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【開催済】講演会「日本人の働き方―欧米との労働環境や労働観との比較をしながら、日本の労働環境を考える―(政治経済パネルディスカッション、日仏文化講演シリーズ第315回)」

パネリスト:ピエール・ムルルヴァ(在日フランス大使館経済公使)、奥村隆一(三菱総合研究所)、矢野文之(一社 日本在外企業協会) 司会 増渕文規(帝京平成大学、日仏会館)

現政権が進める「日本人の働き方改革」は、日本の長時間労働にメスを入れる試みとして評価されますが、単に残業時間の規制をするだけでは、日本的労働の本質は変わりません。稟議制や、コンセンサス重視、完璧主義などを見直す必要あり、欧米との対比でクリアにしたいと思います。

開催日時:2018-01-24(水) 18:30 – 20:30 (受付開始:18:00)

会場 日仏会館ホール
定員 130
参加費 日仏会員会員・パリクラブ会員 無料
(一般 1,000円, 学生 500円)
事前登録
言語 日本語、フランス語(同時通訳)
主催 (公財)日仏会館
共催 日仏経済交流会(パリクラブ)

お申し込みは下記日仏会館のホームページよりお願いいたします。
https://mfjtokyo.or.jp/events/lecture/20180124.html

【レポート】《西村達也、究極の旅行者》ナショナル・デ・ボザール出展記念レクチャー

フランス人の感動を呼んだ山の絵

1月15日に日仏会館ギャラリー(東京・恵比寿)において、パリクラブ理事の西村達也画伯を講師にお招きし、昨年12月にルーブル美術館地下で開催された「ナショナル・デ・ボザール展」への出展を記念したレクチャーと懇親会を開催しました。西村画伯は1953年、熊本県の出身。東京理科大学理工学部物理学科卒という異色の経歴で、2006年に「ナショナル・デ・ボザール特別賞」を受賞されるなど、国内のみならずフランスでも高い評価を得ています。
また、1月から会館エントランスに大作「カラコルム山脈」(50号)が展示されています。会館へお越しの際は、ぜひこの素晴らしい作品を鑑賞なさってください。

日仏会館エントランスに展示されている「カラコルム山脈」

日仏会館エントランスに展示されている「カラコルム山脈」

由緒ある「ナショナル・デ・ボザール展」では、「ピラミッド」「スフィンクス」「赤富士」「紅葉の妙義山」「燃える桜島」など計8作品が展示され、大反響を呼びました。本来、4日間の開催予定が、漏電の影響でボヤが出たため、3・4日目が中止になるという残念なアクシデントがあったものの、会期中は約3000人が来場。フランスでは山の絵を描くことが珍しいらしく、富士山や妙義山、桜島などの作品に「ビューティフル」「トレビアン」と多くの賛辞が寄せられました。また、作品に額がなかったこと、展示作品のバックが黒で、カラフルな色彩がスポットライトを浴びて浮き上がるような感じになったことも、来場者には新鮮に映ったようです。
「日本ではピラミッドの作品の評判がよかったのですが、向こうの人たちにとってエジプトは近いので、しょっちゅう訪れており、あまり珍しくはないのですね。ちなみに、ブルーの瞳を持つ彼らは、ブルーの絵がもっときれいにみえ、黄色はオレンジにみえるそうです」とのお話をうかがい、日本人にとっては神秘的なピラミッドがフランス人にとっては日常的なもので、逆に日常的な山の風景を神秘的に感じるという文化の違いが興味深く、そして日本人にはないブルーの瞳に映し出される未知の色彩を体験してみたいと思いました。

ピラミッドを描いた作品

ピラミッドを描いた作品


色鮮やかな富士山を描いた作品

色鮮やかな富士山を描いた作品

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【開催済】《 西村達也、究極の旅行者 》ナショナル・デ・ボザール出展記念 レクチャーと懇親会のご案内

2017年12月、ルーブル美術館地下で開催される 《ナショナル・デ・ボザール展》 では パリクラブ理事の西村達也画伯の作品10点が壁面一面に展示されます。また来年1月には彼の作品が日仏会館エントランスホールを飾ることになりました。これを記念し、日仏経済交流会(パリクラブ)では記念レクチャーと懇親を会開催いたします。150年を超える歴史を持つフランスのナショナル・デ・ボザールとはどういうサロンでそれに出展することは日本人画家や美術界にとってどのような意義があるのかなど、芸術と経済に視点をおいてお話いただける予定です。ギャラリーでは出展作品もご鑑賞いただけます。是非お誘いあわせの上ご来場ください。

高橋道夫画伯(左)と西村達也(右)

《パリ・ナショナルボザール展 オープニングにて》高橋道夫画伯(左)と西村達也(右)

西村達也 プロフィール

1953年 熊本県に生まれる
1977年 東京理科大学 理工学部 物理学科卒業
1996年~ベニス、北京などスケッチ取材旅行、個展の開催
2006年 サロン・ナショナル・デ・ボザール(仏)特別賞受賞
2006年 NPO法人 日本美術振興支援協会 理事長就任
2009年 エイズ・チャリティー美術展出品 現代美術大賞受賞
2010年 エイズ・チャリティー美術展出品 ナショナル・アート賞受賞
2011年 エイズ・チャリティー美術展出品 NAC現代美術大賞受賞
2016年 銀座創英ギャラリーにて個展
2017年 パリ・ナショナル・デ・ボザール 10点出品

日時 2018年1月15日(月) 18時~20時
   18時~ レクチャー 《 芸術と経済 》
   19時~ 懇親会
場所 日仏会館 ギャラリー
   東京都渋谷区恵比寿3-9-25
主催 パリクラブ
協力 TMF日仏メディア交流協会
参加費 パリクラブ、TMF、日仏会館の会員 1000円
一般の方              2000円

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なお 日仏会館エントランスホールでの展示は2018年1月15日~1月31日(最終日は15時まで)です。

【レポート】《 Salon de Paris Club 》講演 「味の素は如何にしてヨーロッパで旨味調味料メーカーとして生き残るか」

今回の感想をご来場者にお聞きしました。

最初は、飯尾まさ代さんとそのご子息である飯尾愛一郎さんです。
飯尾さんの娘さんもパリクラブ会員で、飯尾さんは以前開催された第1回サロンドパリクラブにもご参加いただいております。
「味の素さんは、早期に欧州へ進出するために、ローカル企業と結びつき、現地で材料を求めて現地生産を行っていらっしゃいましたね。70年代にアメリカへ進出し、現地生産を行った日本の自動車メーカーと同じやり方という印象を持ちました」と飯尾愛一郎さん。「今後も、こうしたフランスで活躍されている方の講演会に出てみたいと思っております」
「私は会社経営をしております関係で、経営や海外事業に興味があります。味の素さんのような大企業とは経営方法なども、もちろん異なりますが、参考になる部分もたくさんございますので、ぜひまた参加させていただければと思っております」と飯尾まさ代さん。

お二人目は、趙 采薇 (チャオ ツァイウェイ)さん。ご出身は台湾だそうです。日本の大手PR会社で、日本の公共政策及び政府関係の研究をされておられます。
本日参加されたきっかけは、仕事上で知り合った在日フランス企業の方からの紹介でした。今回の講演会の内容を知って、本日初めてパリクラブのイベントに参加されたとのこと。
「日本企業がフランスやヨーロッパへ進出し、どのように事業展開をしていくのかがよくわかった講演会でした。大変意義深い講演会でした。実は、以前パリで仕事していた際、味の素さんのパリオフィスへ訪問したこともあるんです。これからもビジネスや文化関係のイベントがあれば、また参加したいと思います」

次に、グロワン・クレモンさん。
世界に数多くのレストランや食料品店を展開する大手企業にお勤めになっていらっしゃいます。
「弊社は在日フランス商工会議所から今回のテーマの告知があり、味の素さんも食品メーカーだったので、面白いと思い参加しました。地元企業との提携やその問題点、撤退の際のお話など、何十年にわたって培ってきた事例が聞けて、大変興味深かったですね。自分の勉強のためにも、今回のような食品関連の講演会やイベントには参加していきたいと思っています」

最後は、ジャン・バルテルミーさん。「味の素の海外戦略、特に欧州戦略に関する三宅氏のプレゼンテーションは当該事業部とパートナーの競争優位の進展という意味で大いに示唆に富んでいたと思います。欧州でのジョイントベンチャーのパイオニアである味の素は永年にわたってパートナーシップを評価し続けてきました。これらの意思決定に関する説明を味の素内部の人からお聞きすることができたのは魅力的でした。アグロ・食品セクターを超えて、これらの学びは欧州での成功にとって価値あることだと考えます」

【開催済】《 Salon de Paris Club 》講演 「味の素は如何にしてヨーロッパで旨味調味料メーカーとして生き残るか」

味の素は売上高1兆2千億円、日本最大の食品メーカーです。元々は1908年に当時の東京帝国大学博士池田菊苗氏が昆布から発見したグルタミン酸が発展し、昆布出汁、旨味調味料を生み出しました。その後1909年、味の素創業者である鈴木三郎助によって「味の素」の名で製品化されました。

ヨーロッパにおける投資は、現地生産のため1963年にイタリアManfredonia社に資本参加(1977年解消)したことに始まります。2003年、味の素はフランスのメーカーを買収し、ヨーロッパにおける旨味調味料の製造拠点にしました。これらの経験を通して、味の素はグローバルビジネスの何たるかを学びました。

本講演において、講演者の三宅氏は、新しい製品の創出、先進的なテクノロジーの開発、現地への貢献がこれから益々重要になると結論付けます。

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【レポート】久保昌弘氏講演会「日仏の経済情勢の変化と食の嗜好の変遷」

久保昌弘氏講演会「日仏の経済情勢の変化と食の嗜好の変遷」

政治・経済・観光・交通・ジャーナリズムが、料理を変えた

さる11月30日、赤坂の日本財団ビルにてパリクラブ理事で辻調グループに所属する久保昌弘氏の講演会が開かれました。講演タイトルは、「日仏の経済情勢の変化と食の嗜好の変遷」。EU解体危機が叫ばれる中マクロン政権がスタートして間もないフランス、2年後にオリンピックを控えた日本……と、両国経済の歴史を“食”という切り口で横断的に俯瞰しようというタイムリーな企画だけに、会場には予定の定員数を超す受講者が詰めかけ、静かな熱気に包まれました。

久保昌弘氏食に関して、経済状況はどのような影響を及ぼしているのか?それを語るには、人・モノの動きが食に与えるある種の新しい変化に注目する必要がある――と語る久保氏。氏の話す「経済」とは、「人の動きが食に及ぼすダイナミックな影響」と言い換えてもいいのかもしれません。
久保氏が、まず大きな例として挙げたのは、ミシュラン・ガイド。今では誰もが知る、タイヤメーカー発行のこのガイドブックは当初、車が故障したとき、修理のために立ち寄るガレージやガソリンスタンドの情報誌として配布されたいわゆるフリーペーパーでした。後に有料化され、それに伴い、車で立ち寄れるホテルやレストランの格付けを掲載するようになったのは1931年のこと。元々パリから南仏に抜ける街道筋には多くのレストランやホテルがひしめいており、そう考えると、モータリゼーションと結びついたジャーナリズムが、まっさきに着目したのが“食”の格付けであったのは自然ななりゆきといえます。それが交通網の爆発的な発達で“世界標準”として広がった結果、レストラン評価の社会認知を高め、興味深いことに、大衆化もまた加速されたのでした。
フランス経済における戦後から1974年までのいわゆる“栄光の30年”で、久保氏がフランスの食文化におけるターニングポイントとして挙げるのが、1968年です。五月革命がもたらした政治的・文化的ケミストリーは、学生の主権や女性の自立を促すと同時に、料理にも変革をもたらしました。近代料理の祖といわれるオーギュスト・エスコフィエ氏(1846~1935)以降も、なおバターを多用し重いものだったフランス料理に、新鮮な素材を重視し、加熱時間を短縮させるという動きが起きます。それによって始まった、「盛り付けは斬新に、料理は軽さ追求」という革新は、「ゴー・ミヨ・マガジン」誌上でヌーヴェル・キュイジーヌと名付けられ、大きなムーヴメントとなりました。そして、伝統食文化保護の立場から、食材や工芸の原産地統制呼称の認定も進み、地方料理の尊重提言もされました。
いっぽう、戦後から1974年までに年平均9.1%という類を見ない高度経済成長を果たした日本では、1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博を経て、本物志向・海外志向が高まりを見せます。また、フランス人シェフに感化され、多くの料理人がフランスに渡り始めたといいます。

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