中心とした価値判断が成された。 最終的にこの件で米国=ブッシュ政権の権威は地に落ちてしまったわけであり、これは政治的局面から見た一つの多極化の一つの背景である。
  2. 金融危機/経済危機:昨年のリーマンブラザーズの破綻に端を発したもの。経済の運営/構造、社会構造を表すモデルとして、 ContinentalとAnglo-Saxon モデルがある。影響を一番受けたのがAnglo-Saxonの米英モデルであり、フランスは全く影響を受けなかった。 この経済危機のお陰でフランスモデルがContinentalモデルの代表として注目されるに至ったのは事実である。

【多極化時代に於ける系譜】

  1. 過去の帝国は、ローマ帝国、大英帝国しかりで、軍事的に手を広げすぎてしまい、その結果から来る経済的コストに耐えられなくなり、衰えていくものであった。
    米国はハード、ソフト両面でパワーを持ち、かつての英国とはまったく異なるという意見もあったが、湾岸戦争勝利の後、ジョージ・ブッシュの時代にIT産業隆起時代の黒字を食い潰す格好と成った。
  2. 21世紀は日米欧接戦の時代。
    ・21世紀の世界経済で舞台の中央に立つのはヨーロッパだ。
    ・世界最大の市場を握っている者が、世界貿易のルールを決める。
    現段階ではこの予測が正しかったかは不明だが、米国中心からEU統合等を経た欧州が強い力を持ち始めて来ているのは事実。
  3. 地域大国が多くなった
    中国、日本、EU、ブラジル、インドネシア、インド等々 その他の国々が力を付けて来ているので米国も“One of them”になる時が来るであろう。

【長期展望】

前述の状態が現実のものとなるのがいつになるかが問題。
オバマ政権の誕生もこの流れの一つとして語らなければならない。

【オバマ新政権誕生の意味】

  1. 危機・戦争時の大統領=偉大な大統領として歴史に残る。
    3人の偉大な大統領=ワシントン(1789年就任)、リンカーン(1861年)、フランクリン・ルーズベルト(FDR、1933)⇒就任年度が72年周期。次がオバマか。
  2. オバマ氏が登場したこと自体が偉大さの証明と言える。
  3. 歴史的意味
    グローバル化を象徴し、危機を背景に登場した癒し型のリーダー。 国内外で色々な勢力を融和するような人が求められていた。 この流れで欧州と米国の関係は改善方向に向かっている。

【フランスや日本にとっての意味】

イギリスにとってのヨーロッパ大陸は日本にとってのアジア大陸と似ている。 イギリスの過去、現在、未来への政策から日本はもっと学べるはず。
歴史的には大陸よりも米国重視型であった。(イラク戦争での米国支持) ブラウン政権になって、ヨーロッパに組み込まれていく傾向が強まり、指導力が弱まって来た。それに対して台頭して来たのが大陸側で、経済のドイツと外交で はフランス。フランスは独自外交の道を取れる国。軍事力(核)を持っている背景もある。
多極化の時代を迎えて日本にとってはヨーロッパとの関係、特にフランスとの関係が外交面で重要になって来る。 米国との同盟は生命線であるが米国の力が弱まってくる中、外交能力をフランスから学ぶ点は多い。 多極化の時代に地域大国がいくつも出て来ると衝突も起こりえる中で重要なことを本日の結論として挙げていくと:

  1. 一極支配から多極化への過渡期をどうマネージするか。
  2. 新興国の台頭にどう対処すべきか。
  3. 地域大国である日仏関係の強化で、協調し合えば相当なことが出来るはず。

ということになると思う。