【レポート】ドキュメンタリー・フィルム『霧の向こう』(Au-dela du nuage)上映会とフランス人女性監督との意見交換会

女子高生、母、農家…。高濃度汚染地域で暮らす日本人の今をインタビューした作品。

会場には100名を超える参加者が集まり、映画を鑑賞しました。

会場には100名を超える参加者が集まり、映画を鑑賞しました。

映画はケイコ・クルディさんのモノローグからスタートします。一年以上かけて被災地の住人や母親、農家や子供などを取材したという作品。いまだ高濃度汚染が続く地域で家を守り、家族を守りながら生きている女子高生。放射能の影響を気にしながらも「見えないから…」と言いって日常を淡々と過ごす風景。あるいは、子供への影響を気にしながらも被災地で暮らす母親。放射線量を計測しながら農産物を出荷する農家。外側から見ればすべて正常に見える日常を淡々と描きつつも、まだ何も解決されていない現状をフィルムに収めています。
そんな一般の生活はもちろん、被災地で多くの死を看取ってきた僧侶。そして、反原発運動家、調査ジャーナリストなど終わらない福島の現実を伝えようとしている人にもインタビュー。さらには、当時の首相であった菅直人の声もフィルムに収めています。
そこから彼女が言いたかったこと。それは、この映画のタイトルにもあるように、すべてが霧の向こう側で分からないということ。放射線の影響も原子力発電所の事故も解決していない中で、問題が無いように暮らしている日本人の現実を描いたのです。真剣に映画を見る観客の皆さんは、この映画が終わった時、何を思うのでしょうか。