【レポート】第9回輝く会「ダンスを通して知るヴェルサイユ宮殿事情」

フレンチバロック・オペラとは

キャストは以下の通りです。
指揮・チェンバロ:ステファン・フュジェ
ソプラノ:高橋美千子(アルジ役)
テノール:田中健晴(マント役)
ソプラノ:清野友香莉(ネリーヌ役)
バリトン:高田智士(オルカン役)
バロックダンス:錦織舞
(敬称略)

これまでのフレンチバロック・オペラ公演では、日本人が指揮者を務めていましたが、今回は初めてパリ市立音楽院の合唱指導者でありピアニストでもあるステファン・フュジェ氏を指揮者とチェンバロ演奏に迎えてのスペシャルなコンサートとなりました。
また、終演後には、ステファン氏がフレンチバロック・オペラについて解説(通訳は田中健晴さん)してくださいました。
フレンチバロック・オペラ最後の作曲家といわれるジャン=フィリップ・ラモーは、当初、クラブサン(チェンバロの仏語)に対して多くの作曲をしていましたが、必ずしもいい作品ばかりではなかったようです。転機が訪れたのは50歳になってから。急にオペラの作品を手掛け始め、評価も高まっていったのです。当初は喜劇を多く作り、のちに悲劇も書くようになりました。当時のフランスにおいて、悲劇は大切なアートとされており、ラモーが悲劇を書き始めたのは、その波が起こり始めた頃でした。ちょうどイタリアの喜劇の流れも押し寄せていた混沌とした時代であり、こうした時代背景があったため、作品にはシリアスな役とコミカルな役が混じりあっているのです。

興味深いお話を聞き、深奥なフレンチバロック・オペラの世界が少しだけ身近になったような気がしました。

ステファン・フュジェ氏

ステファン・フュジェ氏


高橋美千子さん

高橋美千子さん


田中健晴さん

田中健晴さん


高田智士さん

高田智士さん


清野友香莉さん

清野友香莉さん


錦織舞さん

錦織舞さん

今回、素晴らしい歌と踊りとともに注目を集めたのが、黄金色に輝くチェンバロです。伊藤ハープシード工房(千葉県市原市)の伊藤福一代表から特別にご提供いただきました。
チェンバロの製造は、芸術作品を作り上げるのと同じような苦労があるそうで、5~10年を要することもあるのだとか。中世フランスへとタイムスリップさせてくれる美しい音色は、卓越した匠の技を持つ職人さんの地道な作業によって生み出されているのです。

芸術作品といっても過言ではないチェンバロ

芸術作品といっても過言ではないチェンバロ

今回最高級のチェンバロをご提供くださった伊藤ハープシコード工房の伊藤福一様

今回最高級のチェンバロをご提供くださった伊藤ハープシコード工房の伊藤福一様