シンポジューム 「星の王子さま」―アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ没後70周年記念―

“「星の王子さま」が、今の我々に問いかけるもの”

主催:日仏経済交流会 (通称 パリクラブ)
共催:公益財団法人日仏会館

第二次世界大戦中の1944年 7月 31日、「星の王子さま」の作者 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、コルシカ島から、一人、地中海上空、偵察飛行に出かけ、帰らぬ人となった。その日から、今年は70年目に当たる。それを記念し、シンポジュームが、東京の日仏会館で開催された。参加者は、80人を超える盛会であった。(内日仏会館会員7人、パリクラブ会員15人、一般45人)

総合司会は、神尾みず。最初に、パリクラブ会長の瀬藤澄彦からオープニング・スピーチがなされた。そして、プログラムは、3部構成からなり、第1部は、シャンソン歌手、小幡君枝のトークをまじえた「星の王子さま」にちなんだ歌曲を中心とするコンサートであった。なかでも、サン=テグジュペリの肉声と、彼の歌うシャンソンが収められたCDの披露は、好評であった。また、内藤濯が、「星の王子さま」によせて詠んだ和歌に、皇太子妃殿下時代の美智子皇后さまが曲を付けられた歌曲は好評であった。

第2部の朗読部門では、定評のある録音、ジェラール・フィリップのCDが流され、次いで、ナレーター・神尾みずが、内藤濯訳の一部を、バイオリン伴奏で朗読し、第3部シンポジュームへのプレリュード役を務めた。

シンポジュームが始まるにあたって、サン=テグジュペリのいとこが母親である Sidney Emery氏と、遠い親戚の Arnaud de Saint Exupery 氏 (東京虎ノ門の新しいホテル・アンダーズ東京の総支配人)の本シンポジュームへの祝辞のメッセージがパリクラブ会員の渡辺真美(ご両人の友人)により読みあげられた。本題のプレゼンターは、「星の王子さま」事典の著者・三野博司、「星の王子さま」を教材として使っている上智大学の教授 Muriel Jolivet(フランス人)、「サン=テグジュペリ 伝説の愛」の翻訳者・鳥取絹子、「プリンセス物語」で星の王子さまの挿絵を描いているイラストレーターの田村セツコの諸氏。司会は、パリクラブ理事、共著「星の王子さまとサン=テグジュペリ」の著者・平尾行隆。各分野で活躍されているプレゼンターの発表に、参加者は熱心に聴き入った。シンポジュームの終る直前に、Arnaud de Saint Exupery 氏が会場に到着。この日のイベントに対し、お祝いの言葉を述べられ、満場の喝采を浴びた。

最後に、懇親会(ワイン・パーティ)がギャラリーで催され、参加者の間の交流が熱く続いた。ギャラリーでは、写真がライフワークのイレーネ賀集の「星の王子さま」の写真展が参加者の目を惹きつけた。

(筆責 平尾行隆)