【レポート】磯村名誉会長時局放談会「2018年は欧州の年 その出足は!」第二部

ヨーロッパでトップニュースとなったエリゼー条約改定

今年に入ってからエリゼー条約の新しい改定について、両国の議会が決議をしたという報道がありました。これは、日本のメディアでは、虫眼鏡で探しても出て来ないのですが、ヨーロッパでは大変なニュースなわけです。フランス、ドイツをはじめ、大陸諸国のメディアではトップニュースでした。ご承知のようにエリゼー条約というのは、1963年の1月22日にエリゼー宮殿で時のドゴール大統領と、当時西ドイツのアデナウアー首相が仏独の緊密な関係を取り決めた協定なんです。この仏独協力条約というのが、今年で55周年になりますけど、これがどういう内容かというのは皆さんもご存じだと思いますが、とにかく一つの国のようにするという大きな夢の下に、たとえば、首脳は最低2回会う、外務大臣、防衛大臣、文部大臣は最低4回会わなければならない、あるいは軍の首脳は、年に6回会わないといけないというような回数まで規定しているんです。中でも一番意味があるのは、フランスの青年がドイツへ行って勉強したりという青少年交流が、55周年で述べ2500万人を超えることでしょう。

仏独間の商法や会社法等を統一

今回のエリゼー条約の改定では1歩進めて、両国の商法と会社法、それに会計基準を統一していこうという案が出されている。これは、大変な野心です。この決議案が最初に1月22日にベルリンの連邦議会で、フランスの下院にあたる国民議会のクロード・リュージュ議長がベルリンに行ってドイツ語で演説をして、これから世界の荒波を超えていくには両国の一層の協力が必要だという話をしまして、これは立派なドイツ語だったそうですが、大拍手を受けました。その一方で、ヴォルフガング・ショイブレという連邦議会の議長は、すぐパリに飛んで、パリのアサンブレ・ナショナル(国民議会)へ行って、同じ趣旨の演説をして、フランスが強くなるのはドイツのためにもいいし、ヨーロッパのためにもいいと言った。さらにメルケルは、「ドイツはヨーロッパが元気にならない限り元気にならない、しかしそのヨーロッパはフランスが強くならない限り元気にならない」と言って大拍手のうちに迎えられた。日本のメディアでは、連立工作が五ヶ月もかかって難航しているとか、SPD(ドイツ社会民主党)はダメだとか言われていましたが、4日の結果は皆さんもご存じですね。SPDは何と党員のなんと三分の二もが大連立に賛成だったんです。CDU(ドイツキリスト教民主同盟)の方が、むしろ逆にリラクタントな面もなきしもあらずだったのですが……。

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