【レポート】輝く会 第5回「輝く女性とおしゃれなクレープの夕べ」

日本初のガレット専門店をオープン

輝く女性とおしゃれなクレープの夕べ

7月11日に、在日フランス商工会議所の共催を得て「ブレッツカフェクレープリー表参道店」で開催された第5回輝く会セミナーのタイトルは「輝く女性とおしゃれなクレープの夕べ」。同店のオーナーであるラーシェ・ベルトランさんを講師にお招きして、直営店8店舗(東京、横浜、京都)、FC4店舗(東京、川崎、名古屋、岡山)を展開するなど、日本にクレープ文化が根付くまでの軌跡や秘訣、これからのプランなどについて語っていただきました。通訳を担当してくださったのは、建築家でもある金子文子さんです。
いまでは日本でもおなじみの「ガレット」。そば粉を使ったクレープの一種ですが、このガレットの専門店を、1996年に神楽坂で初めてオープンしたのがラーシェさんです。ラーシェさんの出身地は、クレープ発祥の地であるブルターニュ地方。故郷の伝統の味を伝えるだけではなく、豊かな自然を有するブルターニュの魅力も発信し続けています。
おいしいアペリティフで乾杯したあと、ラーシェさんのお話が始まりました。

会場はおしゃれな雰囲気の「ブレッツカフェクレープリー表参道店」

会場はおしゃれな雰囲気の「ブレッツカフェクレープリー表参道店」

講師のラーシェさんと通訳の金子さん

講師のラーシェさんと通訳の金子さん

神楽坂に第一号店をオープンしたのは1996年ですが、実はその前年に日本の地を踏んでいたそうです。「ビジネスプランをトランクに詰めて来たわけではなく、もっと深いセンチメンタルな理由がありまして。私の妻はユウコというとても素敵な日本人なのですが、彼女と結婚するために日本へ来たのです」と茶目っ気たっぷりに話すラーシェさんですが、大好きな日本には、ちょっと不満もありました。なぜなら、日本人はパリやボルドーやプロヴァンスは知っていても、自分の故郷ブルターニュのことを誰も知らなかったから。当時、ピーター・メイルの『南仏プロバンスの12か月』がベストセラーになり、作中に登場するプロヴァンスやボルドーが有名になっていたという背景があるのですが、郷土食のガレットを通してブルターニュの魅力を広めていきたいとの思いが芽生えたようです。
ブルターニュにある「国立ディナールホテル学校」の卒業生であるラーシェさんは飲食業ひとすじ、来日後は東京のレストランをじっくりと観察しました。そして、とあるブラッスリーで働き始めます。その店は、バブル崩壊後の経済的に活気がない時代にあって、たくさんの人に支持される人気店。10ヶ月に及ぶ労働を通し、いかにもフランス的な豪華レストランではなく、対極にある大衆的な店が日本で受け入れられていたことに興味を持ちました。また、ブルターニュでは中世から珍重されてきた大切な食材であるそば粉を使ったクレープがまだ東京にはないことに気付き、「ホンモノのガレットを紹介したい」と考えるようになりました。
こうした思いが結実したのが、神楽坂に誕生した日本初のガレット専門店「ル ブルターニュ」です。「神楽坂の雰囲気がとても好き」というラーシェさんにとって、神楽坂は日本における原点といえる場所。念願の初店舗のほか、住居もオフィスもここに構えました。