【レポート】成嶋志保 レクチャー・コンサート

エリック・サティ
「グノッシエンヌ1番」、「ピカディイ」

そして、エリック・サティの演奏。そのキャラクターについてまるでそこにエリック・サティがいるように解説していただきました。

「エリックサティはとても風変わりな人物でした。 彼の博物館にある資料には、彼の変わった個性を表すものがたくさん残っています。例えば、何十種類もの彼の名前のサイン。あるいは、「先生、私です」としか書かれていない自分宛ての手紙。この手紙を見ると彼のキャラクターが理解できると思います。

今日のプログラム、「グノッシエンヌ」も彼の作った言葉。彼は、同じモチーフを何度も繰り返し演奏させることで、当時の音楽へ、そして社会に対しての皮肉と自分自身の音楽への挑戦を表現しました。今回演奏する「グノッシエンヌ」は彼の代表的な曲。二曲目の「ピカディ」はジャズの影響を受けた、華やかなサティの陽気な表情が見えるかと思います」

フレデリック・ショパン
「ノクターン嬰ハ短調 遺作」「幻想即興曲」

ここからは、フランス人ではない作曲家の楽曲の演奏となっていきます。国際都市パリでは多くの外国人作曲家が活躍し、フレデリック・ショパンもその一人だったそう。

「フレデリック・ショパンは、ポーランドからフランスに移り住みました。外国人が多いフランスですが、それでもポーランド人としてのアイデンティティを強く持っていたようです。

ショパンが作った曲はたくさんありますが、歌とピアノの曲が非常に多くあります。今日演奏する「ノクターン」もまるで歌の伴奏をしているような曲。彼のポーランドへの愛が聞こえてくるような曲です。

「ノクターン」は映画の中でも使われているので、みなさんもきっとお聞きになったことが有るかと思います。そして、二曲目の「幻想即興曲」。この曲はショパンにとってはあまり好きな曲ではなかったようで、「この曲は破って捨てたい」という彼の言葉が残っています。ところが、その曲はぜひ残してくれという周りの強い勧めにしたがって残したそう。その結果 、日本でも有名な曲として広まりました」