【レポート】《西村達也、究極の旅行者》ナショナル・デ・ボザール出展記念レクチャー

フランス人の感動を呼んだ山の絵

1月15日に日仏会館ギャラリー(東京・恵比寿)において、パリクラブ理事の西村達也画伯を講師にお招きし、昨年12月にルーブル美術館地下で開催された「ナショナル・デ・ボザール展」への出展を記念したレクチャーと懇親会を開催しました。西村画伯は1953年、熊本県の出身。東京理科大学理工学部物理学科卒という異色の経歴で、2006年に「ナショナル・デ・ボザール特別賞」を受賞されるなど、国内のみならずフランスでも高い評価を得ています。
また、1月から会館エントランスに大作「カラコルム山脈」(50号)が展示されています。会館へお越しの際は、ぜひこの素晴らしい作品を鑑賞なさってください。

日仏会館エントランスに展示されている「カラコルム山脈」

日仏会館エントランスに展示されている「カラコルム山脈」

由緒ある「ナショナル・デ・ボザール展」では、「ピラミッド」「スフィンクス」「赤富士」「紅葉の妙義山」「燃える桜島」など計8作品が展示され、大反響を呼びました。本来、4日間の開催予定が、漏電の影響でボヤが出たため、3・4日目が中止になるという残念なアクシデントがあったものの、会期中は約3000人が来場。フランスでは山の絵を描くことが珍しいらしく、富士山や妙義山、桜島などの作品に「ビューティフル」「トレビアン」と多くの賛辞が寄せられました。また、作品に額がなかったこと、展示作品のバックが黒で、カラフルな色彩がスポットライトを浴びて浮き上がるような感じになったことも、来場者には新鮮に映ったようです。
「日本ではピラミッドの作品の評判がよかったのですが、向こうの人たちにとってエジプトは近いので、しょっちゅう訪れており、あまり珍しくはないのですね。ちなみに、ブルーの瞳を持つ彼らは、ブルーの絵がもっときれいにみえ、黄色はオレンジにみえるそうです」とのお話をうかがい、日本人にとっては神秘的なピラミッドがフランス人にとっては日常的なもので、逆に日常的な山の風景を神秘的に感じるという文化の違いが興味深く、そして日本人にはないブルーの瞳に映し出される未知の色彩を体験してみたいと思いました。

ピラミッドを描いた作品

ピラミッドを描いた作品


色鮮やかな富士山を描いた作品

色鮮やかな富士山を描いた作品