【レポート】パリクラブ見学会「東京多摩の老舗酒蔵を訪ねて」

ディナータイムは、数カ国語が入り交じりながら和気藹々

あっという間の2時間が過ぎ、最後は敷地内の蔵を利用した和食レストラン雑蔵にて懇親会。多満自慢・純米無濾過や多摩自慢・辛口本醸造など、蔵元が手塩にかけて育てた銘酒や料理を楽しみながら、会話も弾みます。中でもフランスの製薬会社に務めるパリ出身の男性は、日本文化に造詣が深く、是枝裕和や若松孝二の映画から川端康成の小説まで、その話からは日本への熱い思いが伝わってきました。最近起きた社会的な事件にも言及し、「何のかんの言っても日本は欧米に比べて平和で安全。こんな素晴らしい国は世界にありません!」暗い事件続きでへこみ気味の日本人としては、ちょっと元気が出ました。日本語、フランス語、英語、そして何故かスペイン語も入り交じり談論風発。宴もたけなわになったところでお開きです。

神社巡りが趣味というアニエスさん。「今日の酒造見学は、フランスのワイナリー巡りに雰囲気が似ていると思いました」と話す。

神社巡りが趣味というアニエスさん。「今日の酒造見学は、フランスのワイナリー巡りに雰囲気が似ていると思いました」と話す。

パリ出身で環境コンサルタントの仕事をしているアニエスさんに今日の感想を求めると、「日本酒は大好きですが、思ったより時間をかけて作っていることに驚きました。今回は参加出来て本当によかったわ」との返答。

日本に住んで3年というカミーユさん。「元々、甘口の日本酒が大好きなんです。石川酒造のお酒では純米無濾過がまろやかで最高に美味しかった」

日本に住んで3年というカミーユさん。「元々、甘口の日本酒が大好きなんです。石川酒造のお酒では純米無濾過がまろやかで最高に美味しかった」

「東京に住む」というホームページを作っているカミーユさんは、「純米無濾過の味に惚れ込みました。ピュアな味が何ともいえません。是非ホームページで紹介したい」とのこと。

仕事でフランス人と接する機会が多いという日本人、佐藤さんと荒井さん。「ビジネスライクではなく、文化的でより深いつながりが出来るという意味で、パリクラブの催しは貴重」と話す。

仕事でフランス人と接する機会が多いという日本人、佐藤さんと荒井さん。「ビジネスライクではなく、文化的でより深いつながりが出来るという意味で、パリクラブの催しは貴重」と話す。

私も皆さんとのおしゃべりで、今まで見過ごしていたものを、再発見した気分でした。普段何気なく接しているものの中には、距離が近すぎて本当の良さが見えないものが沢山あるのかもしれません。

店を出ると、雨はすっかり上がって雲間から星が覗いています。参加者の誰かが気持ちよさそうに歌うフランス語の鼻歌を耳にしながら、この魅力的な国の人たちのことをもっと知りたい、と思ったのでした。