【レポート】シャンソン“日仏文化の架け橋”

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フランスの歌といえばシャンソン。フランス人、そして世界中の人に愛され、人の心象風景を描く歌詞と哀愁に満ちたメロディを持つ歌。それは、古くから日本の文化人にも愛され、シャンソンを通じた文化交流が行われてきました。今回は若手シャンソン歌手の旗手として活躍中のNEROさんと劉玉瑛さんをお迎えして、その歴史や魅力、そして最新のシャンソンについて語り合っていただきました。

NEROさんと劉玉瑛さん

「歌うのには慣れていますが、講演ははじめて。でも楽しみです」と語るシャンソン歌手のNEROさん(写真右)と劉 玉瑛(写真左)さん。

まずは、お二人にシャンソンの魅力をうかがいます。NEROさんがシャンソンと出会い、そして歌手になるまでのきっかけ、そしてシャンソンを通じて伝えたいこととは?

「母(注:戸川昌子さん)がシャンソン歌手だったこともあり、子供の頃からフランスで生まれた音楽だと意識することはなく、流行曲を聞くような感じで聞いていたんです。でも、それは日本の歌謡曲よりスタイリッシュで、訳詞も背徳的で退廃的な雰囲気が出ていて、子供ながらに印象深かった。これが僕のシャンソンの基礎を作ったのだと思います。一時期はロックを歌っていたこともありましたが、自分の音楽のルーツであるシャンソンに戻ってきて今に至っています。シャンソンの魅力はその幅広い世界観を持つ詩の世界。時にはゲイだったり、娼婦だったり、あらゆる風景を歌にすることができるんです。私は、そんなシャンソンの持つ詩情に溢れた世界をもっともっとみなさんに感じて欲しいですね」

次は劉玉瑛さん。2006年には第22回日本アマチュアシャンソンコンクールでグランプリを受賞。パリ祭にも出演する日本シャンソン界のホープ。彼女が語るシャンソンの魅力とは?

「シャンソン歌手だった叔母が出演していたシャンソンのコンクールに行った時が出会いです。その音楽と詩の世界に惹かれてこの世界に入りました。フランスの歴史や文化を深く知れば知るほどシャンソンの奥深さを感じますね。NEROさんがおっしゃるようにシャンソンはすごく広い世界を歌っています。でも、堅苦しいとか難しいとか思わないで楽しんで聴いていただきたいんです。日本では、シャンソンというと難しいイメージがありますが、そんなことはありません。気軽に聞いて、ぜひ楽しんでいただきたいんです」

と、お二人は、シャンソンにはフランスならではの文化的な世界観にとらわれず、誰でも楽しめる娯楽性もあり、堅苦しく感じることなく聞いて欲しいとおっしゃっていました。