【レポート】第3回日仏経済フォーラム 講演討論会「日本・EU(欧州連合)経済連携協定の内容と展望~新たな世界通商体制に向けて」

「EPAと並ぶ日欧戦略的パートナーシップも重要なテーマ」
駐日欧州連合(EU)代表部副代表 フランチェスコ・フィニ氏

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まず、フランス語でお話させて頂けることに感謝します。英語での講演する機会が大半ですが、フランス語はEUの公用語の一つなので。

現在最終合意に向けて交渉の日程が詰められており、早ければ本年内に条文について合意、2018年中に批准手続きを進め、2019年初に発効できることが期待されています。

EPAは、双方を法的に拘束しますが、(一方で)双方の間に既にある協力関係に戦略的な方向性を与えるとともに、双方のさまざまな共同作業に一貫性を与えます。また、二国間のイシューに止まらず、地球温暖化、安全保障、災害対応、科学・技術、イノベーション、環境、エネルギーなど地域や世界全体にも関わる約40の分野をカバーしています。

EUと日本との協力関係は、1974年に東京にEU代表部が開設されて以来、通商そして様々な分野で日欧の関係は発展してきました。さらに、先日の日欧サミットにおいても、ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長は、「本協定は単なる自由貿易協定を超え、開かれると同時に公平な貿易の未来についての宣言である。われわれを保護するものは保護主義ではない。(製品・食品の)安全、環境配慮や消費者保護に関する基準・規格を定めるためには協調が不可欠」と述べています。

また、戦略的パートナーシップ協定(SPA)についても触れていますが、EPAと並んで画期的なものです。特に防衛やエネルギー関連、科学技術などの分野においても日欧の戦略的な連携が図られ、通商関係のみならず安全保障や災害対策など、より広範な関係が構築されたことを意味します。

この協定は、世界的に国粋主義的な風潮が広まり、保護主義的な貿易が広がるなかで、それを打ち破るものであり、EUが他国と進めるFTA、EPA交渉のなかでも最大規模のものであり、大変重要かつ革新的な内容を含んでおります。

たとえば、EUは農産物の関税を(日本側に)10億ユーロ支払っていましたが、この関税がほぼ撤廃されるため、200億ユーロほど貿易額が伸びる可能性があり、農産加工品、靴・皮革製品、衣料品、医薬品その他多くの分野で雇用を拡大するだろうといわれております。

現在、最終合意に向けて残る議論は今年7月の基本合意でカバーされていない①知財データ保護と②民間企業と政府との間の紛争調停があり、いずれも引続き協議が続けられています。

現在、最終合意に向けて残る議論は、知財保護、それに紛争解決のための仲裁機関の点ですが、それも話し合いを重ねて合意に至るよう、現在日本、EU双方が努力を重ねています。