【レポート】新大使歓迎会

ここで改めて日仏関係について話す必要がない。さきほど才能あふれる形で磯村さんが既に経済はもちろん、戦略、政治についてもお話しくださったから。ただその中でひとつだけ強調したいことがある。日仏関係の最も重要な基盤となっているもの。それは民主主義であるということだ。民主主義とは空気のようなものではないかと思う。意識することなく存在するもの。空気のようなものであるから存在していることを私たちは忘れがち。今回、確かにテロによる打撃を受けたが、1月11日パリ市内で行なったように、逆にそれらに立ち向かい、自分たちが大切にしている共通の価値観を再確認することによって、またより多くの交流を図ることによって、このようなテロの行動にひるまないということを示していかなくてはならない。

今回は国ではなく、集団によるテロだったが、国レベルにおいても同じことが言えるのではないか。民主主義の国同士が戦うこと、戦争を起こすことはなかった。自由、平和、民主主義のために前を向いてその価値を広く世界に広めていくことが大切ではないか。また私たちは今回のようなテロ事件が発生したから、危険だからと言って内にこもるようなことはしてはならない。自分たちの場所から動かないのではなく、共に前を向いていく必要がある。危険はあるかもしれないが、対策を講じることによって外に出ることを可能にしてくれる。

2015年はいろいろな意味を持つ年になるであろう。日本は自由な国、民主主義の国、平和の国であるということを世界に向かってもっと発信していくべきだ。私としては皆様方と前を向いて歩いていきたい、日本の皆様と友好的な多くの物事に関して協力しあえるような1年にしていきたい、その中で最初にできることは人と人との交流ではないか。本日はそういう趣旨で皆様がお集まりになっていると承知している。国としての対話を大切にし、若者の交流をより一層活発にしていきたい。皆様方と多くのことを共に実現できる年となるよう、祈願している。

ダナ大使のスピーチの後、瀬藤会長が講演会などのパリクラブのイベントを通してこれからも日仏関係を深めていきたいと自身の抱負を述べ、乾杯の発声を行なった。

乾杯の後の懇談会では、多くの参加者が大使を囲み、それぞれの立場での日仏交流の抱負を語り合った。また日仏メディア交流協会のメンバーとの交流を深めることもでき、約110名の参加を得て行われた新大使歓迎会は成功裏に終了した。

(記録:パリクラブ理事 森)