【レポート】講演討論会 日仏イノベーションの年~日仏経済関係の課題と展望

成長戦略における日本のイノベーション政策とは?
そして実現している技術とは?

講演の後半は、経済産業省内閣官房参事官日本経済再生担当の片岡進氏が成長戦略におけるイノベーション政策とその成果について語った。

現在、政府が取り組んでいるのは、「イノベーション・ナショナルシステムの再構築」。フランスと同様に日本でも産学協同のエコシステム構築が重要だと認識し、イノベーションを創出するシステムを構築しようとしている。この政策を実現するためにドイツをモデルにして公的研究機関に大学と産業界をブリッジさせることをミッションとさせた。さらにスタートアップのベンチャーのエコシステム構築。そして、産学連携を強めるオープンイノベーション。そして、技術のシーズを生み出す大学改革を挙げた。大学改革では、成果を出した大学には予算を多く配分するという競争原理を導入した施策を実現させるという。

二つ目の柱となるのは「改革2020」。自動走行カー、水素社会、ロボットをテーマにオリンピックまでにこれらの先端技術を世界にお披露目しようというものだ。現在は、自動運転の車を実際に走らせる場所を選定、水素バスの運行計画の策定、空港で外国人をお出迎えする案内ロボットや荷物運搬ロボットの実証実験などが計画されているという。三つ目の柱は、IoTやビッグデータ、人工知能などによって起こる第4次産業革命への対応。人工知能とロボットテクノロジーの融合によって無人の自動走行やドローンによる商品運搬、予防医療、製造、物流の革新などの新しい社会を作るためのテクノロジーを数年内に世界に先駆けて実用化しようとしている。 そして、日本政府が掲げているGDP600兆円実現のための政策についての説明がなされた。それには、これまで説明してきたテクノロジーや重点分野が鍵になるだろうとしている。

実際に成果が出ている分野についても言及。再生医療においては臨床から実用化までの許認可のスピードが世界でもっとも早くなり、世界からも注目が集まっているという。実際に心臓の筋肉を再生するシートや網膜再生において実例が出てきており世界をリードする分野となることが期待されている。エネルギー分野でも電力自由化にともない、グローバルな連携などが実現してきている。農業においては、特区を認可することで大手企業が農業に参入することを発表している。

このように日本政府の成長戦略が具体的なアクション、そして生み出している数々の成果を発表して片岡氏の講演は終了した。