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講演会「グローバライゼーションと企業経営」 シリーズその1:「エアバスの戦略と日本」

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催

エアバスは日本ではあまり知られていないようです。フランスでよく乗ったエアバスは日本国内ではほとんど目にしません。フランスで組み立てていることを知っている人も、部品の製作国になると自信がないようです。日本企業もその一部を作っています。

最近ではグローバルな市場でエアバスがボーイングと激しく競争し、中国やインドなどでの大量受注が大きく報道されています。グローバル化が進む世界 の中で、エアバス社がどのような経営や活動をおこなっているのか、また日本市場での販売や産業協力の今後はどのようになっていくのか。日仏のパートナー シップ促進のための障害と課題は何か。日本が航空機製造を強化するには何が必要か。

昨年2月にエアバス・ジャパン社長に就任された米国出身のグレン・フクシマ社長とフランス出身で日本企業との産業協力を担当しているJAMES氏にこうした問題意識に答えたお話をしていただきます。

日時 2006年4月17日(月)18:30~21:00
会場 メルシャンサロン
スピーカー ■グレン・S・フクシマ氏
エアバス・ジャパン(株)代表取締役社長(講演は日本語)
■ブリュノ・ジャム氏
エアバス・ジャパン(株)サプライヤ・コーディネーター担当ディレクター(講演は日本語)
モデレーター ■上田忠彦氏
パリクラブ理事 元丸紅フランス会社社長 現東京都環境衛生公社参事
スピーカー略歴

グレン・S・フクシマ氏:米カリフォルニア出身 ハーバード・ビジネス・スクールおよびロー・スクール卒。USTR(米国大統領府通商代表部)、日本AT&T副社長、日本NCR共同社長、在日米国商工会議所会頭などを経て、05年2月より現職。

ブリュノ・ジャム氏:フランスSUPAERO卒 日本航空宇宙技術研究所,SNECMA(エンジンメーカー)を経て、エア バス社に。SNECMAで日本企業とのエンジニアリング協力、エアバスでA380についてのアジアでのパートナーシップ、エンジン調達などに従事し、 2004年9月より現職。

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1.グローバライゼーションは様々な形で企業や個人の活動に影響を及ぼしています。中国、インド、東欧などにおける経済の高成長によって、世界の企 業市場はグローバルに急拡大し、世界的なベストセラーのタイトルで有名になりましたが、ITの発達の結果「世界は平ら(The World Is Flat)」になっています。国境を越えた合弁やM&Aが活発化し、フランス企業はその先端を行き、日本企業も今後はM&Aを積極的に活用しようとしてい ます。われわれの関心は、国際的な企業の国籍とは何か、投資先国の多様な文化をどのように考慮するべきかなどにも及んでいます。

0417-airbus-2_gd2. パリクラブでは、「グローバライゼーションと企業経営」とのタイトルのもとで、企業はどのようにグローバルな戦略を展開しているのか、そしてよりひろくグ ローバル化を理解し、日仏のパートナーシップを考える参考にするために、シリーズでの講演会を企画しました。今回はその第1回目として、エアバスの戦略と 日本での活動について、エアバス・ジャパン(株)代表取締役社長のグレン・S・フクシマさんと同社サプライヤ・コーディネーター担当ディレクターのブリュ ノ・ジャムさんに講演をお願いいたしました。お二人からは日本語で、たくさんのスライドを用いて、エアバスの歴史、エアバス航空機の特長、日本市場での販 売状況や日本企業との生産協力について、体系的でたいへん分かりやすい説明をしていただきました。その後、共催者であるフランス商工会議所メンバーや航空 産業関係者も含めた50名の参加者が、エアバスの本社に近いラングドックのワインを片手にお二人を囲み、質問や歓談をするうちに、メルシャン・サロンでの 夜はふけました。

3.主催者の立場で印象深く聞いた点を以下まとめておきます。

  • 1970年にエアバスが仏独のコンソーシアムとしてフランスに設立された時点では、欧州市場は米国のボーイングやダグラスなどの寡占状態 で、欧州メーカーのシェアは16%でしかなかった。74年にA300がデビュー、その後88年に出したA320、次の A330,A340が電子機器を使った操縦性、座席の広さなどで評価され、95年にはエアバス機の受注残シェアは世界の3分の1に、そして最近では受注・ 引渡し・受注残いずれでも50%を上回り、ボーイングを抜きトップに。
  • 会社の形態は企業連合から株式会社(EADS80%,BAE SYSTEMS20%)に変わり、フランスなど欧州各地で計16箇所の製造 拠点、設計技術センター7箇所、事務所は82カ国で160箇所。従業員数は5万5千人。80カ国以上の国籍で、20の言語を使用。経営陣はCEOがドイツ 人、COOは2名でフランス人とアメリカ人、ボードメンバーは欧州4カ国と米出身。このように人種・文化的な多様性に富んでいる。
  • 最新の超大型機A380は座席数450-550(全部エコノミーだと853)、21世紀の航空機として、開発後37年たっているボーイン グのB747に比べて、広く、高い運航性能で、経済的で、静か。現在16社から159機を受注済みで、2006年にシンガポール航空に2機引渡し予定で、 その後シドニー・ロンドン・成田を飛ぶ。アジア太平洋では他にインド・タイ・マレーシア・韓国・中国・オーストラリアから受注済みだが、日本からはまだ注 文がない。2010年には成田に週60便のA380が乗り入れてくる予定。エアバスでは現在新型のA350を開発中。高性能素材の採用で軽量化をはかって おり、今後B787との競合機になろう。
  • エアバスの日本市場でのシェアは2000年から2004年で4%。中東アフリカ83%、欧州62%、アジア太平洋55%、アメリカ(北中 南米)49%と比較して、極めて低く、ミステリーである。2005年の受注機数をみても、インド・マレーシアから288機(マーケットシエア75%)、中 国から219機(62%)を受注したのに対して、日本は全部で94機発注しているうちエアバスは4機でしかない(4%)。内訳はANAにA320を3機、 佐川急便にA300-600を1機。
  • エアバスは日本市場開拓のために2001年にエアバス・ジャパン社を設立し、USTRで活躍し、米国企業の日本法人トップや在日米国商工 会議所会頭の経験のある米国人のフクシマ氏が昨年2月より社長に就任している。フクシマ氏によれば、4%のシェアはノーマルではなく、今後引き上げの可能 性が期待されている。エアバスはコスト・パフォーマンスの高さが着目されており、既に佐川急便が購入したほか、最近ではスターフライヤーがA320で羽田 と北九州空港のサービスを開始した。同氏は、日本の航空会社は長くボーイングを使い、ボーイングを評価しているが、エアバスの持つ技術的な高さも考慮し て、ふたつを使用していくべきであろうと述べている。
  • 日本の航空宇宙産業は110億ドルの規模で、その8割を宇宙と機体とエンジンの3分野をてがける重工業4社(三菱・川崎・石川島播磨・富 士)が占め、そのほかに機体、装備品、内装部品・タイヤ、素材メーカーがいる。これらの会社は独自の技術で国産機(YS11やF2)を開発しているほか、 エンジンや航空機の国際プロジェクトで共同開発をし、一定の割合のリスクを分担している(ボーイングB787では翼などで日本企業のシェアは35%)。
  • エアバスは欧州4カ国が中心だが、それ以外の国のメーカーとリスクを分担し、またエンジンや設備・装備品・部品・素材を外部(9割以上は 欧米メーカー)から調達している。日本企業はA380では21社が装備品・部品・素材などを供給している。今後欧州と協力体制を確立することで、日本企業 は文化の差を認識しつつ、アメリカ中心主義から離れ、リスク分散を図り、新しい技術を培うことが期待される。そのためにはエアバス側としても下請けから パートナーシップ育成という考え方に変え、部品だけではなくより大きなコンポーネントを外注する必要がある。なお、日仏の航空宇宙工業会の間では昨年6月 に超音速旅客機に関する研究協力が開始している。

4.最後に報告者として感じたことを述べます。日本企業によるエアバス購入拡大は、長年の間フランスを中心とする欧州側の強い希望でした。欧州側は 技術的にも優れた航空機が何故日本にだけは売れないのか不思議に思っていたものの、木内元大使がコメントされたように、これまで政府のトップ・レベルでは 強く働きかけをしなかったようですし、企業としての販売姿勢もいまひとつだったようです。日本側では米国との外交・軍事関係を重視してきたことや、日本企 業が開発・製造に参加するボーイングを優先したという事情もあったようです。米国企業は早くから日本市場に重点を置いた強力な営業活動をおこなってきたこ とも聞きました。フランスをベースにエアバス機を頻繁に利用してその快適性や良さを感じた一人のビジネスマンとして、今後日本でもコスト・パフォーマンス や利用客の快適さ、環境への影響などを考慮に入れた航空機の選択がおこなわれ、エアバスの最新機にのれる機会が増えることを期待したいと思います。それが 開発・製造面での協力拡大にもつながっていくのではないでしょうか。 これまでエアバスは日本のなかでは知る人が限られていたのも事実でしょう。フクシマさんが最後に述べられていたように、今後エアバス社が3つ の”relations”、すなわちgovernment・public・human relationsを強化することで日本市場でのエアバスの認知度が高まり、具体的な成果につながることを祈りたいと思います。

(文責 経済社会委員長 久米五郎太)

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瀬藤澄彦氏との昼食懇談会

日時 2006年4月14日(金)
会場 シーボニアメンズクラブ

0414-seto-3_gd4月14日(金)にジェトロ・リヨン事務所長の瀬藤 澄彦氏を囲んで、昼食懇談会を開催しました(於 シーボニアメンズクラブ)。出席者は瀬藤さんを入れて14名でした。
瀬藤さんのお話は後掲レジュメに沿って行われ、2時間半近く活発な意見交換の場となりました。7項目ともに大変興味深いテーマで、それぞれどれをとっても数時間はかかりそうなところを、要領よく判りやすくご説明いただいて大変勉強になりました。
天候の違いからか瀬藤さんはのどを痛めておられて、普段の美声とは打って変わってかすれ気味の声を絞り出しての熱演でありました。本当にありがとうございました。
丁寧なレジュメで、内容の見当はつくことと思いますが瀬藤さんのお話の中で、特になるほどと思ったポイントを補足します。

「2006年の欧州政治経済情勢」
欧州の相対的地位の低下は皆が認識しており、各国とも構造改革に取り組んでいるが、なかなか苦労している。それでもやはり日本として欧州モデルから学ぶところは多い。

0414-seto-1_gd「2007年のフランス大統領選挙の予測」
選挙の実施時期が重なり、大統領選挙の勝者(政党)が国民議会選挙も制する可能性が高い。Cohabitationにはならないだろう。勝者の予測は困難だが、ロワイヤル女史の人気は本物になってきた。シラクがまた候補として出てくるという冗句のような話もある。

「競争優位時代の産業クラスター」
産業クラスターという言葉が流行り言葉になっている。官が指導しているのはフランスらしいが、競争相手の民間企業が相互に協力しあう図式は新鮮だ。

「敵対的買収に揺れる欧州」
ダノン、アルセロール、スエズ等フランスを代表する企業が海外からの買収対象になると、政府が阻止策に躍起になる。経済愛国主義などという言葉も普通に使われている。フランス企業は世界で買収を行っており、勝手な論理にも見える。

0414-seto-2_gd「新規雇用契約(CPE)反対の背景」
若年失業率がイタリーに次いで高く、企業の雇用意欲を高めるために打ち出した政策として、決しておかしな内容ではないが、方法論の失敗か。就任以来失業率を下げてきた、ドビルパン首相の(自信に裏打ちされた)強攻策が裏目に出た。

「地域経済活性化に資するニュービジネス」
パリと南を結ぶ第二の幹線オートルートにかかるミヨー大架橋は迫力満点で、観光名所になっている。ご訪問をおすすめする。

「女性に職業と家庭を両立させる欧州モデル」
昨年11月にドービルでダボス会議の女性版という形の会議が行われた。米国モデルと違い欧州モデルは地味ながら女性に職業と家庭を両立させるという議論が印象的だった。

文責 増渕 文規(2006年4月14日 記)

 

【レジュメ『欧州の最近の政治経済をどう考える』瀬藤澄彦】

1 2006年の欧州政治経済展望
―世界3極のなかで後塵 地球劇場の舞台裏
―欧州型福祉国家モデルの限界
―自由でもない平等でもない博愛 

2 2007年のフランス大統領選挙の予測
―絶対王政を手にした大統領・遠のく保革共存の可能性
―2002年の16人を凌ぐ史上最高の立候補者数か
―期待される大統領像 50才台の誠実で市民の声を聞く内政重視型
―第1回投票はロワイヤル女史の圧勝 決選投票は組合せ次第

3 競争優位時代の産業クラスター
―全国に66ヶ所のPo^les de compe´titivite´
―300ヶ所の小型地方クラスターも発足へ
―グローバリゼーションの逆説 「経済の領土化」

4 敵対的買収に揺れる欧州
―敵対的買収はどこまで有効か
―経済愛国主義
―国の競争優位とはなにか

5 新規雇用契約(CPE)反対の背景
―雇用改革とビルパン
―青少年の不安定雇用・階層資産格差 中間階層社会の終焉
―第5共和制の機能不全 

6 地域経済活性化に資するニュービジネス
―世界最大のつり橋 ミヨー大架橋
―リヨン 自転車が都市交通を変える
―リヨン 12月8日の光の祭典

7 女性に職業と家庭を両立させる欧州モデル
―女性ダボス版ドービル世界会議
―男女の新たな共生関係を目指して

デバ「中国、その機会とリスク:日本の視点、フランスの視点」

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催

0308-chine-1急速かつダイナミックな成長を続ける中国。2005年のGDPはフランス、イギリスを抜いて世界第4位になった模様であり、2008年の北京オリンピック、 2010年の上海万博などを控え、今後も高い成長率を維持するものと期待されている。日中関係は現在ややデリケートになっており、事実日経や読売新聞の調 査によれば、現在約70%の日本人は中国を信頼できないと言っている。一方仏中関係は良好に推移しているようである。今回のデバでは、こうした中国の「機 会とリスク」は何かと言うテーマで日仏の二人の専門家、みずほ総合研究所、チーフエコノミストの中島厚志氏、在日フランス商工会議所会頭でトタル社北東ア ジア代表のユベール ド・メスティエ氏にそれぞれの視点でお話頂いた。基本的な問題意識は次の二点である:「既に表面化している経済成長制約条件、例えば 環境問題、資源不足、著しい地域間格差などを踏まえても、中国は2010年以降、引続き高度成長を維持できるか?」「現在『世界の工場』といわれている中 国は今後『世界の市場』となり得るか?」

日時 2006年3月8日
モデレーター 沢田義博氏
パリクラブ理事、富士投信投資顧問、常勤監査役
 

【みずほ総合研究所、チーフエコノミストの中島厚志氏のプレゼンテーション】

0308-chine-2まず、中島氏は、現在中国が抱える問題点を次のように指摘された

  1. 大幅な対米、対EU輸出超過。今後、貿易摩擦の先鋭化が予想される。なお。対日輸出入はほぼバランスしている。
  2. 中国国内の大幅な地域間格差。例えば上海と貴州省の一人当りGDPは15倍の差がある。また都市部内でも貧富の格差は年々拡大している。
  3. 中国経済の外資系企業への過大な依存。特に貿易の60%、工業生産の40%は外資系企業が行なっている。
  4. 人民元については、依然として管理された相場であり、資本移動も認められていない。先進国並みの変動相場制、資本移動の自由化移行までには、まだかなりの時間を要する。
  5. 日本企業の対中投資は鈍化傾向にある。従って、中国の成長力は潜在的には十分あるものの、上記の問題点を解決して行かないと、今後、特に2010年以降、高い成長率の維持は困難であると思われる。

Q1(沢田氏):現在中国は「世界の工場」と言われているが、今後「世界の市場」になり得るか?
因みに、野村資本市場研究所の関志雄氏は、2004年の中国の市場規模は北米市場の28%であるが、2010年には38%まで拡大すると予測している。

A(中島氏):今後は内陸部の貧困層(9億人)と沿海部の中間層(4億人)以上の層の二極分解が強まり、後者について言えば、相当程度の消費マーケットになり得るのではないか。

 

【在日フランス商工会議所会頭、ユベール ド・メスティエ氏のプレゼンテーション】

ド・メスティエ氏はご自身の中国駐在経験、その後の中国とのビジネス経験をベースに中国に対する視点を説明された:中国は改革開放政策が奏効し、順 調に高度成長を続けており、世界経済及び世界貿易におけるシェアは近時益々増大中。2001年にはWTOにも加盟し、グローバル経済に参画する努力をして いる。しかし一方では、貧困層も拡大。失業者は1億人超である。

更に、フランス企業の具体的な成功例として、TOTAL社(大連の精油所等で、総投資額10億ドル、年商10億ドル以上等々)等のケースが取り上げ られた。失敗例として、広州のLNGターミナルプロジェクトがあり、このプロジェクトは土壇場で、政治的な理由で中国政府により一方的にキャンセルされ た。

次に中国のエネルギー事情について、詳細な説明がなされた:

  1. 現在は石炭の消費が圧倒的に多く、エネルギー消費全体の3分の2を占めている。
  2. 今後は石油と天然ガスの消費シェアが徐々に高まる傾向にある。2000年の両者合算ベースの27.2%から2020年には32.2%に高まると考えられる。
  3. 今後のエネルギー消費量については、原油換算で2010年には2000年の1.5倍、2020年には2.2倍に急増する見込み。
  4. 電力については、2003年より発電所の増加を急速に進めており、電力不足の緩和に努めている。

結論としては:中国を飛行機にたとえると、有能なパイロットは確かに存在しており、外貨準備高は今後も急速な増加を続け、日本の水準に近づくだろう。また、中国経済は2010年までは好調を維持し、エネルギー消費の増加は外国企業に対しビジネスチャンスをもたらす。

一方問題も多い、政治の経済に対する影響が依然として大きすぎ、地域間の格差も余りに大きい。今後も共産党一党独裁の政治体制が続けられるか?或いは、貿易及び外国からの対内投資の増加が今後も続けられるか?さらに環境汚染問題、特に飲料水不足も深刻である。

Q1(沢田氏): 中国は今後も高度成長を維持できるだけのエネルギーを確保できるか?

A(ド・メスティエ氏):原油の輸入が今後益々問題となろう。アジア最大の輸入国である日本にとっても供給先確保と言う点では競争相手になるだろ う。中国の原油輸入システムはまだ不完全で、今後原油輸入ターミナルやパイプラインの建設を急がねばならない。いずれにせよ、世界経済にとってはインフレ 要因となる。

Q2(沢田氏):英国の雑誌“The Economist”の元編集長ビル・エモット氏は最近の著書「日はまた昇る」(”The Sun Also Rises”)の中で、中国と日本をイソップ寓話のうさぎと亀にたとえ、もし日本が堅実で、繁栄を続け、かつ信頼できる亀である事を示せば、将来の中国と の競争に勝利するだろうと言っています。 コメントは?

A(中島氏):日中両国とも大きな課題がある。中国は今後、現在の高度経済成長を維持するのは難しいかもしれない。特に地域間の大きな格差から生じ る社会不安を回避しつつ、経済構造を内需中心に変えて行かざるを得ないだろう。一方、日本は人口減少社会にはいり、企業は技術進歩による生産性の向上を今 まで以上に図る必要がある。

A(ド・メスティエ氏):中国の成長率は確かにうさぎのように速いが、それは発展途上段階の低い水準からの成長だからであって、成熟経済の日本の場合は低成長でも、増加額は極めて大きい。従ってまだ比較にならない。

Q3(沢田氏):中国において、日仏両国は今後どのように協力を更に深めて行けるだろうか?

A(中島氏):過去、日本企業は中国とのビジネス経験の深い台湾企業と共に中国進出を行なったが、今や、同じ事をフランス企業が日本企業と組んで行なえるのではないだろうか? 更に販路を有する日本企業と技術力のあるフランス企業の連携も考えられる。

A(ド・メスティエ氏):既に1980年代にTOTAL社と出光等の日本企業との中国南部での油田開発の成功例がある。同様の連携を中国における生産などで行なう事は十分に可能である。

 

【フロアとの質疑応答】

Q1(ESSEC大学、ローラン・ビバール氏):今後、中国が“世界の市場”になる為にはどうしたら良いか?

A(中島氏):中国全体が世界の市場となる事はあり得ない。一つの方法は、内陸部の貧困層に移動の自由を与え、沿海部に住まわせる事であるが、これ はそう簡単ではないだろう。また、現在の共産党の一党独裁下では、連邦制も難しかろう。また、今後「世界の工場」としての中国の機能が益々発達すると、結 果的に人民元の切上げを余儀なくされ、輸出が難しくなり、内需を大幅に拡大せざるを得なくなるのではないか?

Q2(東京大学、池上久雄氏):中国の法制度や会計制度の未整備のため、多くの日本企業は困難を経験してきたが、TOTAL社は成功を収めている。TOTAL社の場合そうした困難には遭遇しなかったのか?

A(ド・メスティエ氏): 奇跡をもたらすような秘訣は特にない。中国でのビジネスは大変難しいと考えている。失敗しているフランス企業の例も数多くある。中国で巨富を築いたフラン ス企業は未だないと思う。これが現実である。ただ、自動車や船舶の製造は今後徐々に中国で行なわれるようになるのではないか?

Q3(ドイツ証券、高橋衛氏):ベルリン・オリンピックの8年後、モスクワ・オリンピックの8年後にはそれぞれ大きな政治的な変化が起きている。北 京オリンピックの8年後にも大きな変化があると仮定するならば、また既に指摘されている様々な課題を解決する為には、現在の市場経済的共産主義の中国型と 民主主義かつ資本主義の日本型のどちらがより適当か?

A(中島氏):中国のような発展途上国と異なり、先進国の殆どが民主主義国家であり、比較的高い成長率を維持している。中国の場合もある時点で政治 体制を民主化することが必要となろう。そうすれば、社会的な不満もより吸収しやすくなるはずであり、かつ相応の経済成長も期待できるだろう。

 

【在日フランス大使館経済部 経済公使 ジャン-イヴ・バジョン氏によるまとめ】

1.日本:強みとしては、

  1. 対中輸出、対中投資はフランスの10倍である。
  2. 歴史的には総合商社が市場開拓に努めてきた。
  3. 資本財に強い。
  4. 日本製品の品質は高い評価を得ている。などが挙げられる。

弱みとしては、

  1. 政治、外交関係
  2. 日中国民の気質が著しく異なる事。

2.フランス:強みは、

  1. 政治、外交関係が良好。従って航空機、通信、輸送などの面で成功を収めている。
  2. フランス人の気質と似ていて、よく理解できる。

弱みは、

  1. 資本財に弱い、
  2. 中国の市場は未だ、フランスが強みを持つ消費財市場にはなっていない事である。

本日のデバで、中国には多くのリスクや課題がある事が分かった。例えば環境問題、通貨制度等である。我々皆が中国に対しては懸念を持っている。しか し、中国は当面成長を続けるであろうし、その潜在力は依然として大きく、引続き様々な機会を提供してくれるだろう。日仏両国はその相互補完性に着目し、今 後も大いに協力できるのではなかろうか?

レポート:パリクラブ理事、沢田義博氏

公演「フランス国立リヨンオペラ座バレエ団」

日仏経済交流会(パリクラブ)後援

パリクラブではこのたび、神奈川芸術文化財団の開催するフランス国立リヨンオペラ座バレエ団の公演を後援することになりました。

リヨンオペラ座バレエ団はフランスの国立バレエ団ならではの高度なバレエ・テクニックをベースに、同時代の振付家の多彩な作品に挑戦しているユニー クなバレエ団として、注目を集めています。5年ぶりの来日公演となる今回の公演は2006年2月にリヨンで発表される新シーズンのプログラムで、世界の現 代ダンスシーンを塗り替える刺激的な作品を次々と作り出している3人の女性振付家、マギー・マラン、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル、サシャ・ヴァ ルツが、それぞれバッハ、ベートーヴェン、シューベルトといったクラシック音楽に挑んだ日本初演3作品を一挙上演されました。

コンテンポラリー・ダンスの最前線を体感できる贅沢なプログラムです。

日時 2006年3月4日(土)18:00開演
2006年3月5日(日)16:00開演
場所 神奈川県民ホール大ホール
チケット 前売/一般5,000円、学生3,000円
県民ホールチケットセンター 045-662-8866

酒蔵を訪ねる会

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所( CCIFJ )共催

日時 2006年2月4日
場所 寒梅酒蔵株式会社
久喜市中央2-9-27(JR宇都宮線、東武伊勢崎線久喜駅西口から徒歩3分)
Tel 0480-21-2301
URL:http://www.kanbai.co.jp/( アクセスマップあり )
スケジュール 14:20 集合
14:30~16:30 酒蔵見学、質疑応答、利き酒など
17:00~19:00 感想交換会 和食レストラン「おかの中央店」
交歓会会費 5,000円
(お料理、同社製のお酒、ソフトドリンク付き、但し酒蔵見学のみの場合は参加無料)

パリクラブとCCIFJの冬の恒例行事の酒蔵訪問が14名の参加を得て(フランス6名日本8名)2006年2月4日に行なわれました。訪問先は昨年 と同じ久喜市の寒梅酒造。越後杜氏星野馨さんによれば、例年にないこの冬の寒さで今年のお酒は上々のできとの由。鈴木逸郎社長からは、1821年来の酒蔵 の歴史、久喜市の水が最大の立地理由など熱のこもった説明がありました。質問が飛び交い高田副会長は通訳にてんてこ舞い。ご苦労様でした。

日仏参加者待望の利き酒が行われた後、製造過程に沿って酒蔵をくまなく見学。大きなタンクから発する新酒の香りに酔わんばかりでした。そう言えば、 仕込み中のお酒(生もと)は微妙なもので香水などほかの匂いの影響を受けやすいとのこと。今は稀な密閉式でない伝統的酒造り工程ならではの身にしみる話で す。店頭販売では、フランスの方も熱心にたくさんお買い求めになっていました。

そのあと、「試飲懇親会」が料亭「おかの」で開催されました。日本料理を楽しみながら、連続金賞受賞の「飛翔天」を皮切りに、「にごり生酒」、「し ぼったまんまの純米酒」、「心意気(シラノ・ド・ベルジュラックの最期の科白にあやかってPanacheと命名)」、辛口の「山廃仕」、「樽酒」、天皇陛 下も賞味されたたという「彩の国」の計7種類の銘酒を鑑賞しました。一行は、鈴木社長に見送られて7時半過ぎに久喜駅を後にしました。

レポート:パリクラブ理事 五味文三

フォーラム「日本における外国人学生の実務研修」

パリクラブ・在日フランス商工会議所・日仏青年交流会(AFJEJ)・日仏会館・日仏協会 共催

日時 2005年11月15日(火)18時15分~
出席者 ■ユベール・ド・メスティエ
在日フランス商工会議所会頭、日仏青年交流会会長、Total Trading International 北東アジア代表
■綿貫健治
横浜国立大学専任講師、元ソニー・フランス副社長
研修生受け入れ企業 木滑幹人 富士通(株)米州欧州ビジネス本部欧州営業統括部長
前田紘利 日本シュネデール・エレクトリック(株)HR本部本部長
花井勝三 日揮(株)資源開発プロジェクト本部長代行

1115-forum2005年11月15日、パリクラブ、日仏青年交流会、フランス商工会議所、日仏会館共催のフォーラム「日本における外国人学生の実務研修」が開催された。

フランスでは学生の実務研修(STAGE)は卒業に必要な必修単位であり、多くの若者が日本での研修を希望しているが、現状は充分に満たされていな い。そこで学生の実務研修の支援組織や受入れに係わる企業の幹部、研修に携わった学生からの報告を通して、日仏の青年交流や企業のグローバルな人材活用と いう観点から日本における実務研修の現状と問題点について考えてみた。

第1部はフランス商工会議所会頭、日仏青年交流会(AFJEJ)会長ユベール ド・メスティエ氏によるAFJEJの発足の背景、目的、活動内容の紹介。

第2部は、横浜国立大学専任講師(元ソニー・フランス副社長)綿貫健治氏による基調講演。その内容は、日米のインターンシップを比較した場合、日本 のものは歴史が浅く、制度が完備されていないため、受入れ企業が少なく(日本は米国の8分の1)、期間も短く(2週間以内が大半)、余裕のある会社に限定 されている。一方米国のものは社会に根付き、企業の教育に対する社会的責任感を背景に、プログラムと社会のニーズの制度的整合性が取れている。また、ソ ニーの場合は短期間ではあるが内容は職場の要望によって採用直結型、企業PR型、実務型に分かれ、受入れの目的は日本企業・文化の理解、大学の専攻を生か した将来のキャリア体験、自己の適性のチェックと専門領域の拡大。長所は職場の活性化、若手育成、英語習得等。短所は体制の調整、準備が大変なこと、コス トや秘密保持の問題、専門部門を除いて直接必要とする部門が少なく、社内の個人的なイニシアチブによるところが多いこと。

続いて第3部では日本での実務研修をきっかけに卒業後も日本で活躍する3人のフランス人元学生による感想や意見の発表。研修先:東洋インターナショナルFX, レストラン・ラ・ブルターニュ、光洋精工、大阪府国際交流財団、ソシエテ・ジェネラル銀行。

第4部は受入れ企業3社による実例報告。

  1. 富士通(株)米州欧州ビジネス本部欧州営業統括部長、木滑幹人氏による過去2回のESSEC学生受入れの報告。研修テーマは部で取り組ん でいる案件に近いものを選択し、主に欧州市場動向や技術動向の調査。打ち合わせやTV会議への同席、工場見学等を通じて富士通に対する理解を深める行事 も。2005年度の主なテーマは“欧州でのグリッドコンピューティング”“欧州でのユビキタス普及状況”“IP Multimedia Sub-system”。
  2. 日本シュネデールエレクトロニックス(株)HR本部本部長、前田紘利氏による、フランスの複数技術系大学からの受入れ実績の報告。研修は 主にロジスティック管理とファイナンス業務。外国人の物の考え方を肌で知る効果や、“外的刺激”として従来の殻を破る上で有効であったこと。今後の課題と しては、セールスや技術関連部門との提携、十分な仕事を事前に用意すること、上司による部下や研修生の育成意識の向上等。大半の研修生が卒業後同社に就職 している。
  3. 日揮(株)資源開発プロジェクト本部本部長代行、花井勝三氏によるリヨン大学学生(8年間に8人)の資源開発プロジェクト本部での5ヶ月 研修の報告。工夫している点はチューターをつけ、15講義の教育カリキュラムや工場見学等を実施するほか、Task Force Teamに投入していること。問題点としては費用対効果の問題、就職を希望する学生がいる、事故等が生じた場合の対処方法等。

最後に、司会進行を務めたパリクラブ常任理事、ESSEC大学グループ日本連絡事務所代表大森順子氏より、日本が世界に理解されるには、若者が交流 しなければならない。今、日本の大学に在籍している外国人は大半がアジア諸国からの留学生で、欧米留学生はほとんどいない。しかし世界第2位の日本の経済 力がどうやって形成されたのか日本での企業研修を通して学びたいとする欧米人は多数いる。彼らに日本に来る機会を与え、より多くの知日派を作ることが日本 に必要なことであり、多くの方々の協力をお願いしたいとの挨拶で盛会のうちに終了した。

レポート:パリクラブ常任理事、ESSEC大学グループ日本連絡事務所 大森順子