イベントカレンダー

市川亀治郎トーク&レセプション

パレスホテル 主催
在日フランス商工会議所、日仏経済交流会(パリクラブ)後援

0818-kamejiro_thumbパレスホテルにて、人気歌舞伎俳優 市川亀治郎を招いた、トーク&レセプションを開催いたしました。

今年3月のパリ・オペラ座(ガルニエ)初の歌舞伎公演や、大河ドラマ「風林火山」武田信玄役などのお話の後、市川亀治郎氏と歌舞伎俳優 市川亀治郎を撮り続ける写真家・長塚誠志氏を囲んでのブッフェ・パーティーを実施いたしました。
告知チラシの閲覧・ダウンロード【PDF形式:4.3MB】

日時 2007年8月18日(土)
プログラム 17:00~18:00/トーク
18:00~19:30/レセプション
場所 パレスホテル2階 ローズルーム
(千代田区丸の内1-1-1)

【市川亀治郎プロフィール】

0818-kamejiro-portf歌舞伎界では、今、最も耀きを放つ天才肌の若手役者として注目されており、ロンドンやパリの海外公演にも意欲的に参加。先のパリ公演では流暢なフランス語 で口上を行い、フランスのメディアを唸らせた。一方、古典の世界に安住すること無く、蜷川幸雄、三谷幸喜など日本を代表する演出家が手がける作品でもその 存在感を示す。歌舞伎以外のフィールドでも、本年度よりNHK大河ドラマ「風林火山」に出演し、活躍の場を映像作品へと広げるとともに、映画などジャンル を超えた今後の活躍が期待される。

【長塚誠志プロフィール】

0818-nagatsuka-portf国内外の自動車CM写真の第一人者。故 本田宗一郎氏には「凄いやつだ」と驚愕され、最上級の「3A」の評価を得て「光のプロ」と称された。フィルム面が 8インチ×10インチの大型カメラ(通称バイテン)を自在に操るフォトグラファーとして広告写真業界で知られる存在。この“バイテン”を手持ちで、しかも ヘリコプターで空撮もこなす稀な写真家でもある彼が、近年ライフワークとして歌舞伎俳優 市川亀治郎を撮り続けている。

 

同時開催:長塚誠志“劇写”市川亀治郎写真展

写真家・長塚誠志と役者・市川亀治郎の“劇写”コラボレーションは2002年より始まった。以来、長塚は亀治郎の役柄を殆ど撮り続けている。出番のわずか数分のうちに、舞台裏の仮設セットで大型カメラを駆使、その一瞬を完璧に捉える。
永塚の撮影は、情景や光の加減が最高の状態に達した時に「1枚だけ撮ればいい」スタイル。「問題は枚数じゃない。その瞬間の亀治郎を捉えること」という。亀治郎も絶対の信頼を長塚に寄せて、その瞬間を演じきる。これは、天才役者と写真家の神業である。

開催期間 2007年8月1日(水)~8月31日(金)
会場 パレスホテル1階 ギャラリーパレス&ロビー
(千代田区丸の内1-1-1)
会場時間:10:30~18:30 無休
入場料 無料

 

講演会「成長・人口高齢化と財政政策‐フランスと日本のケース」

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催

サルコジ氏が率いるフランス新政権は、若者の雇用を増やすために経済成長率を高めることが課題になってきます。日本では安倍政権が急速に進む人口高齢化に直面し、潜在成長率の引き上げを図っています。
4年間にわたり日本を観察し、この夏にフランスに戻られる財務参事官のステファン・オストゥリ氏から個人の立場で、こうした課題に対して財政政策が果たすべき役割について分析をしていただきます。
講演の後、質疑の時間も充分とっておりますので、皆様のご参加をお待ちいたします。

日時 2007年6月5日(火)18:30~21:00
プログラム 18:30~20:00 講演・Q&A
20:00~21:00 ブュッフェ
場所 メルシャン・サロン(メルシャン本社1階)
中央区京橋1-5-8 TEL:03-3231-5600
最寄り駅 銀座線京橋駅または東京駅
スピーカー ステファン・オストゥリ財務参事官・フランス大使館経済部次長
司会 久米五郎太(パリクラブ会長代行、日揮(株)常勤監査役)
使用言語 フランス語(質問は英語も可)
 

■ご報告

  1. 講演・質疑は1時間半にわたってフランス語で行われ(一部質疑は英語)、多数のグラフや表が用いられた。
    以下にポイントをまとめるとともに、用いられたスライドも添付したので詳細はそれらも参照願いたい。なお、講演者や司会の意見はいずれも個人の資格でおこなわれたものである。
  2. スピーカー・オストゥリ氏の講演要旨( 資料1参照【PDF形式:4.77MB】
    フランスと日本はこの10年間で経済成長が減速した2つの国である。米国に比べると、
    (1) 両国とも労働力人口(15-64歳)の比率は殆ど同じだが、
    (2) フランスは就業率や就業時間が10-15%低く、
    (3) 日本は労働時間が少し長いものの労働生産性(時間当たりGDP)は29%も低く、
    (4) その結果両国とも一人当たりGDPはおおよそ30%近く米国の水準より低い。
    日本は、かつては若い国であったが、2000年には老人の比率がフランスを超え、今後更に老人の比率が高まる。フランスも先進国の平均よりは老齢化が早く 進む。しかし、フランスの出生率は94年頃より上昇しており、今や2を超え、EUの中ではトップ・レベルに。家族手当が充実しているほかに、小学校の終業 時間が16時半と遅いことも出生率を高めるのに貢献している。
    フランスでは人口が現在の62百万人から、2050年には3百万人増加すると見られているが、労働力人口が支えるべき若年・老年層の比率は今後上昇する。 フランスの失業率は日本よりはるかに高く、55-64歳の層での就業率は日本と異なり非常に低い。また若者(15-24歳)の就業率も低いが、ここは教育 を受けている層が多いことも影響している。
    フランスの強い点は労働生産性が米国よりも高いことである。また、経済は国際的に開放され、フランスは外国企業の進んだ生産技術などを導入している。これ はGDPに占める貿易比率、対内・対外直接投資額などを見ても明らかである。弱い点はイノベーションの遅れであり、R&Dの比率が日本などに比し て低い。
    財政面ではフランスは日本に比べると、支出規模が大きく、国民負担率(税金・社会保険料)の比率が高く、公的部門の雇用者が多い。両国とも財政赤字が続 き、債務残高がGDP比で増加、特に日本は急膨張した。今後両国とも財政支出を抑制せねばならず、成長加速や雇用増大のために財政政策を活用する自由度が 減少している。
    雇用政策との関係では、フランスでは公務員の数が既に減少しており、限界国民負担率と低所得者層への影響、補助水準のあり方が政策面では議論されている。 イノベーション戦略としては投資拡大や研究促進のための支出・税制措置を講じており、05年10月には66のクラスターを育成する決定をおこなった。日本 に倣うものが多い。
    結論。フランス・日本はいずれも難しい課題に直面している。すなわち、両国共に財政状況悪化のもとで人口が高齢化し、日本では低生産性、フランスでは低い 競争力が問題になっている。それに対処すべく、フランスでは人口を増加させ、国際的に開放を進めている。日本はイノべーション政策により経済を活性化し、 経済成長の高い地域とのインテグレーションを進めている。
  3. この後、司会者より資料を使い、レジュメと日本の事情についての簡単な補足説明がおこなわれた。
    用いた数字は主としてOECDの2005年データ。( 資料2参照【PDF形式:1.21MB】
    この10年間、日本の成長率は極めて低く(年平均1.15%)、OECD30カ国中30位。米国との一人当たりGDPの差についての図をみると、フラン ス・日本がだいぶ下のほうに並んでおり、その要因としてはフランスの低い就業率、日本の低い労働生産性が浮き彫りになっている。
    日本は今後高齢化が進むので、政府は中期的な成長率を1.5%程度、うまくいって2.5%程度とみており、目下如何に労働生産性を上げるかが大きな課題。 政府内の議論では、5年で50%引き上げという目標もだされているが、生産性は急にはあげられない性格のものであろう。労働力供給増大のためには、パート タイムの雇用が多い女性労働力の活用が必要であり、外国人移民労働力(0.3%)の利用もデリケイトだけれど検討課題。
    財政面では総債務残高がきわめて高い比率(今年度末にはGDP比148%)となっており、比率が安定し、さらに減少が始まるのはあと7年前後と見られてい る。しかし、ネットの残高では相当低いこと、国債は大部分を日本人が保有していることから、あまり心配しなくてよいとの意見もある。ただ、政治家や国民は 楽観的すぎるのではないか。
  4. 質疑応答では、
    (1) この10年間G7で最もパフォーマンスがよかった英国では、物価安定を目標とした金融政策が奏功したと評価されているが、そうした観点から欧州中央銀行の政策をどうみるか(フランスでは政治家やマスコミに批判があるが)
    (2) サルコジ新政権の下で政策は変化するか
    (3) 少子高齢化対策として財政政策はどの程度効果があるか
    (4) 人口構造の変化に対応した租税政策のあり方――フランスはTVAを古くから導入し、税率も引き上げているが、租税収入に占める割合は一時の40%から現在は25%に下がっている――、
    その他移民政策、R&Dが話題になった。
  5. 本講演会を企画し、司会をおこなったものとして、3点印象を述べたい。
    日本の経済政策にとって、フランスは日頃あまり注目されていない。しかし、OECD諸国の国際比較をすると、日仏両国は最近年は少し改善してきたが、 2005年までの過去10年間は低成長にあえいできたという点で共通点がある。また政府の主導性が強いという点でもよく似ている。フランスは硬直的な労働 政策・思い切った経済構造改革への抵抗など大きな問題を抱えているが、他方で最近進めてきた、EUをベースにした国際経済への対応、出生率引き上げ、財政 規律の強化などの政策は日本として目指すべきものである。勿論IT活用などで労働生産性引き上げに成功した米国、グローバル化をテイクチャンスした英国に 学ぶことも少なくないが、日仏を比較しながら今後の経済の進路や経済政策のあり方について考えることは実りが大きいように思われた。
    パリクラブではこの2-3年、「フレンチ・パラドックス」や「フランス経済社会モデルの有効性」をテーマに講演やディスカッションを実施してきた。今回の 企画はその延長線上にあり、時間は限られていたが、幅広く基本的な問題をカバーしえたと思われる。サルコジ新政権は経済財務省に労働も分担させ、目下超過 勤務部分への社会保険料・税金免除や社会保障費をカバーするためのTVA導入などが議論され始めている。日本でも夏の参議院選挙後は税制改革が歳出削減と ともに大きな議論になると思われる。資料2のP7は両国の税収構造を比較したものであるが、グローバルな競争の中で、国際的な税制のハーモナイゼイション が重要な視点となっている。今後両国がどのような議論をおこない、政策決定に至るのかは大変興味深い。
    参加者は57名。共催者のCCIFJからはラショッセ新会頭、またフランス大使館経済部からはヘッドのバジョン公使が参加し、両機関から多数の参加者が あった。パリクラブからも関本会長を始め、5月末に新たに就任した姉崎経済社会委員長、澤田副委員長など多くの会員が参加し、講演会の後はブッフエの場に 席を移して、懇談が行われた。

(文責:久米五郎太)

Salon de mai「デザインって何?」

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催

前回ご好評をいただいたデザインについての第二弾。
グラフィックデザインスタジオ エクスプリムの展示会の見学と、そのディレクションを担当した岡・木谷両氏の講演を通して、新しいデザインが生まれるプロセスをお伺いしました。
慣例として決められたカタチや様式、定型という常識を疑い、機能という原点に立ち戻って生まれた、デザインの中にあふれる遊び心に触れていただきました。

日時 2007年5月28日(月)18時~
プログラム 有限会社エクスプリム
アートディレクター/グラフィックデザイナー
岡達也氏・木谷正和氏
プログラム [第1部]
18:00~(受付17:50~)
ex-ex-po exprime exposition 2007見学会
於:Gallery5610(表参道)
http://www.exprime.co.jp/

[第2部]
19:00~(受付18:50~)
講演会/ビュッフェパーティ
於:A to Z cafe
東京都港区南青山5-8-3 ekuboビル5F

講演会「フランス企業の日本市場でのマーケティング - ロクシタン社の経験」

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)、中小企業スタートアップ委員会 共催

0417-loccitanne日本に進出してきているフランス企業は、それぞれのブランドや商品・サービスの特性に応じてマーケティングと販売を行っています。CAC40に属する国際的 な大企業や長い歴史を持つラグジャリー企業の活動は比較的よく知られていますが、中小・中堅企業のなかにも特徴のある活動を行っているところが少なくありません。

今回は初めにコンサルタントであるローラン氏にフランス企業と日本市場について概観していただき、その後最近店舗を急速に増やし、注目を集めているロクシタン(L’OCCITANE)社の日本での活動について鷹野志穂社長からお話をお伺いしました。

同社は31年前に設立され、南仏のハーブやアフリカの木の実を使った自然派の化粧品を既にお使いの方も少なくないと思います。プロバンスのオリーブとラベンダーをあしらった大きなポスター(上記写真)をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

プレゼンテーションは日本語と一部英語にて行われました。

日時 2007年4月17日(火)
18時30分~ 21時(講演は1時間15分、その後ビュッフエ)
スピーカー ■フレデリック・ローラン氏
Frédéric Laurent Consulting Ltd.代表取締役(使用言語:英語)
■鷹野志穂氏
ロクシタン・ジャポン(株)代表取締役社長(使用言語:日本語)
司会 ■綿貫健治氏
横浜国大助教授 元ソニー・フランス副社長 パリクラブ理事
場所 メルシャン・サロン(メルシャン本社1階)
中央区京橋1-5-8 明治屋並び TEL:03-3231-5600
最寄り駅 東京メトロ銀座線京橋駅またはJR東京駅
 

■ご報告

参加者:76名

講演要旨:フレデリック・ローラン氏

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  • FLCは有名フランス企業を日本市場に紹介してきたが、中小企業を中心に毎年20-30社の日本市場参入のお手伝いをしている。セクターとしては、食料、化粧品、文化製品、ファッション、工業品などさまざまである。
  • FLCは、中小企業の商品の市場との適合性、商品に対するアドバイス、顧客やパートナー探し、日本の顧客やパートナーとの会談の前後のサポートなど行っている。
  • 経営手法としての業界の「ベストに学ぶ」と言うベンチマーキング・マーケティングを行っている。
  • 日本に進出する企業は増加し、日本のフランス系外資会社は支社などを含むと720社ある。親会社ベースでは、フランス商工会議所には250社がメンバーとなっており、東洋経済の統計では240社などの数字がある。

講演要旨:鷹野志穂さん

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  • ロクシタン社は1976年、プロヴァンスの大学で哲学を修めたオリヴィエ・ボーサン(Olivier Baussan)氏が創設した。
  • 商品としてはフランス、プロヴァンスのライフスタイルを提案するコスメティックブランド(ロクシタン)を販売している。ロクシタンは植物原料を主原料に化粧品(スキンケア、ボディーケア、バスケア)、芳香剤(フレグランス)などを製造・販売しているブランドである。
  • 世界60ヶ国、1000店舗で販売している。
  • 日本進出は、1988年11月で、現在47店舗、従業員350人(店舗で300人。日本は米国に次いで世界で第二番目に大きいマーケットに成長した。
  • ロクシタンの基本的なフィロソフィーは、
    1)感受性(Sensorality)、
    2)真実性(Authenthicity)、
    3)尊敬(Respect)である。
    顧客に、プロヴァンスの香り、ライフスタイル製品、自然商品を「A True Story」と言うメッセージとして届けている。
  • ロクシタン・ジャポンの売上は過去約6年間急速に増加し12倍になった。
  • 日本でのマーケティングの成功の要因は、
    1)フランスらしさ(プロヴァンス)、
    2)アントレプルナー精神、
    3)挑戦(チャレンジ)、
    4)興奮(エクサイトメント)を提供したことが上げられる。
  • 販売促進も、
    1)定説を守らない(雑誌広告をしない)、
    2)店舗の“ビルボード化”(店をショールームにする)、
    3)ユニークな広報(参加型のプレス・イベント)、
    4)頻繁なプロモーションイベント(新製品導入)、
    5)フランスらしさの追及(店舗のインテリア)など他社との差別化を意識的に測っている。
  • 0417-loccitanne-2
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司会者の感想

  • 今回のセミナーの参加者(特に若い人)が多いことを見てもロクシタン社の日本での成功は非常に注目されている。進出10年にも満たないがユニークなマーケティング戦略で、伝統的な化粧品会社に肉薄している。ロクシタンのKFS(成功要因)は次の様にまとめることができる。

    1) 経営者の基本理念がしっかりしていて、ビジネスの軸がぶれてない。
    理念は伝統と価値で、創業者の哲学を“A True Story ”として紹介している。

    2) 他の会社に比べ差別化戦略がしっかりしている。
    フランス性、プロヴァンス性(色、匂い、伝統など)、自然性などを人間の感受性、興奮、尊敬などとうまくミックスさせて人間中心の独特のライフスタイルを提案している(The sun smiles on province.)。

    3) ユニークなマーケティング戦略で注目を浴びている。
    高い広告や百貨店の展示ではなく、店自身がショウルーム。
    頻繁な販売促進や広報活動。
    旺盛なチャレンジ精神。

    男性の顧客が少ないということなので、ショウルームに行ってプロヴァンスの雰囲気を“浴びて”ほしい。

(文責:綿貫健治)

ESSEC大学創立100周年記念講演会「男の美意識の変化とブランド」

ESSEC大学グループ 主催
パリクラブ 後援

【第1部:講演会】

男性のイメージは、かつての一辺倒な型どおりの男らしさから、現代は多様性に富んだものに変化している。この新しいトレンドがブランド品に与えている影響 について、男らしさ、女らしさ、更には両者の関連について、20数社のブランドの過去と現在を分析することにより、その変遷を考察した。

日時 2007年3月27日(火)18時30分~20時30分
場所 慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール
東京都港区三田2-15-45
http://www.keio.ac.jp/
プログラム ■18:30~18:45 開会の辞
・西村 太良 慶應義塾常任理事
・ローラン・ビバール ESSEC大学学長
■18:45~20:00 パネルディスカション
・シモン・ニエック ESSEC 高級ブランド品マネージメントMBA主任教授
・ノエル・コラン浅野 セリーヌ・ジャパン プレジデント&CEO(予定)
■20:00~20:30 質疑応答
同時通訳(英語/日本語)

【第2部:懇親会】

日時 2007年3月27日(火)21:00~22:30
場所 セレスティンホテル内 レストラン グラン・クロス
東京都港区芝3-23-1(慶應大学より徒歩6分)
http://www.celestinehotel.com/

講演会「エネルギー市場の今後の展開―ある石油メジャーのアプローチ」 及びドメスティエ氏歓送会

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催

0314-sekiyu_1原油の需給が著しくタイトになり、原油価格も緩んで来つつあるとは言え、依然高水準にある。今後の世界のエネルギー市場はどう展開して行くのだろうか?近 年、スーパー・ジャイアント・オイル・フィールドなどの大規模油田の発見は殆どなく、世界の石油生産量はピークを迎えるのではないかというピークオイル・ セオリーがいよいよ現実味を帯びて来ている。また最近脚光を浴びているバイオ・エタノール等の代替エネルギーはエネルギー需給の緩和にどの程度有効なのだ ろうか? 新規油田、ガス田開発の為に今メジャーはどのような新技術を用い、どのような努力をしているのだろうか? 今回の講演では、このような疑問点に 焦点を当て、専門家のドメスティエ氏にお話し頂きました。
なお、講演会終了後は、パリクラブとしても大変お世話になったドメスティエ氏の歓送会を開催いたしました。

日時 2007年3月14日(水)18時30分~21時
場所 メルシャンサロン
中央区京橋1-5-8 メルシャン本社1階 明治屋並び
Tel:03-3231-5600
最寄り駅 東京メトロ銀座線京橋駅またはJR東京駅
プログラム 18:30~19:45 講演会
19:45~21:00 講演に引き続き歓送会を開催
スピーカー ■ユベール・ドメスティエ・デュブ-ル氏(M. Hubert de Mestier du Bourg)
在日フランス商工会議所会頭、トタル社北東アジア代表
アニメーター ■沢田 義博氏
パリクラブ理事、帝国ピストンリング(株)常勤監査役
使用言語 仏語(質問は日仏語両方可)
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  • 0314-sekiyu_3
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■ご報告

昨年来、原油の需給が著しくタイトになり、ニューヨークのWTI価格は昨年7月、既往ピークの77ドルに達した。現時点でも60ドル前後で推移して おり、依然高水準にある。今後の原油市場或いはエネルギー市場はどう展開して行くのだろうか? 具体的には次のような疑問点が考えられる。

  1. 原油の需給と価格は今後どう推移するのか? 2010年に85-90ドルという説もある。
  2. 近年Super Giant Oil Fieldと呼ばれる超大規模油田の発見は皆無に等しい中で、「世界の石油生産量はピークに達する」という”Peak Oil Theory”は、いよいよ現実味を帯びて来るのだろうか? 既に2,3の石油メジャーによる年間の新規油田発見は年間生産量の20%に過ぎず、石油埋蔵量を食いつぶしている状況にある。 
  3. 新規油田・ガス田開発の為に、石油メジャーはどのような新技術を利用しているのだろうか? またどのような問題に直面しているのだろうか?
  4. 最近脚光を浴びているオイル・サンド、オイル・シェール或いはバイオ・エタノール等の代替エネルギーはエネルギー需給の緩和にどの程度有効なのだろうか?
  5. 現在、中東や中国における精製設備の不足が大きな問題となっている。この問題はいつ頃解決されるのだろうか?

今回の講演会では、上記疑問点に焦点を当て、専門家のドメスティエ氏にお話頂いた。以下はそのサマリーである(番号は上記に対応している)。

  1. 2005年から10年にかけてのエネルギー需要の伸びは年1.7%で推移する見込み。種類別伸び率は、ガス:2.2%、石炭:2.0%、 水力等:1.9%、石油:1.3%、原子力:0.9%。今後は原子力の伸び率が高くなるだろう。但し石油やガスの重要性は今後も減る事はない。また原油価 格は今後45ドル以下になることはなく高価格が続くだろうが、どこまで上がるかは分からない。
  2. 確認埋蔵量については、石油は今後40年の消費を賄える規模。一方ガスは60年分である。石油を長持ちさせる為の最良の解決法は今後の石 油需要の伸び率を1%以下に抑える事である。一部の専門家は現時点で既にPeak Oil に達していると主張しているが、IEAは2015年頃と推定している。
  3. (1) 現在トタルが注力しているのは、新技術を用いた深海油田開発(西アフリカ沖)、超重質油の品質グレードアップ(ヴェネズエラ、カナダ)、既存油田の開発期 間の延長(原油価格の高騰及び新技術により、可採埋蔵量が増えた)、LNG開発(イェーメン)、GTL(Gas to Liquid)等である。なお原油価格が最低50-60ドルでないと、新規のプロジェクトはペイしない。技術進歩により原油探査についてのトタールの成功 率は40%にまで上昇している。
    (2) 石油メジャーにとっての挑戦は次の二点。
    ・生産国の国営会社が原油生産のコントロールを掌握しつつあり、メジャーの世界シェアが16%程度にまで低下してしまっている中で、どう主体性を発揮するのか?
    ・今後も石油に係わる技術フロンティアを更に拡大できるか?
    更に地球温暖化問題にも真剣に取り組む必要がある。
  4. 代替エネルギーについては、トタルはGTL、BTL(液化バイオマス)、バイオ・ディーゼルなどを開発中である。これらの代替エネルギー は、エネルギー需給緩和という観点からは、あくまで石油の補完的位置付けにとどまるだろう。バイオ・エタノール等のガソリンとの混合率については、 2015年で10%がそのターゲットである。
  5. 中国の精製設備についてはトタルが第1号の精製所を建設したが、十分な設備を持つにはまだかなり時間がかかるだろう。中東についても同様である。

(文責:沢田義博)