【レポート】第1回 Salon de Paris Club

Emotion, Excellenceを有していて、EsthétiqueなんだけれどもEnthousiasmeが足りない!

ルレさんによれば、日本には3つのEがあるそうです。一つめのEはEmotion。日本で仕事をすると「いつもEmotionを感じる」とルレさんは言います。日本ではチームワークが素晴らしく、日本人スタッフにプロジェクトの説明をすると、みんなちゃんと理解してくれるのだそうです。LVMHジャパンは毎日のように日本の百貨店と仕事をしていますが、どの百貨店も顧客への敬意があり、とても素晴らしいのだとルレさんは絶賛しました。同時に、日本人の聞き上手さ、ちょっとしたことでも敬意を払ってくれる点も評価していました。「掃除会社の人はちゃんと綺麗な制服を着ているし、いつも『おはようございます』『お疲れ様です』と言ってくれます」と語るルレさんは、彼らからいつもEmotionを感じ、それが刺激になってイノベーションに繋がっているのだそうです。

日本に対する熱い思いを話すルレさん

日本に対する熱い思いを話すルレさん

二つ目のEはExcellenceです。日本人は必ず納期を守ってくれるし、仕事は素晴らしい、壁や備品も傷めずに職務を遂行するという点をルレさんは大いに評価していました。GINZA SIXの企画の際も、7~8年前にプロジェクトがスタートしましたが、工事工期がきっちりと守られたそうです。

そして最後のEがEsthétiqueです。日本人は美学を持っており、女性は化粧をきっちりして取り組むし、男性も髪を整えており、細かい点へのケアが行き届いているとルレさんは考えていました。
ただしひとつだけ残念なEがあるとルレさんは付け加えます。それはEnthousiasmeです。これは単なる情熱ではなく何かを達成したいというinternal powerであって、今の日本にはそれが欠けているから是非とも復活して欲しいのだと、ルレさんは熱く語りました。

uniqueとdifferentを混同しないマーケティング

講演の後半はルレさんご自身のマネジメント経験談について語っていただきました。一匹狼にならず、失敗した時に原因を考えながら高い(非現実的ではない)目標に向かって一歩ずつ進んでいくことの重要性は、当初10店舗だったZARAを100店舗にまで拡大したルレさんの手腕に裏付けられていました。情報共有も非常に重要で、上の立場の者が「私は聞いていません」と言うのはあり得ないと厳しく批判していました。中でも本社の指示をローカル拠点でも社内に伝えるのはすごく大事で、その点ZARAやLVMHは、本社が日本にすごく興味を持っていたため楽だったと、ルレさんは過去を振り返りつつ語ってくれました。ただしひとつ注意しないといけない点があって、それはuniqueとdifferentは違うということです。本社と連絡を取る際、「日本は違う」と排他的なニュアンスで言うのではなく、「日本のマーケットはお客様のレベルが高く、こういうリクエストがあるのだ」と固有性を強調するのが大事なのだそうです。またこうした意思疎通のためにはやはり言語が重要であり、社内では全て英語かフランス語を使用することで言語の感覚を忘れないように配慮しているということでした。