【レポート】パリクラブ見学会「東京多摩の老舗酒蔵を訪ねて」

我が国ならではの“生酒”に舌鼓

さて、門を出ると雨脚がやや激しくなっていましたが、中庭に立つ樹齢400年の夫婦欅をはじめとする木々のいい香りが、雨の匂いと一緒に漂ってきます。この欅の根元には、お米の神様である大黒様と、水の神様である弁天様が祀られていて、この二人の神様は夫婦なのだそうです。石川酒造では、酒造りの精進を願い、この欅に毎日朝夕願をかけているのだとか。いうまでもなく、おいしいお酒を造るのに一番大切なのは米と水。その神様が、夫婦というのがちょっと興味深いところです。

さらに奥へ行くと、長屋門と呼ばれる、入口の正門よりも一回り小さな門塀があります。この門は作られて230年ほども経つということ。230年前というと、フランス革命の頃。それを想うと、ちょっと感慨深いものがあります。

その後、いよいよ試飲会に。ここでは純米酒「たまの八重桜」、新酒「あらばしり」、そして純米酒で仕込んだ「梅酒」を頂きました。パリのヴェルサイユから来た日本通の参加者は、殊の外あらばしりが気に入った模様で、早速フランス語で係の女性に質問。「熱燗にしても飲めますか?」「生酒なのでそのまま飲んでください。八重桜は火入れしているので、熱燗にしても美味しく頂けますよ」火入れしていないお酒は、日本国内でしか飲めないからか、“飲んだことのない新しい味”との感想が、他の参加者からもちらほら出ていました。

すっきり聡明な味わいが魅力の「たまの八重桜」。火入れしているので熱燗でもOK。

すっきり聡明な味わいが魅力の「たまの八重桜」。火入れしているので熱燗でもOK。

参加者の人気が集まった「あらばしり」。生酒ならではのフルーティな味わい。

参加者の人気が集まった「あらばしり」。生酒ならではのフルーティな味わい。

日本酒をベースにした珍しい「梅酒」。酸味と甘味のバランスが良く、嫌味が無くどんどん飲める。

日本酒をベースにした珍しい「梅酒」。酸味と甘味のバランスが良く、嫌味が無くどんどん飲める。