第11回バス旅行のご案内(山梨日仏協会との交歓) 「世界文化遺産・富士山」を訪ねて

お昼はマウント富士で、富士吉田の堀内市長や7年前にあったsadoyaの今井さん(山梨日仏協会会長)、そして日仏会館の松浦理事長、吉田さん、横山さん(パリクラブ副会長でもある)、フランス事務所のマルケ夫人と同じ席であった。富士登山は夏の2ヶ月間に30万人も入山、吉田口からが6割、自然を守るために市として入館料を取り始めたとのこと。エコトイレもおき、環境保全や遭難対策などなにかとたいへん。中国人の観光客が最近は少し減ったが、マナーが悪いのが悩ましい。高台にあるホテルから下をみおろすとファナックの建物の黄色の屋根がみえる。市としては観光以外にはここや、だいぶ減った繊維産業に依存するところが多く、自衛隊の演習場からの安定的な地代収入は魅力。富士吉田は甲府のほうに比べると寒いため、ぶどうなどの栽培には適さない土地とのことなどなど。色々とお話をうかがった。昔、近くの小山の富士紡の工場を訪れたことがある。明治33年に水がよい富士のふもとに開かれた工場であり、訪れた40年前には東日本各地から昔ふうにいえば女工さんを集め、寮に入れて操業、友人はその企業内の学校で教えていた。あの歴史のある工場は今でも操業しているのだろうか。ホテルの前庭で本来なら正面に富士の雄姿が望めると説明を受け、バス2台の参加者で記念写真をとった。昼が終わったのか、時々下の方から大砲の音が聞こえてくる。

富士山は溶岩などに覆われているが、それが切れるところにはいくつもの湧水の名所がある。忍野村には八箇所あり、八海とよばれ、天然記念物だ。ふたつほど中心の池をみて、手を入れて見た。伏流水であろうが、1分もいれると手がしびれる。雪解けのときはさぞ冷たいのであろう。池のまわりや途中にはそばやコーヒーを出し、地元の野菜などを売る小さな店が沢山並んでいる。零余子をとも思ったが、乾燥みかんを買った。

忍野なる湧き水のなほ澄みにけり

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あれから1週間、このところ天気が安定し、近くの鶴見川から富士が見える。今日は雲っているので、頂上近くは雪かもしれない。富士山はゴルフや清水のドライブ、その他色々な機会に接してきた。8合目以上は静岡県に属するとも言われおり、次は太平洋側から、羽衣の三保の松原からも眺めてみたい。今回の北からの富士とあい補うものがあろう。バス旅行から帰ってから、静岡新聞社が出した本、「富士山を語る」を読んだ。大学でフランス語や美術を習ったフレンチ・スクールの先輩たる芳賀徹さんや高階秀爾さんの講演も収録されており、芭蕉の句も紹介されている。

霧しぐれ富士を見ぬ日もおもしろき  芭蕉

2013.10 久米五郎太