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【レポート】第6回 Salon de Paris Club グローバリズムの終焉と権威主義の台頭 蟹瀬誠一(かにせせいいち)氏

蟹瀬さんは米国AP通信社記者、フランスAFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年TBS「報道特集」のキャスターとして日本のテレビ報道界に転身。その後数々の番組でメインキャスターを務められる国際派ジャーナリストでいらっしゃいます。一方で、2004年明治大学文学部教授に就任、2008年には明治大学国際日本学部を創設され初代学部長、現在は同学部専任教授として教育にも情熱を注いでおられます。

当日は以下の三本柱で講演いただきました:

  • 新たな三国志 (an emerging epic of three kingdoms)
  • トランプ色に染まる世界(Trumpian world)
  • 日本の選択 (options for Japan)

「新たな三国志」の一人目はドナルド トランプ。エヴァンジェリカルズと呼ばれるキリスト教原理主義者は聖書の教えを絶対視する保守系キリスト教徒で、アメリカ国内に推定1億人、つまり人口の三分の一を占めると言われています。彼らは共和党の大統領は神に選ばれた人と信じ、これが岩盤支持層となっているというのです。

二人目は、昨年の全国人民代表大会で永世国家主席となった習近平。内政から外政固めに軸足を移し、社会資本主義に自信を深めています。つまり、政治を民主化しなくても経済の発展は可能だと考えています。そして、2021年までにアジアの覇者となり、2049年までに宿敵アメリカを経済、政治、軍事で凌駕し、世界の覇者になるという計画を進めています。

三人目のウラジーミル プーチンは武力行使に躊躇なく、サイバー攻撃で米欧を分断させようとしている。Brexitもロシアが関与しているとか?そして話は中東へ。

さて、グローバルに見ると1980年から2014年までの一人当たりの収入で、平均以下の人々は横ばい、そして上位0.0001%の人たちのそれは、なんと636倍だというのです。翻って我が国は、平成元年から平成31年までの間にどのような変化があったか。なんと競争力は1位から25位に転落、企業Top50社の数は、32社からなんと0社に。誰が日本企業を押しのけたのか、シンプルに言うとGoogle、Amazon、Facebook、Apple(GAFA)に加え、企業価値が10億ドル以上と評価される未上場のベンチャー企業(ユニコーン)だと。


これまでの日本企業のリーダーシップは、「俺の背中を見てついてこい」と言うタイプ。しかしこれからは、どれだけ部下にリスクを取らせるかが問われると蟹瀬さん。そんな変化を日本は感じ取っているのか。他人の例えで言うと、「ゲームは野球からサッカーに変わったのに、いまだに素振りをしている」と。

このように、蟹瀬さんは世界の視点から日本を客観視されるジャーナリスト、しかもファクトベースで話されます。今も「賢者の選択」と言う番組のメインキャスターを務めておられますが、これまで国内外の無数の企業経営者とも対話を続けて来られているので、企業経営の視点に置き換えて、説得力を持って論じられます。

今回の講演の準備を終えられると、4時間分の講演の分量になったそうです。それで、話しきれなかったことはまた「次回」お話いただけるかも知れないと、確かに事務局は聞き届けました。また改めて御登壇いただきたいと思っております。

【開催済】第6回 Salon de Paris Club グローバリズムの終焉と権威主義の台頭 蟹瀬誠一(かにせせいいち)氏

次回のSalon de Paris Clubは、国際ジャーナリスト・キャスターとして著名な蟹瀬誠一(かにせせいいち)さんをお迎えします。蟹瀬さんは、明治大学国際日本学部教授、外交政策センター理事も務めておられます。講演内容を御本人に以下のように紹介していただきました:

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