【レポート】ドキュメンタリー・フィルム『霧の向こう』(Au-dela du nuage)上映会とフランス人女性監督との意見交換会

2015年9月11日(金)
恵比寿・日仏会館1階ホールにて

上映会の挨拶に立つ瀬藤会長。

上映会の挨拶に立つ瀬藤会長。

2011年3月11日、宮城県の東側沖を震源とした巨大地震。マグニチュード9という日本観測史上最大の地震は、大きな揺れとともに巨大な津波を発生させ東北の街を飲み込みました。
その時、福島第一原発も津波に飲み込まれ、すべての外部電源が絶たれたことにより、福島第一原子力発電所事故が発生。日本列島は未曾有の災禍に襲われることになりました。
まだ記憶に新しい、3.11。当時、フランスから日本の様子を見ていたのがフランス人映画監督ケイコ・クルディさん。当時、進行中だったプロジェクトがあったにもかかわらず、居てもたってもいられずに、日本行きの飛行機に飛び乗ったそうです。「何が起きているの?」「日本はどうなってしまうの?」空席だらけの飛行機の中で思い悩んでいたそうです。

今回のイベントで上映するドキュメンタリー映画は「霧の向こう*Yonaoshi 3.11」。監督はケイコ・クルディさん。東京でフランスTV報道特派員だった父を持ち、その名前は女優の岸恵子から取ったといいます。パリのソルボンヌ大学で演劇と映画を学んだ後、東京大学大学院で総合文化研究科超域文化科学専攻博士を修了。京都造形芸術大学芸術学部映像・舞台芸術学科で助教授を務めるなど、日本との関わりが深い彼女が震災後の日本を、被災地を、東京を、政治を見つめた作品です。

ケイコ・クルディさん。映画を撮ることになった震災の当時を振り返りました。

ケイコ・クルディさん。映画を撮ることになった震災の当時を振り返りました。

会場には100人を超える来場者が集まり、彼女の作品「霧の向こう」を鑑賞しました。上映にあたっては1年がかりの南仏アンチーブのカフェやパリのトルビアアック地区での入念な打合せ、知己である彼女のお父さまのサイト「Geopotique」に執筆する仲の瀬藤澄彦会長の挨拶からスタート。そして、日本語が堪能なケイコ・クルディさんのスピーチが終わると、場内は暗転。上映会が始まると場内は静けさに包まれました。