築地、そしてフランスとの関連知識が参加者の頭に入ったところで、今度は、築地場外に店舗を構える店主の方々、そして、日本随一のフレンチシェフが、築地の移転に伴い、築地にどのような影響が出るのか、それを場外市場の店舗がどのように受け止め、活性化させていくかについて、議論していただきました。
まずは、モデレーター として参加された 丸ノ内ブランドフォーラム会長である片平秀貴氏から、それぞれの方々の紹介がありました。

講演会をまとめあげ、的確なコメントで盛り上げる丸ノ内ブランドフォーラム会長、片平秀貴氏
野菜や果物を扱う株式会社定松 代表取締役である牧 泰利氏から、定松の歴史的経緯をお話しいただきました。また「築地の店は、産地の情報に詳しい。買っていただく方々に産地の情報を提供し、プロとして最高の品物を提供するだけでなく、いろんな商品情報をお届けしていきたい」と意気込みを示されました。片平氏から、「今日、買うとすればどんなものを買えばいいですか?」との質問に対し、「いま旬のいちごですね。また、みかんもすばらしいものが多いです。日本の柑橘類は世界的にも素晴らしいと思います」と、日本の果物の品質の高さをアピールされていました。

「熟成肉は、フランスだけでなく日本でもおいしいものがあります」と日本の肉製品をアピールする近江屋牛肉店の寺出社長。
「どのように肉を料理するのか、買われる方の希望を伺って、それに合ったものをオススメするのが私たちの使命です」

築地で店を営むプライドをそれぞれに語る場外の銘店社長同士の白熱するディスカッション
鮮魚の仲卸の三代目であり、「築地魚河岸三代目」という13年半続いたアニメの監修アドバイザー、そして同名の魚料理店を経営する小川貢一氏からは、「日本は四方を海に囲まれており、四季ごとにおいしい魚も変化します。その魚の食文化を伝えていきたい」という意気込みを語られました。

「築地の食文化はフランスと同じです」と語るドミニク・コルビ氏
ここで聴衆の方より質問が。
「築地市場はいつも混み合っていますが、何時頃に行けば楽に買い物ができますか」との問いに対し、牧氏から、「5時から9時までがプロの時間、10時くらいから13時くらいまでが一般の方の来場する時間帯なので、8時、9時くらいがベスト」となかなか聞けない裏情報も。
また、在日フランス人の方から「日本の伝統として古いものを守っていただきたいが、築地の再開発で、今後伝統は守られるのか」との問いに対し、鈴木理事長から「我々は、食材のプロの集団として、どんな変化をしようとも老舗としてのプライドを守っていくし、そのイメージをお客様に伝える店の作りに各店舗がするはず」と答え、さらに片平氏も、「丸の内が元気がないということで、新たに変えたら、今度は人工的な、あまりにきれいすぎる空間になってしまい、人のぬくもりを感じにくい街になってしまった。築地で働く人の顔とか声とか、そうしたものを感じられるような築地であってほしい」。さらにコルビ氏からは、「フランスにも同じような事例があり、古い市場のごちゃごちゃした感じはよかった、新しい市場はきれいだがとても冷たい感じ」と語り、議論も盛り上がりました。