「欧州へ進出する日系企業の約3割が『メリット大』」
日本貿易振興会(ジェトロ)欧州ロシアCIS課長 田中晋氏
日本・EU間のEPAは、もともと2007年に日本とEUのビジネス界が作業部会を作って、どうしたらEPA交渉を開始できるのかという作業部会からはじまりました。当時は韓国とEUのFTAが先行していたので、韓国と同じレベルでビジネスの競争条件を同様にすることが目的で、ジェトロとしてもこれまでのEPA交渉のなかで意見交換や情報収集など、様々な働きをしてきました。
たとえば、欧州に進出している日系企業にアンケートをとった結果、約3割の企業が、EPAでメリットがあるという回答を得られました。市場アクセスの改善、関税引き下げという点でメリットが大きいという結果です。メリットが高いと回答した業種としては、自動車部品、化学品を扱う企業が多く、EPAに対して期待が大きいというデータが出ています。
EPA施行により、即時撤廃品目ベースでも91.5%、輸出額ベースでも92.1%が、関税の即時撤廃がなされるということで、日系企業に対するインパクトが大きいと言えます。
EPAの実施で増加する品目としては、日本からの輸出品として自動車およびその部品、二輪車が大きいと言えます。EUから日本への輸出品としては、宝飾品やバッグ、ワインなどが挙げられます。
非製造業においてメリットが多いという回答が多いのは販売会社、農産物およびその加工品です。とくに農産品を輸出する意欲が日本側に高く、日本食ブームなどもあって輸出が伸びています。
いまスペインでは空前のやきそばブームで、それに使うソース、たとえばオタフクソースさんなども輸出が伸びております。ソースに関しては最大10.2%の関税もかかっていますので、そうしたところにも寄与すると思われます。
政府間では進んでいるEPAですが、今後もジェトロとして調査を進め、収集した情報を集約して掲載していますので、ぜひジェトロのWEBサイトをご覧ください。