【レポート】講演討論会“築地の未来に向けて – 日仏協力の可能性”

当日の参加者は80名。会場には築地というテーマに惹かれたという女性の姿が意外に多く、また、築地市場の移転について生の声を聞きたいと、初めて参加された方も数多く来場され、いつもとはひと味違った雰囲気の講演会となりました。
「場内市場の移転で築地がどうなるのか、最近はあまりニュースに出てこないので、今日は勉強させていただきに来ました」という30代の男性。「フレンチの名シェフが来場されるので、ひと目お会いしたかった」という20代の女性など、それぞれが興味を持って参加されておられました。

まず、築地場外市場を束ねる、NPO法人 築地食のまちづくり協議会の鈴木章夫理事長から開会のあいさつをいただきました。
「国内はもちろん、海外の方にも築地ブランドが浸透しておりますが、もともとはプロ相手で小売は少なかったんです。でも、築地市場の移転を視野に、プロでない一般のお客様にも満足いただけるよう、営業時間を拡大し、また商品を小分けにするなど、各店舗が様々な工夫をして小売を行っています」と場外市場をアピール。鈴木さんの「築地への愛」が感じられる言葉で講演会が始まりました。

築地場内の移転後、場外市場のあり方を語るNPO法人 築地食のまちづくり協議会 鈴木章夫理事長

築地場内の移転後、場外市場のあり方を語るNPO法人 築地食のまちづくり協議会 鈴木章夫理事長

次に、「築地とは 歴史と今後の展望」というテーマで、まちづくりのプランニングなどを行う(株)デキタ 代表取締役 時岡壮太氏が講演を行いました。
「江戸時代から続く日本橋の魚河岸が、関東大震災によって壊滅し、水運に恵まれた築地へと移転し、現在は世界最大の市場として、世界中から多くの観光客が来るまでになりました。」と築地の歴史的経緯を説明。
「平日は平均3万人程度、土曜日は4万人程度が130m×400mの場外市場を訪れており、大変魅力的な場所といえます。肉、魚、野菜の食材はもちろん、調味料から食器までさまざまな専門店が、産地の情報なども提供しながらお客様に最善の買い物をしていただくことができるのが強み」と築地の特徴を解説、さらに、「今後補強すべきは、海外の食料品、たとえばワインやチーズなど、新規のお客様や海外からのお客様にも対応していくべき」と、築地の将来をにらんだ新たな取り組みも必要との認識を示されました。

築地移転後の新たな街づくりのイメージを語る、株式会社デキタ代表取締役 時岡壮太氏

築地移転後の新たな街づくりのイメージを語る、株式会社デキタ代表取締役 時岡壮太氏

 

フランスと日本の食材のデータを比較し、詳細に解説をするフランス大使館経済部農務副参事官のニコラ・ベルトレ氏

フランスと日本の食材のデータを比較し、詳細に解説をするフランス大使館経済部農務副参事官のニコラ・ベルトレ氏

その後、 フランス大使館経済部農務副参事官のニコラ・ベルトレ氏が、「日仏間 食品の貿易と投資の現状」と題してスピーチを行いました。
「フランスは、欧州で最大の農業国で、約100万人が農業に従事しており、高品質の食料品の輸出大国となっています」と、フランスの食品の品質保持制度など様々なデータを紹介。
「フランスから日本へは、主にワインやお酒、飲料水、また肉類や乳製品も入ってきている一方、日本からは日本酒や日本茶、帆立貝などの海産物がフランスへ輸出されています。また、フランス料理と日本料理は、ともにユネスコの無形文化遺産に登録されており、世界的に認められています」と両国の食の接点を紹介されました。