イベントカレンダー

【レポート】第3回 剣持マスターソムリエセレクションによるワインとフレンチのマリアージュ

11月26日 第3回目のワインとフレンチのマリアージュイベントを麹町の「バーはるレストラン」で開催しました。ワインの会はブラインドテイスティングの会が毎年開催されておりますが、このようなワインと料理を純粋に楽しむイベントは開催実績が少なかったこともあり、年1回のペースで開催しており、今回で3回目となりました。
ワインはスターターとしてシャンパーニュ、白ワイン2種、赤ワイン1種、デザートワイン1種の5種類、ワインと食事が組み合わさったペアリング形式のディナーを20名強の皆さんとともに楽しみました。
会に先立って、剣持マスターソムリエ並びに料理長より料理の説明がありました。

まずは、スターターでシャンパーニュ(Comtesse de Gramont Brut)。
このワインは95%黒葡萄から作られていて、ピノムニエ・ピノノワールを主原料とし、5%のシャルドネ種をブレンドして作られています。まろやかさと力強さが特徴とされています。
最初のオードブルはアンチョビとクロワッサン、生ハムとアボガドでした。
続いて、アルザスの白ワインでピノ・グリ、ピノ・ブラン、リースリングのブレンドワイン。アルザスは昼と夜の温度差が激しく、雨が降らない地域で、斜面を利用してワインが作られるのが特徴との説明がなされた後、ワインにあわせる冷製オードブルとして鮮魚のカルパッチョが提供されました。

続いて北ローヌ地方のクローズエルミタージュで作られたマルサンヌ種100%の白ワイン(Crozes Hermitage Blanc Les Jalets)が提供されました。こちらには魚のテリーヌに赤いパプリカのソースを添えた料理がセットされました。Les Jaletsは小石の意味で小石の土壌で白い花の華やかな香りの後に、熟したアプリコット、そして爽やかなハーブのニュアンスがあるのが特徴です。魚のテリーヌは良くマッチしていたと印象的でした。

続いてフォワグラ、その後にカモのコンフィが提供され、これに赤ワインがペアリングされました。赤ワインはシャトー・ヌフ・デュ・パブ(Chateauneuf du Pape Classic Domaine de Nalys)でグルナッシュ主体、シラー他数種の品種の混醸ワインになります。果実のコンフィチュール、甘草、純度が高い果実が現れます。スパイス、キイチゴやサクランボのような赤系果実が感じられ、キメ細かいタンニンが特徴的でした。ただ、グルナッシュ品種の特徴である果実味は他の同品種のワインと比べると抑揚的な印象も受けました。
料理はカモのコンフィで元々はフランス南西部の料理とされ、マルベック品種がマッチするといわれていますが、このワインとの相性も絶妙でした。

最後のデザートワインはポートワイン(Quinta do Portal LTB 1996)でした。古酒であるため、デカンタージュのうえでサーブされましたが、剣持ソムリエがコーヒーを濾すペーパーフィルターを使われていたのが印象的でした。

次年度以降の企画は未定ですが、多くの参加者から御好評を頂きましたので、来年以降も企画を検討していければと思っております。

【開催済】剣持マスターソムリエセレクションによるワインとフレンチのマリアージュ

連日の猛暑が和らぎつつありますが、お変わりなくお過ごしでしょうか?
来る11月26日(火)、日本ソムリエ協会 最高技術顧問をつとめておられる剣持春夫マスター・ソムリエをお迎えし、ワインと料理のマリアージュを企画いたしました。
剣持ソムリエセレクションによるフランスを中心とした欧州のワインとワインを巡る物語を伺いながら、料理をお楽しみいただければ幸いです。
会食は『Bar はる Restaurant』でのフレンチを予定しております。
カジュアルフレンチレストラン&バーで落ち着いた雰囲気の個室で料理とお酒を楽しんでいただくスタイルです。本企画は今回で3回目となり、開催場所は前2回とは異なりますが、基本的なコンセプトは変わりありません。

suite »

【レポート】講演会「任期後半の第2幕とマクロン大統領の経済政策」

2019年12月4日
瀬藤澄彦

国民討論会・ビアリッツG7サミットで軟着陸

2022年4月の次の大統領選挙まで30カ月を切ったフランスの政局は早くも慌ただしさを感じさせるようになった。政権発足からちょうど折り返し点を迎えたマクロン大統領は2019年4月25日、300人のジャーナリストを一堂に会してエリゼー宮殿で初めて記者会見を行った。ジレジョーヌ運動を受けた12月後半からの全国国民討論会を3月に終えて、その成果を踏まえた今後の政治の方向性と指針を示した。政府予想の2倍の1万300回の公聴会、1万7千の質問、3月18日締め切られた。政府与党はこの国民のヒアリングの後に国民がどう評価するか注目された。討論は4大テーマ設定、即ち「環境生態」「税制」「民主主義と市民」「国家機構と公共サービス」を巡ってなされたが、全国の市町村長連合(3000~5000)について郵送アンケートでもなされた。集計結果では、選出議員の特権、税制、車の時速80km制限、購買力、田園農村の荒廃、移民問題の6点に国民の関心と不安の大きいことが判明した。マクロン大統領は国民討論により人々のなかに「根付く」(enracinement)ことの大事さを感得したと強調。Institut Elabe世論調査によると70%の人は解決に至らず政府の実行に疑問を呈している。現時点11月で大統領支持率は春以降の上昇局面にあったが30%央からやや下げている。5月27日の欧州議会選挙では極右RNとの僅差で第1党を譲った後、来年3月(15日と22日)の全国市町村選挙に照準を当て候補者選びなどが本格化している。昨年のベナラ事件に比べるとN.ユロの後に環境大臣に昇格したF.ドルジの公金流用による辞職やナントのローヌ川での青年の水死の治安警察の検証などあったが今夏は8月下旬のビアリッツG7サミットでのマクロン大統領の精力的な世界的な外交の舞台づくりが注目を集め乗り切った。

第2幕の重点施策~年金改革など

ピザニ・フェリーはマクロン2017年選挙以来の経済政策の中心的推進者の有力エコノミスト。彼はルモンド紙に次のようにその「悔悛の思い」を綴っている。「大統領任期5年の第一局面は公約を掲げることであった。期待に応えるものではあったが、上位下達のジュピター型のやりかたは、もっと集団的な意思決定の方法にかえるべきであった。これが欠けていた。改革の姿に疑いが生じた」。フィリップ首相。CESEで、「真実の開示の国民議論だけで問題の処理は終わらない」。経済政策は今後、財政緊縮と減税と公共サービスという3つの課題の同時達成というトリリンマとも言うべき難しい舵取りを強いられる。
第2幕ActeⅡとされる任期後半の政策運営の8つの重点を盛り込んだ来年度予算案PLF2020が国民議会と上院で審議されている。第1は高齢化進行で賦課方式の42種類もある巨大機構の年金制度の一元化と給付開始年令などの改革案にはすべての年金組合労組は反対で12月5日から無期限ストに入ると宣言している。政府は現在の四半期ベースからポイント制度への切替や、62才から65才への受給開始年令変更を提案して改革を進めようとしている。実施は孫の代からとする妥協案プランBも浮上している。
第2は社会保険料の世帯負担引下げ90億ユーロを今年第1四半期に次いで追加された。さらに5年任期中に世帯向け270億、事業主向け130憶の社会保険料の引下げを計上する予定である。第3は炭素税引上げの復活は富裕層を除いてしない。第4は行財政改革で公務員削減は5万人から1万人強に縮小。これらの追加財源は19年度の歳入増、とくに今年始まった所得税の源泉徴取導入による増収や低金利による節約によって確保しようとしている。財政赤字は2.2%と最低水準の見通しである。第5は財政均衡を達成するためにはジレジョーヌ対策費、37億ユーロの住民税の廃止や8億ユーロ相当の残業代税控除などたばこ値上げでは十分ではないかもしれない。第6は国民討論会から出てきたRIC(市民主導直接投票)の実施や都市圏広域行政の一部見直しである。第7はENA等の高等大学院の改廃を年末発表予定のF.ティリエ報告を踏まえて実行に移す予定である。第8は移民に関連した1905年法の改正である。大統領選挙では極右に流れる可能性もあると言われるなかで、あえて移民やイスラム教の問題に無関心でないことを選挙民に示そうとしている。

独仏の経済成長逆転~潜在成長率引上げが課題

2019年のフランスの経済成長率は2018年3四半期以降、顕在化してきたドイツを上回る伸び率が続きいている。多くのエコノミストはフランスの経済成長率がドイツを通年でも上回ると見込んでいる。しかしながらこのことはフランス経済が好調に推移しているというよりも安定した成長率を続行けていると言ったほうがいい。何故なら通年でユーロ圏の成長率1.2%を上回る1.3%であるものの、政府が5年間で見通していた平均1.6%にはかなり下回るものである。INSEEやOECFなどの調査機関では任期5年間の潜在成長率を1.25%前後に推計しておりかなりの落差がある。潜在成長率を高めるにはTFP(全要素生産性)の引上げが必要であり、フランスの場合は失業率の引下げと生産性と投資の引上げために労働改革とイノベーションが実行に移されなければならない。

【開催済】講演会「欧州主要国の経済政策点検 フランス、ドイツ、英国」~欧州統合をどう前進させられるか

少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。皆様お元気でお過ごしのことと存じます。
さて、パリクラブではひさびさに経済をテーマとした講演会を開催することになりました。
揺れ動く欧州の経済情勢をエコノミストの瀬藤澄彦氏(前パリクラブ会長)が解説いたします。
奮ってご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

お話しさせていただく論点はおおよそ以下の6つです。

  1. 2017年大統領選挙公約点検とポスト・ジレジョーヌを受けた第2幕入り宣言のフランス・マクロノミクス
  2. 一人勝ちを誇っていたドイツ経済に忍び寄る衰退の始まりと90年代停滞時代の再来の可能性
  3. 気になるポスト・メルケルのドイツ
  4. BREXTの英国経済の長期展望と「グレター・ブリティッシュ」の夢
  5. ランス経済財政大臣提唱の欧州帝国論の登場
  6. ベノワ・シアンポ教授の4つの統合の教訓

suite »

【開催済】《 教養としての美術講座 》第6回「浮世絵の画家」

5月からスタートした《教養としての美術講座》の第6回目は 11月16日(土)に祖師ヶ谷大蔵駅近くにある “アトリエそら豆“にて開催いたします。 (10月は台風のため休講になりましたので1か月繰り下げての開催となります。)
画家であり、美術品鑑定士、そしてパリクラブの理事でもある西村達也氏より 「浮世絵の画家」をテーマとしてお話を伺います。

日 時 2019年11月16日(土)
   15:00~       受付
   15:30~16:30  講義
   16:30~17:00  質疑
場 所 アトリエそら豆 
   東京都世田谷区砧6-29-5
   Tel:03-6411-5400
講 師 西村達也画伯
主 催 NPO 日本美術振興支援協会
後 援 パリクラブ
参加費 1500円(そら豆特製ケーキとコーヒー又は紅茶付き!)

人数に限りがありますので、参加ご希望の方はお早めにパリクラブHPよりお申し込みください。

イベントに申し込む

【開催済】第8回「たそがれ時の談話室」冷戦終結はいったい何だったのか? 30年を振り返る

今からちょうど30年前、1989年は歴史に刻まれる激動の年となりました。世界を根底から揺さぶる出来事が起きたからです。冷戦体制の崩壊です。その年の夏から、ポーランドやハンガリーなど各国で独裁政権が次々と倒れる東欧革命が始まりました。11月にはついにベルリンの壁が開放されました。それから30年。TMFでは30年前の史実を今に引き寄せて冷戦終結はいったい何だったのかを問いたいと思います。

当時は、東側の独裁体制の崩壊により、民主主義と市場経済が広がって世界は安定し、「歴史は終わる」という識者まで登場しました。その30年後の今、民主主義と市場経済はともに大きな疑問符を突きつけられています。右のポピュリストは代表制民主主義を特権階級の支配の道具だと批判し、強権的な政治体制への移行を促しています。左のポピュリストは、グローバル化した市場経済をやはりエリート支配のシステムだと指弾して人々の支持を集めています。冷戦終結は、世界に自由と豊かさをもたらしたように見えて、深刻な不平等も生みだしました。人々は自由を感じながらも、その同義語ともいえる不安にさいなまれる日々を送ることになったのかもしれません。 本テーマの発案者である大野博人氏(TMF副会長)と、当時やはりNHKの記者として現場を走り回っていた長﨑泰裕氏が、そのときの経験から今を相対化し、司会の磯村会長の進行で意見交換を行います。

会場の皆様との意見交換も予定しておりますので、奮ってご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。

suite »