【レポート】フランス生まれの画期的ケア技法 「ユマニチュード」の本格的普及に向けて

フランス生まれの画期的ケア技法 「ユマニチュード」の本格的普及に向けて

先進国の多くで社会の高齢化が進み、高齢者介護や認知症ケアが課題となっているなか、フランスで開発された「ユマニチュード」というケア技法が注目されています。
ユマニチュードは体育学の教師だったイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が作り上げたケア技法で、その名のとおり、「人間らしくあること(Humanitude)」をベースに体系づけられています。
日本においても総合内科医の本田美和子医師らによって導入され、その有効性の科学的研究が静岡大学の竹林洋一教授により行われています。NHKの「クローズアップ現代」でも紹介されご覧になった方もおられるかもしれません。

今回のイベントでは、ジネスト氏をお招きしユマニチュードとは何か、その技法と理念について講演していただきました。また本田医師、竹林教授にもご参加いただき、臨床例や研究成果についてお話しいただきました。

叫び暴れる認知症患者が穏やかに

ジネスト氏の講演に先立ち、本田医師によるブリーフィングが行われ、会場のスクリーンに、看護師からケアを受ける認知症患者の女性が抵抗し、叫び暴れる様子が写しだされました。※
「看護師が患者を風呂に入れようとしていますが、この方は自分がどこにいるか、だれに何をされているのか理解できていないので、不安になり戦っているのです。」
「一般に医療現場では、患者さんは自分の病気を治してほしいので医療者に協力的ですが、認知症をお持ちの場合はそうなりません。こちらの看護師も優しく経験のある方ですが、優しい気持ちを持っていても、それを相手の方に届けることができなければ、穏やかなケアの実現は非常に難しくなります。」
「そうした課題があるなか『ユマニチュード』についてたまたま航空会社の雑誌で知ってフランスに行き、実際のケアの現場を見て日本でも導入できると確信を持ちました。ジネスト先生に病院のスタッフへの指導もしていただき、日本で5年ほど実践しています。」
「冒頭の患者さんがユマニチュードの技法を学んだスタッフによるケアを受け、どのように変化したかをご覧ください。」
暴れていた認知症患者が看護師の方と穏やかにやりとりをする様子が映し出され、ユマニチュードの技法が効果を上げていることが示されました。
※映像は患者さんのご家族が研究に資するために特別に同意され撮影されたものであるため、会場内での撮影は固く禁じられていました。

ユマニチュードを導入して医療にあたっている本田医師

ユマニチュードを導入して医療にあたっている本田医師