【レポート】「ブラッセルから見た欧州連合の内幕~その組織的実態と展望」開催

「多様性のなかの統一」欧州連合の歴史とその組織の変遷

「今日は、欧州連合という不思議な生き物について、お話をしたいと思います」フランス人らしいウィットの効いたひと言でバサール氏の講演が始まりました。

「欧州連合を語るとき、まず多様性の中の統一という観点から説明をしたいと思います。19世紀の作家であるヴィクトル・ユーゴーは、いつか、欧州諸国が、それぞれの特徴や名誉ある個性を失うことなく、大きな一つのまとまりとして緊密に融合し、ヨーロッパの友愛を体現する日が訪れるだろうと言い、19世紀から統一は夢見られましたが、その後、3つの大きな戦争を経て、現在28か国からなる欧州連合ができています」と歴史的経緯を説明。

「欧州連合は、当初、1952年の欧州石炭鉄鋼共同体という組織から始まり、1965年にブリュッセル条約を経て、1967年に欧州経済共同体(EEC)という組織が生まれました。しかし、参加国が増えるにつれて、参加者が多くまとまらない組織となり、またそれまでの諸条約との整合性を考え、欧州憲法条約が作られました。しかし、2005年にフランスやオランダの国民投票でこの条約の批准に反対する結果となり、これを受けて「熟慮期間」が設けられました。その間、加盟各国から寄せられた批判により内容を改善したリスボン条約が2007年に調印され、2009年に加盟各国すべての批准を得て発効しました」
難しいテーマを、ポイントを押さえてわかりやすく解説しようという氏の配慮が見られました。

難しいテーマを、より平易な言葉で解説するバサール氏。

難しいテーマを、より平易な言葉で解説するバサール氏。