【レポート】第8回輝く会「暮らしを守るために知っておきたい世界の海洋環境・地球環境」

ドゥマンジュ教授と歩んだ波瀾万丈の人生

暮らしを守るために知っておきたい世界の海洋環境・地球環境

4月19日、日仏会館において、元モナコ公国海洋博物館館長夫人のドゥマンジュ貴代子氏を講師にお招きし、第8回輝く会のセミナー「暮らしを守るために知っておきたい世界の海洋環境・地球環境」を開催しました。まずは貴代子氏の経歴を簡単に説明しておきましょう。1967年、漁業視察のため、フランス政府の使節として来日したフランソワ・ドゥマンジュ氏(モンペリエ大学教授)の助手を務めたことが縁で、運命的な出会いを果たされます。その後、ご夫婦で西アフリカのコートジボワールやニューカレドニアへ赴き、エビの養殖事業に尽力。繊細な生き物が相手だけに休むヒマはなく、「24時間営業の毎日。炎熱の地で死ぬような思いでした」という過酷な生活を経て、ようやく30年後にノウハウを世界に伝授することができました。今日、世界中の人がエビを食べられるようになったのは、お二人の努力の賜物といっても過言ではありません。
1979年、ドゥマンジュ教授が自然博物館教授に選任されたのを機にパリへ。89年には世界中の錚々たる海洋学者のなかからモナコ公国海洋博物館館長に選ばれ、2001年まで勤務されました。退任後は南仏ニースやタヒチを拠点に執筆活動を続けておられましたが、08年7月に他界。パートナーを失った貴代子氏は日本永住を決意され、現在に至っています。「フランス人というと優雅なバカンスのイメージがあるでしょうが、主人と知り合ってから1日もありませんでした」と苦笑する貴代子氏ですが、長きにわたって世界中で活躍された貴重な経験が、この日の講演テーマである環境問題に対する深い造詣のベースとなっているのでしょう。

貴代子氏(左端)とドゥマンジュ博士(左から2人目)

レニエ大公(当時)とアルベール皇太子(当時)と。貴代子氏(左端)とドゥマンジュ教授(左から2人目)