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【レポート】第19回パリクラブ輝く会講演「孫だから語れる渋沢栄一の秘話」

第19回パリクラブ輝く会講演「孫だから語れる渋沢栄一の秘話」

さる10月3日、日仏会館(東京・恵比寿)にて、パリクラブ主催によるエッセイスト・鮫島純子さんの講演がありました。明治から大正期、政財界 で活躍され、日本の資本主義の礎を築いた・渋沢栄一(日仏会館の創設者でもある)の孫として知られる鮫島さん。その著書「祖父・渋沢栄一に学んだこと」では、自身が目にした祖父や渋沢家ゆかりの人々の姿をまるで昨日のことのように活写し、経営者ばかりか、一般女性にも広く共感を呼びました。伝説の実業家の一番身近にいた著者の肉声が聞けるとあって、予想を遙かに超える参加者が来場しました。

パリクラブ・輝く会実行委員会 森実行委員長の挨拶の後、鮫島さんと共にパリクラブ会員でドレカミジャポン代表の畠山奈保美氏が司会進行として登壇。畠山氏といえば、フランスのポール・クローデル協会会長であるユベール・マルタン氏のパートナーであり、この日は奇しくも、渋沢栄一とクローデルという日仏会館の創設者に縁の深いお二人の対面となりました。まず、マルタン会長から託されたメッセージが鮫島さんに手渡され、講演会は始まりました。

畠山氏はフランスではクローデルのお孫さんとも面識があり、その方から「祖父から日本人で最も尊敬すべき人は渋沢栄一だった」と聞いていたエピソードも。

どんな人にも温顔と寛容の精神で接した渋沢栄一

鮫島純子さんこの日、手製のワンピースで登壇した鮫島さんは、「若かった頃は自分の手で服を縫って家計を助けておりました。その頃は三越でもワゴンの上に売れ残りの布が積まれておりまして、この服もワゴンからお手頃のお値段の中から選んだ布で縫った20年前のものです」と話しはじめました。ワンピースの胸には真珠のブローチが光っていましたが、それについて、御木本真珠の創業者・幸吉翁にとてもゆかりのある真珠ですと彼女は言い、幼い頃、祖父・渋沢栄一のお相伴で御木本氏からのおよばれに思いを馳せるのでした。

「この昼食会には、特別に本物の真珠入りの貝のフライが振る舞われ、各々は、その真珠を飲み込まないように注意深く舌で探し当てながら、美味しく頂きました。その時の真珠を、母が記念に集めて作らせたのがこのブローチなんです」
と話す鮫島さん。かつて、御木本氏がパリ万博に出展した際、現地の宝石商たちから「模造品」だと裁判を起こされ、その裁判費用で御木本氏の財政は逼迫しました。そのとき、援助の手を差し延べたのが渋沢でした。彼は、「将来日本の大事な産業として世界に誇れるものになる」としてバックアップしたのです。

「生涯に500余りに及ぶ事業を興した祖父ですが、その実像は金力でなく、『信用』と『社会性』の財産家でしたので多くの方の賛同を得られたと思います」
と彼女は話します。事実、渋沢は、福祉事業や苦学生、海外からの訪問者、神社社寺、キリスト者、アーティストへの援助はもちろん、本来ならば資本家の “敵” であるはずの労働運動にも率先して手を差し延べました。

「『論語』を座右の書とした祖父のモットーは、『道に外れたことはしない』でした。さらに、『金は働きのカスだ。機械が運転しているとカスがたまるように、人間が働いていると金がたまる』として、これと見込んだ人や活動には援助を惜しまなかったのでございます」

そのことを、少女時代に理解していた鮫島さんは、ある日、女子学習院高等科の授業で倫理学の講師が「人間の欲望」の悪例として、当時財を成した実業家たちがその後爵位を欲したと講義、その中に渋沢も含まれていたことを心配し、教官室に一人で否定に行ったといいます。

「その後、父宛にその講師から小包と共に謝罪の手紙が届き、そこには『お嬢様は立派です』としたためてありました」
そのとき、渋沢と同じく実業家だった鮫島さんの父、正雄氏は、彼女の行動に対し『デカシタゾ!』と苦笑いしていたとか。

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【開催済】第19回パリクラブ輝く会講演会のご案内「孫だから語れる渋沢栄一の秘話」

祖父・渋沢栄一に学んだことこの度、輝く会は日仏会館の共催をいただき、渋沢栄一の御令孫のひとり、鮫島純子氏の講演会を開催する運びとなりました。
大正11年生まれ、現在95歳の鮫島純子氏はご高齢にも拘わらず「心の平和が世界平和につながる」をモットーに講演会を積極的にこなされています。渋沢栄一とゆかりのある日仏会館にて著書「祖父・渋沢栄一に学んだこと」で描かれた氏の偉大さを家族だけが知る素顔を交えて語っていただきます。

日時 10月3日(水)
18:00 受付開始
18:20~18:30 ご紹介
18:30~19:30 ご講演
19:30~20:00 質疑応答
20:00~20:45 懇親会
場所 参加希望者が多いため 日仏会館 501会議室から1Fホールに変更になりました。
主催 パリクラブ輝く会
共催 公益財団法人日仏会館
講師 鮫島純子氏(エッセイスト)
司会 畠山奈保美氏(日仏執筆家、ドレカミジャポン代表)
定員 100名
参加費 講演会 
 日仏会館会員、パリクラブ会員 無料
 一般 1000円
懇親会費
 一律 1000円
申込締切 10月2日(火)
締切日以降のキャンセルに関してはキャンセル料が発生しますのでご了承ください。
問合せ bon-jour@parisclub.gr.jpまで e-mail でお問合せください。

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鮫島純子氏 ご略歴

鮫島純子先生

1922年(大正11年)、東京都生まれ。祖父は日本資本主義の礎を築いた渋沢栄一、父は栄一の三男で実業家の渋沢正雄。女子学習院卒業。
1942年、岩倉具視の曽孫・鮫島員重と結婚、男児3人をもうける。著書に「祖父・渋沢栄一に学んだこと」の他、「毎日がいきいき、すこやか」「忘れないで季節のしきたり日本の心」「何があってもありがとう」など。
講演会や雑誌への寄稿も多数。

【レポート】第18回パリクラブ輝く会「和会席料理をいただきながら学ぶ和食の戴き方と美しい所作の実践」と「英国の上流階級のマナー講座」

8月23日に「銀座サンミ高松本店」において、この日のために用意していただいた特別メニューを堪能しながら、和洋のマナーを学ぶイベントが開催されました。講師を担当されたのは、松平洋史子(よしこ)先生とコーシア郁実先生。松平先生は水戸徳川家の流れを汲む讃岐国高松藩松平家の末裔で、祖母・俊子さんがまとめた教本『松平法式』を受け継ぎ、茶道、華道、「おもてなし」などの分野で数多くの要職を務められています。
英国在住12年のコーシア先生は、ご主人が歴史と伝統を誇る名家の出身で、義母の薫陶を受け、英国上流階級のマナーを体得されました。教育者歴15年以上を誇り、英国ボーディングスクールのコンサルティングも手掛けられています。
なお、松平先生のお話については、第16回輝く会のレポート(www.parisclub.gr.jp/event/2018-07-26-1-sp.htmlを参照)で詳しく紹介していますので、スペースの都合もあり、今回はコーシア先生のお話を中心にまとめさせていただきます。

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【開催済】第18回パリクラブ輝く会【パリクラブ緊急コラボ企画】「和会席料理をいただきながら学ぶ和食の戴き方と美しい所作の実践」と「英国の上流階級のマナー講座」同時開催。

美しく・優しく・逞しく限られた空間と時間を共有する人間同士が美しく自分を磨き優しく人の為に尽くし、逞しく、謙虚に感謝の心で生きていく事は、万国共通の願いと思います。
皆様と美味しい和会席料理を「銀座サンミ高松本店」の個室でいただき、「松平先生の和食の所作とおもてなしの心」と「英国の上流階級のマナー」を学びます。
開催にあたり、サンミ高松本店様には特別な ご厚意を戴いておりますことを 感謝申し上げます。
松平先生・コーシア郁実先生に伝授いただきます。

日時 8月23日luncheon会 11時30分~14時30分
場所 銀座サンミ高松本店 和食会席料理(個室) 
住所 東京都中央区銀座6-3-9
TEL:03-5568-3300 FAX:03-5568-3310
最寄り駅 銀座線・丸の内線・銀座駅・日比谷線 徒歩2分(C2 出口)
有楽町線 有楽町駅 徒歩6分(A7 出口)
定員 20名
会費 ・パリクラブ会員7000円
・協力団体会員7500円
・一般8000円
(全員和会席料理一人前)
※ 事前振込とし、お支払いが完了した段階でお申込確定となります。
 お申込を頂戴した順に、送金先のご連絡をメールで差し上げます。
締切 8月17日(金)
※ 定員に達した際には、期日に関係なく締め切らせていただきます。
 申し込み期限後のキャンセル、当日の不参加の場合、
 参加費用の全額を頂戴いたします 。

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松平洋史子

松平洋史子先生

1949年京都生まれ。水戸徳川家の流れを汲む讃岐国高松藩松平家の末裔。
祖母・松平俊子が昭和女子大学の校長時代にまとめた松平家に代々伝わる生き方教本『松平法式』を受け継ぐ。
大日本茶道協会会長(三代目)、広山流華道教授、茶懐石・宋絃流師範、一般社団法人日本おもてなしコンシェルジュ協会名誉理事を務める。
おもてなしの講師として講演活動を行っている。

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コーシア郁実先生

コーシア郁実先生

英国在住12年。夫は英国上流階級をはじめとする歴史のある家系で、義母から英国の伝統的なマナーを学び伝授している。
大学時代に教員免許書4種類(中学・高校の英語、フランス語)を取得。英国の大学院で修士号(教育学)を取得。大学の博士後期課程(教育学)を経て、英国のダラム大学で約10年間教鞭を取った。教育者歴約15年。華道の草月流師範と書道の大同書道院の書道教員免許取得。

【開催済】第17回パリクラブ輝く会と第3回乙女倶楽部と協力講演会のご案内「今田美奈子先生の夏のティパーティー」

今田美奈子先生を囲み、特別ゲストのパフォーマンスや今田先生のスペシャルメニューで優雅なティータイムを過ごします。
パリの香りが漂うひとときになりそうです。
ゲストは、元タカラジェンヌ三宅直生様がシャンソン歌って下さいます。後半は今田先生の御講演です。

日時 8月17日(金)11時〜13時(受付10時30分)
場所 サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ(新宿髙島屋4階)
定員 パリクラブ会員のみ10名。
定員になり次第締め切りとさせていただきます。
参加費 5000円 今田美奈子先生を囲み、や今田先生のスペシャルメニューで優雅なティータイムを過ごします。

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今田美奈子先生

ヨーロッパ各地の国立の製菓学校やホテル学校で学び、「今田美奈子食卓芸術サロン」(今田美奈子お菓子教室)を主宰。
世界遺産第一号フランスのシャルトル大聖堂の修復基金チャリティパーティーや食卓芸術展覧会開催など文化活動への支援、新聞・雑誌・テレビ・著書執筆などを行う。
主な著書
「貴婦人が愛した食卓芸術」(角川書店)、「正統のテーブルセッティング」(講談社)、「お祝いのシュガーケーキデコレーション」(柴田書店)、「天使に出会った不思議なお話」(テア)、「365日のバースデーケーキと星占い」(東急エージェンシー)、「新・セレブリティのテーブルマナー」(主婦の友社)、「お菓子と食卓のファンタジー」(角川学芸出版)他多数

【レポート】第16回パリクラブ輝く会 講演会「松平家から学ぶ和のおもてなし」

7月26日、東京有楽町の保険サービスシステム・セミナールームにて、松平洋史子氏による講演「松平家から学ぶ和のおもてなし」(主催・パリクラブ輝く会)が開かれました。松平氏の祖父は讃岐国高松藩松平家と井伊直弼の血筋で、祖母は、鹿鳴館の幹事長として欧州文化の移植に尽力した鍋島直大の娘である、松平俊子(元昭和女子大校長)です。まさに氏は、近現代における海外との政治外交や文化交流の開拓者たちの薫陶を全身に受けて育ったといっても過言ではありません。松平家直伝“和のおもてなし”哲学に、来場者もじっくり聴き入りました。

関係性から広がる、作法の美しさ・心の優しさ

この日、松平氏の講演は、森由美子パリクラブ副会長の開会の挨拶のあと、紹介者である山木美香氏による松平氏の略歴紹介の後始まりました。

司会を務めたパリクラブの岩間初音理事

司会を務めたパリクラブの岩間初音理事


開会の辞を述べる森由美子副会長

開会の辞を述べる森由美子副会長


松平氏のプロフィールを紹介する山木美香氏

松平氏のプロフィールを紹介する山木美香氏

「私たちはまず、美しくなくてはなりません」松平氏が開口一番発したのはそんな言葉でした。美しさの中で最も大切なのは、立ち居振る舞いとも言う松平氏。「美しい」という彼女の言葉には身体的な姿勢という意味合いと同時に、常に他者との関係性というニュアンスが込められています。たとえば、複数の「お客様」に対する挨拶の手本を、弧を描くような動きと共に見せるとき、確かにそれは、誰もが“ああ、これが武家のしきたりの中で培われた美しさか”と納得してしまう所作なのですが、その一挙手一投足は、一人でも目線から外れてしまう「お客様」がないようにという心遣いの顕れでもあるのです。
それは、人間の営みの中で最も個人的なものである「食」について語るときも変わりません。松平氏は幼少時、「私は、家の主人がお代わりをしたとき以外は、けっしてお代わりをしていけないと教えられて育ちました」といい、松平家ではそのことを、「腹八分目」と呼んでいたそうです。これは、“残りの二分は人のためにお残しなさい”という意味であり、 “自分の人生の二分を人のために役立てた喜びは、渡した以上の喜びとなって自分の元に戻ってくる”という教えである、といいます。同様に、「無駄なものを買わない」という教えについても、それは我慢することで、「本当に必要なものを見付ける」ことであり、そうすることで「人にも物にも余裕を持つことが出来て、優しさが広がるのです」と話します。

「松平家の挨拶は、『これからあなたとお話するんですよ』と、相手を懐にお迎えすることなんです」と話す松平氏

「松平家の挨拶は、『これからあなたとお話するんですよ』と、相手を懐にお迎えすることなんです」と話す松平氏

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