【レポート】輝く会 第5回「輝く女性とおしゃれなクレープの夕べ」

故郷ブルターニュとスタッフへの思い

日本で店舗展開を拡大させたのち、「自分の故郷にも東京での経験を活かしたクレープリーを作りたい」との願望が強くなり、ブルターニュのカンカル、サンマロと、さらにはパリに店舗をオープンしました。パリにも進出したのは、「影響力が大きい場所を選ぶことが、ビジネスにとって重要」という理由からです。
また、「仕事をするうえで、日本のスタッフにもブルターニュを知ってもらうことが必要」と考え、スタッフのブルターニュ研修も実現しました。その根底にあるのは、「自分が理想とする食のレストランをやるといっても、故郷の文化や色々なものを総合的に展開していかなければ、ただのレストラン、クレープリーになってしまう」との思いです。
ブルターニュ関連の話題では、今年、サンマロにクレープを焼く人たちの養成学校を作る計画も。その理由について、ラーシェさんは「学校を作るのは、社会貢献のひとつだと思います。自分たちの店に優秀なスタッフを回すのが目的ではなく、今の若い人は働く場所がなかったり、失業率が高かったり、多くの問題がありますから、学校がその問題解決の力になればと思っています。技術を覚えてもらい、社会に貢献できるような人材を育成することが大事ですし、私たちと一緒に夢を見て、物語を分かち合える若い人たちを育てていきたいとの思いもあります」と力説されていました。

成功の秘訣は「文化」「場所」「素材」「人」そして「出会い」

フランクに参加者に話しかけるラーシェさん

フランクに参加者に話しかけるラーシェさん

ラーシェさんがビジネスで重要視している要素が4つあります。それは「文化」「場所」「素材」「人」。故郷ブルターニュの「文化」を取り入れ、影響力がある「場所」に出店し、まだメジャーではなかったそば粉という「素材」を使ったクレープに着目し、スタッフ研修や学校を通して「人」を育てたい――というこれまでのお話からも、その姿勢がうかがえますが、「素材」については、自分たちの農園を持ち、野菜など何から何まで作ってみたいそうです。
これら4つの要素は能動的に行動を起こせるものですが、運にも左右されるもうひとつの重要な要素が「出会い」です。ラーシェさんの場合は、ビノー財団を主宰するセレブリティ、フランソワ・ビノー氏との出会いが大きなターニングポイントとなりました。ブルターニュ出身の同郷でもあるビノー氏は、おいしいクレープ、そば粉のガレット、シードルが大好物。意気投合した2人は、これから共に世界展開を打ち出していこうという夢を抱いています。

ところで、今年は神楽坂店のオープンからちょうど20年。この間、「場所はここでいいのか?」「どうすれば一番おいしい食材が手に入るのか?」[どういう人とのつながりが持てるか?]などと、順調にいっているなかでも常にこうした気配り、目配りを続けてきたといいます。これからの未来に向け、ブレッツカフェ(ブルターニュに関する総合的な事業)をどう進めていくかが、目下の最大の関心事とのこと。人材養成学校の開校をはじめ、ラーシェさんの次なる戦略が楽しみです。