【レポート】磯村名誉会長時局放談会「2018年は欧州の年 その出足は!」第三部

トランプの頭脳は8~12歳並み?

これはあまり品の良くないジャーナリスティックな表現でお許し頂きたいのですが、日本は「アメリカにおんぶにだっこ」の身ですからね。防衛は任せている、色んな物を買って貰っている。マスコミでも大体主立ったのは、ワシントン支局長をやらないと編集局長というのはなれません。NHKはパリにヨーロッパ総局を置いていますが、フランスから出世街道には上れない。このことは、残念ながら色んな会社でもいえることで、ロンドン支局長というのは出世の道かもしれないけど、パリ支店長というのは、商社でも観光客の世話などを任されてちょっと脇道にそれちゃう、窓際に。……ごめんなさい(笑)。今日は自由に物を言ってくださいというので、自由に物を言っています。というわけでフランスは、トランプに対して遠慮会釈もありませんね。フランスのエクスプレス誌は、imbecileという表現を使って、「ドナルド・トランプというのは、我々が生きている現代の絶対の愚かさの象徴」と言っています。英語でもimbecileといいますが、英和辞典で引くと、「8歳から12歳の頭脳」ということになっています。ある国の元首のことをそれくらいに言うほど、今世界は苛付いている。鉄鋼関税の件なんて、out of questionですね。

トランプの一般教書演説について

先日行われた一般教書演説は、皆さんごらんになりましたか。私がNHKに入ったとき、普通は放送記者なりアナウンサーなりになりますと、まず最初に田舎にやられるわけです。田舎で警察まわりや県庁の取材などをやりまして、それから本部に帰ってきて、人によっては外信部に来られる。そのときには30幾つになっているわけですけど……。ところが私は、大変運がいいことに、上がつかえて居なかったんです。フランス語をやってたのは当時会長だった古垣鉄郎さんだけで、上司でいうとそれくらいなものでしたから、外信部に来ましてずっと年頭教書と俗に呼んでいる一般教書を一生懸命翻訳したものです。それはそうと、話を元に戻すと、あんなに低調な質の悪い一般教書は例がない。これだけ色々な国際協調の時代になっていますのに、ヨーロッパのヨの字も出ていない。日本のことも出ていません。同盟国に感謝する言葉も出ていない。リップサービスすらありません。ですから、先週のル・モンドに出ていましたけれど、この間2月にミュンヘンで開かれた世界の安全保障会議で、ドイツのガブリエル外相(当時)が言っています。「我々が知っているアメリカというのはもはやない」と。「異質の程度の悪いアメリカになった」んだと。ニューヨーク・タイムズが、一般教書についてこういうことを言っています。「下品で浅はかで飛び抜けてバカげている」アメリカですら、とうとうそういうことを言い出した。まぁニューヨーク・タイムズは、トランプとチャンチャンバラバラ喧嘩しているわけですけど、特にですね、これは日本のマスメディアでは出てきませんが、ハイチという黒人が初めて作った共和国がありますよね。ハイチや南米の国のことを、トランプは「shit hole」と言っています。shitというのは大便ということで、要するに肥溜めということですね。だけどこれは、流石にアメリカでも倫理規定に反するから、公共のテレビ機関では、「sxxx hole」と表記してある。だけど意味はアメリカ人なら誰でも判るわけですが……。そういう倫理コードにも反することを、大統領が言うわけです。

「教師に銃を持たせろ」と言ったトランプ

トランプのバカさ加減をはっきり天下にさらけだしたのが、マイケル・ウォルフの「Fire and Fury」 (邦題「炎と怒り」)なわけです。これを読むと、思った以上に酷い。事実関係と若干違うという文句を言う人もいますが、これだけホワイト・ハウス側の雰囲気を見事に描写しているものはないと一般的にもいわれていましてね。まず、トランプがナルシストということなんですが、エコノミスト誌によると「普通のナルシストより六倍もナルシストだ」と。この本で面白いと思ったのは、トランプは政治の世界に出たわけですが、政治とか政策とかには全く興味がないと。何に関心があるかというと、ドナルド・トランプだというんですね。これだけ自己中心で、何でも自分がやる人は珍しい。この間も高校で凄惨なる銃撃事件がありましたが、その後の記者会見で何と言ったかというと「教師に銃を持たせろ」。この程度の頭脳の人が、世界の運命を左右してるんですから、東大の久保文明教授によれば、「トランプがあまりにも政策に明るくないというのが、せめてもの救いである」ということです。

>> 囁かれる大統領交代の噂 へつづく