【レポート】第18回パリクラブ輝く会「和会席料理をいただきながら学ぶ和食の戴き方と美しい所作の実践」と「英国の上流階級のマナー講座」

英仏でまったく異なるマナー

その後は、食事と会話を楽しみながら、ナプキンの使い方、割り箸の割り方、料理の食べ方などをレクチャーしていただき、後半はコーシア先生にバトンタッチ。多くの日本人が混同しているであろう英仏のマナーの違いは、とても興味深いお話でした。
みなさんは置かれたフォークをみただけで、イギリス式かフランス式か判断できますか? フォークの刃先が上向きならばイギリス式、反対に下向きならばフランス式とのことですが、それは家紋が見える位置が関係しているのだとか。また、イギリス式では、食事を中断してナイフを置く際、刃先は必ず自分のほうへ向けなければなりません。そして、ナイフの刃先の上にフォークをかぶせるように置きます。ナイフは右、フォークは左というルールは厳守。食事が終了し、ナイフとフォークを置くときは「6時」の形にします。
食事中の手の置き場所にも明確な違いがあります。テーブルを囲むのがイギリス人オンリーならば手は膝の上、フランス人をはじめイギリス人以外も混じっている場合はテーブルの上が正解。たとえ知識不足が原因であっても、上流階級での会食の場にあって、こうした英国伝統のマナーに違反することは、大変に非礼な行為になってしまいます。相手のメンツを重んじるイギリス人は、日本人と同じく面と向かって注意はしませんが、腹の中では不快に感じているそうなので、やはり知識として身に着けておきたいですよね。コーシア先生は「こうした知識を持ったうえで、どの国の方がいるのか、どういう方がいるのかによって、使い分けていただきたい」と話されていました。

洋食のマナーについて説明するコーシア先生

洋食のマナーについて説明するコーシア先生

ふだん何気なく使っているナプキン。もちろん、イギリスの上流階級においては、ナプキンについても規範となる折り方、使い方があります。まず三角に折るのがイギリス式で、左側を腿の下に軽く挟んでおくと、風が吹いたときなど、落ちにくくなるそうです。
やむを得ない事情で中座する場合は、椅子の上に置いて退席します。しかし、食事の途中で席を立つことは、非常に失礼に当たるので極力避けましょう。食事が終わったら、左側にやや崩し気味にナプキンの中心部分が上になるように置きます。あまりきれいに置くと、サービスに対する不満の意思表示になってしまうとのこと。几帳面な方ほど気を付けたほうがよさそうですね。

このイベントに参加してくださったみなさんのために、特別にティータイムのための大切な知識やマナーについてもお話しくださり、もりだくさんの実り多い時間となりました。
コーシア先生は「今の時代はいろいろな国の人と接する機会も多く、気がつかないうちに失礼なことをしている場面もあるかもしれません。文化の違いを知識として理解しておけば、状況に応じて使い分けることができます」と総括されていました。

実際に食器を使って説明するコーシア先生

実際に食器を使って説明するコーシア先生

ナプキンの折り方にも特徴が

ナプキンの折り方にも特徴が