9月18日(水) 身近な香水をきっかけに幅広い交流を目指して 「香りのプロダクト・バリエーションと日本マーケットについて」講演会 開催

香りのマーケットをきっかけに交流を深めたい

講演会を企画したパリクラブ理事の遠藤純也さん。

講演会を企画したパリクラブ理事の遠藤純也さん。

東京・表参道にある、株式会社フィッツコーポレーション プレスルームにて講演会「香りのプロダクト・バリエーションと日本マーケットについて」を開催いたしました。

今回のイベントは、日仏経済交流会の理事であり、フィッツコーポレーション 製造・ロジスティック部部長でもある遠藤純也さんが「フランスと関連が深く身近な製品である香水をきっかけとして、30~40代の中堅の会員や一般の方々との交流の機会を広げたい」と企画したものです。フィッツコーポレーションは、香水や化粧品の輸入、製造、企画、販売事業を行っており、フランスの各有名ブランドともエージェント契約を結び日仏間で幅広く事業展開しています。この講演会の実施に際しては、ゲスト講師の方や場所の提供、当日の運営スタッフまで全面的協力を頂きました。

当日の参加人数は約60名。これまでのイベントとは異なり、パリクラブ以外の方々や若い女性の方々に多くご参加頂きました。

ゲストスピーカー、フィッツコーポレーション国際部部長・竹内俊夫氏はパワーポイントを使って講演。参加者も熱心に聞き入っていました。

ゲストスピーカー、フィッツコーポレーション国際部部長・竹内俊夫氏はパワーポイントを使って講演。参加者も熱心に聞き入っていました。

講演会は、最初に、フィッツコーポレーション・須藤岳史執行役員が会社概要はじめ企業理念「豊かさが香るものづくり」や事業内容、社風などについて紹介。その後、国際部部長・竹内俊夫氏による本講演がスタートしました。竹内氏は、13年前にフレグランス業界に転身し、これまで120にも及ぶヨーロッパ各国のブランドと取引経験をお持ちとのこと。ヨーロッパの香水メーカーの間では超有名人で、まさに「person of fragrance」、香りのすべてを知っていらっしゃる方です。

講演では、まず「フレグランスの基礎知識」として、オーデコロン、オードトワレといった名称の違いや、トップノート、ミドルノート、ベースノートという揮発度の違いによる分類、天然香料と人工香料の種類と違いなどを解説。

続いて古代エジプト時代から現代にいたるまで、香りの歴史について世紀を追ってお話し頂きました。古代文明の人々の間で神への捧げものや装飾品、嗜好品として愛された香りの風習は、十字軍の遠征によってヨーロッパへ伝来、エチルアルコールの抽出方法の発見によって、14世紀には「ハンガリーの水」と呼ばれたオードトワレの原型が誕生したそうです。

そしてルネサンス期、王侯貴族文化が花開くと、フランスの宮廷貴族の間では香りが大流行。16世紀になると、フランスのアンリ2世のもとに嫁いだカトリーヌ・ド・メディチによって南フランスのグラースが香料生産地のメッカとして注目されます。

18世紀になると、ケルンで生まれたオーデコロン「ケルンの水」の普及や無類の香料好きで知られるナポレオンによって、宮廷貴族の間だけでなくより広くフランス大衆に香り文化が広がることに。

19世紀になると化学の発展に伴い合成香料が誕生、香料産業も興隆を極め、ウビガン、ゲランなどの現代に続く香水メーカーが誕生。

20世紀になると、女性の社会進出や地位向上など女性を取り巻く社会的状況や時代の変化に即した香水が数々生み出されてきたとのことでした。

参加者も体感、14種類の香水の特徴は?

講演会では、参加者が実際に紙片を使ってフレグランスの香りを体感することも。

講演会では、参加者が実際に紙片を使ってフレグランスの香りを体感することも。

竹内氏は、香水に使用される代表的な香り14種類について、その名称と特徴などについても解説。その中からシトラスノート、フルーティノート、スパイシーノートなど5種類については、参加者が実際にそれぞれの香りを嗅ぐこともでき、その違いを体感しました。

嗅覚は他の五感と異なり、最も疲労しやすいそうです。5番目の香りともなると、嗅覚が鈍感になったのか香りの浸み込んだ紙片を何回も鼻に寄せては首をかしげる姿も見受けられました。それだけより香りを作り上げるのは難しいということでしょう。香料を調合して理想的なフレグランスを創作するためには、10回以上、多い場合50回にも及ぶ調合が行われることもあるそうです。

香水をつける際のテクニックやエチケット、フレグランスの楽しみ方、香料の種類、歴史に残る名香の紹介などの話が続いた後、話題は世界のラグジュアリーブランドやビューティーカンパニーなどの市場動向に。世界のラグジュアリーブランドの中では、LVMH、KERING、リシュモングループが売上トップ3を占め、ビューティーカンパニーでは、P&G、ユニリーバ、エスティーローダーがトップ3となっているそうです。日本国内メーカーでは資生堂が4位、花王が6位とのことでした。また日本国内のフレグランスの売上は2004年をピークに近年は減少傾向にあるそうです。

最後に竹内氏は、日本における香りのトレンドについても言及、セレブリティブランドの興隆やフレグランスの購買動機として香り、価格、ブランドなどが優先されていることなどを報告、講演会が終了しました。

懇親会から~

会場のブレスルームには、古材・廃材とフレグランス製品によるインスタレーションが展示。

会場のブレスルームには、古材・廃材とフレグランス製品によるインスタレーションが展示。

懇親会ではアレグレス社のワインや軽食を楽しみながら談笑。

懇親会ではアレグレス社のワインや軽食を楽しみながら談笑。

初めてパリクラブのイベントに参加したという女性。「とても楽しかったです」

初めてパリクラブのイベントに参加したという女性。「とても楽しかったです」

「パリクラブは仕事の上でもとても役に立っています。もっと多くの人に参加してほしい」と話す会員の女性。

「パリクラブは仕事の上でもとても役に立っています。もっと多くの人に参加してほしい」と話す会員の女性。

「もっといろいろな企画があれば、ぜひ参加したいたですね。これからのビジネスの参考になればと思います」と話すのは起業したばかりという男性。

「もっといろいろな企画があれば、ぜひ参加したいたですね。これからのビジネスの参考になればと思います」と話すのは起業したばかりという男性。

続いて行われた懇親会の冒頭には、フィッツコーポレーション代表取締役・富樫康博氏にご挨拶頂きました。

富樫社長は、プレスルームにディスプレイした古材・廃材を使ったインスタレ―ションについて、香りが下から上へと香り立つイメージを表現していることや、氏が大好きなカルチェラタンの町にあるギャラリーのように、アートを発信する場として活用してほしい、といった想いを熱く語られました。

その後、同フロアにあるオープンテラスを見学、ひとときの夜景を楽しんだ後、懇親会へ。

参加された方々に少しお話を伺ったところ、「好きな香りについて体系的にお話を伺うことができて、とても勉強になりました。はじめて参加しましたが、パリクラブはとてもいい雰囲気。これからも興味のあるテーマのあるイベントがあればまた来たいですね」と30代の女性は話して下さいました。

また、かつてLVMHグループのブランドに勤めた経験があり、3か月前に起業したばかりという男性は、「ブランドのマーケティングに関心があります。今後フランスのブランドの方々による講演などがあれば、ぜひ聴きたいと思います」と話して下さいました。

また、約10年パリクラブの会員を続けているという女性は、「普段あまり知ることのできない、香りの基礎知識や歴史、世界のブランドの売り上げデータなどのお話を聞くことができて、とても面白かったですね。私はフランスの私立大学の日本連絡事務所に勤めておりますが、日本国内で学生の研修先や就職先などを探す際など、折に触れてこのパリクラブのお力添えを頂くことも多く、パリクラブは大変貴重な存在です。フランスという共通点があるのですから、若い世代の方にももっと多く参加してほしいですね」と話して下さいました。

こうして和やかな雰囲気の中、懇親会も終了。企画に携わった遠藤さんは「企業の協力を得てのイベントは今回が初めての試み。フランス製品やフランスと関わりを持つ企業はまだまだほかにもたくさんあると思います。今後も各方面の方々のご協力を得ながら、パリクラブをさらに活性化させていきたいですね。

長い間日仏の交流にご尽力いただいた先輩方の同窓会的な要素も大切にしながら、フランスの‘今’を幅広く発信できるよう、活動を広げていきたいと思います」と。