【レポート】第1回 Salon de Paris Club

来日36年。3.11後も日本に残ろうと決意した親日家

レポート 第1回 Salon de Paris Club

6月14日、ホテルニューオータニにて第1回のサロンドパリクラブが開催されました。講演をしてくださったのは2016年からLVMHジャパンの社長でいらっしゃるノルベール・ルレさんです。ルレさんは20数年間このパリクラブに携わっており、日本では数十年暮らしていらっしゃいます。今回は「どうして日本はこんなに魅力的か」というテーマのもと、ご自身のマネジメント経験と絡めてご講演いただきました。

ルレさんが来日したのは36年前。1981年のことです。そのときはまだ日本のことを知らなかったけれども、来日してすぐに、日本を素晴らしいと思ったそうです。「さよなら、富士山、着物くらいしか知りませんでした」と流暢な日本語で語るルレさんは、実はこれまで日本語学校に通ったことはありません。フランス大使館で勤務を始めてすぐに大阪に転属となり、梅田の紀伊国屋でテープや参考書を買ってご自分で勉強なされたそうです。「郷に入れば郷に従え」の精神で学んだと、ルレさんは語ります。

続いて、日本の地理・歴史・人・言語・文化・自然という観点から、日本のユニークさについてルレさんの体験を踏まえた考察がなされました。
日本はおよそ100年という短い期間で鎖国からover connectionという状態を経験し、そこにはショックがありました。戦後の発展の中で日仏間の人の移動量が急速に拡大した時、「日本はそんなに遠くない」とルレさんは感じたそうです。日本の言語はとても固有(ユニーク)で、曰く「言わないことは言っていることと同じくらい重要だと思います」。……“検討いたします”は“I will never do it”ですよ」という言葉が印象的でした。また、日本人とフランス人が英語で会議した際に、英語では“interesting”と言いながら、日本人同士の日本語での会話では「つまんない」と評していたというマーケティング部時代の経験から、ルレさんは日本語をinternalな言語と考えているそうです。
ルレさんは日本の文化についても大変興味を持っていらして、47都道府県×地方の数だけ固有の文化があるのだと仰いました。

日本の自然は美しいけれども厳しい、と評するルレさんは、阪神淡路大震災と3.11の両方を経験しました。「(3.11の時)当然怖かったけれども、私は日本に残ろうと思いました。なぜなら、日本は自分に色々なことを与えてくれたからです。第六感が大丈夫だと判断しました。」と語るルレさんからは日本への深い愛を感じ取れました。