【レポート】講演会『2016年の世界経済予測と展望』

潜在的経済成長率にストップがかかっている米国

まずは米国の経済状態についてさまざまな数値から分析。リーマンショックの後は順調な回復を示しているように見える米国経済ですが、実は企業の投資に動意が見られない潜在的経済成長率にはブレーキがかかっていることを指摘。それは生産性を示すグラフから読み取れると言います。現在の米国経済は、サービス業でも製造業でも生産性が上昇しないという状況に陥っていると。

現在、米国は株価も住宅価格も上昇してきており、2013年以降は正常化しているにも関わらず、金利をあげることもなくマネーをバーナンキ議長の「ヘリコプター・ベン」と呼ばれる増刷しマネタリベースを増やしているFRBの施策は謎に満ちていると述べました。

堅調な日本経済の問題は少ない、未だトンネルから抜けられない欧州経済

日本の経済に関しても分析。デフレ脱却という難しい課題を克服し安部政権の三本の矢政策もあって景気は上向いていると指摘。

「日本経済は堅調で、心配は少ないはずだ」と述べました。

一方で欧州経済は未だトンネルから抜けられないと指摘。その理由としては債務が減ってこないために貸付や投資も増えない。エアポケットに入ったままの経済状態が続くだろうと予測しています。

米国、日本、欧州という世界経済の半分を占める経済圏の予測を締めくくる言葉としては、「非常に良いわけではないが、悪いわけでもない」とのこと。

そこで世界経済の行方を左右するのは新興国の経済になると指摘しました。