【レポート】新大使歓迎会

磯村氏は素晴らしい経歴をお持ちのダナ大使が今後の日仏関係に手腕を発揮されることを期待された後、大使が直面している課題について触れられた。
現在の日仏関係は磯村氏の60年近い記者生活の中で最高によい状態にある。とりわけ1年半前オランド大統領が国賓として来日された際、日仏の関係が「特別なパートナー」であるとして日仏共同宣言が発表された。それを実現すべく5年間に渡る政治・文化・経済の工程表が作成された。また安倍首相とオランド大統領、岸田外務大臣とファビウス外務大臣との関係は今までの日仏の歴史上例がないほど良好であること。文化関係では日仏会館が設立されてから昨年で90周年。これはサクセスストーリーの典型で、後は微調整が必要なだけ。経済関係は厳しい時代もあったが、現在はルノー・日産関係が良好なのに加え、トヨタはフランスで23万台の製造、新たに500人の雇用を創出しようとしており、かつては考えられないほど日本車が普及している。未開発の部門は戦略問題で、中曽根首相時代、日本がフランスと単独で良好関係を築こうとするとワシントンからにらまれたが、最近は日仏の外務・防衛両大臣会議、2+2が英国よりも1年以上も先行して行われるなど、霞が関外交に新たな風が吹いている。さらに某高級官僚の指摘の通り、日本が直面している近隣諸国との外交問題解決のために豊富な経験を持つフランスと戦略面でのアドバイスをいただきながら協議を行うことが大変有益であろう。以上の全ての環境を包み込む上で、新大使の任務は大変であるが、日仏関係のさらなる発展に実力を発揮されることを願いながら磯村氏はマイクをダナ大使に預けられた。

ダナ大使はまず、新年早々発生したパリのテロ事件、その2週間後に日本人がテロリストの標的になったことに遺憾の意を表明された。
大使のスピーチの概要は下記のとおり。

昨日、日仏文化協力90年について公邸でスピーチした際、数日前に犠牲となった日本人のために冒頭で1分間の黙とうを呼びかけた。本日の会に集まられた皆様は報道の自由、民主主義を支持する人たちである。報道の自由はこれからも守っていかなくてはならないもののひとつであるが、それが個人の中傷になってしまった場合は法による制限がある。そうでないかぎり報道の自由は断固守っていかなくてはならないもののひとつ。
もうひとつ守らなくてはならないのは信仰の自由。報道の自由、信仰の自由が許されているからこそ民主主義が存在するのだと思う。今回、それらが大きな打撃を受けフランスでも日本でも痛ましい結果となった。しかしながら我々は前を向き、そこからひとつの大きなものを得た。悲惨な事件の後、多くの人たちが街に出て、自分たちの意志を表明したのである。予告期間が短かったにもかかわらず、40カ国、400万人の人たちが自発的に外に出て皆が一緒に行進した。これは民主主義と自由の勝利ではないだろうか?