イベントレポート“ケベック州:世界に開かれた北米のフランス語圏社会”開催

日本で人気の「シルク・ド・ソレイユ」もケベックから

ケベックと日本とは経済交流や文化交流などさまざまな深いつながりがあります。最初のコンタクトは、1898年のミッションの来日。その後1930年代までに1000名にも及ぶ宣教師や修道女が日本を訪れ、各地で布教に務めたそうです。

その後モントリオールEXPOや大阪万国博覧会では、それぞれのパビリオンで交流を深めました。1973年にはケベック政府在日事務所が開設され、40周年を迎えています。

経済面では、牛・豚肉、メープルシロップなどの農畜産物、ITゲーム関連、写真光学関連、建築資材などの対日輸出が多く、その金額は年間1億ドルとなっています。「日本は科学技術研究において重要なパートナー。現在14分野で2487の共同研究が進行しています。日本の35の大学とケベックの大学が協定も結んでおり、強い協力体制が敷かれています」とドゥロンジエさん。

文化芸術方面でも活発な交流があります。日本で人気を博している「シルク・ド・ソレイユ」も実はケベックが誇るエンターテインメント。モントリオールはサーカスや舞台アートで世界的に有名な都市だそう。「シルク・ド・ソレイユ」の迫力に感動した人も多いのではないでしょうか。2014年後半も日本各地で公演が予定されているそうです。

このようにさまざまな分野でつながる日本とケベック。今後は日本カナダ経済連携協定やTPPの締結などによって経済面でさらに高いパートナーシップが求められることに。

「2020年の東京オリンピックでは、英語とフランス語が正式言語です。フランコフォニーをさらに拡大していくとともに、それらの人々とさらなる協力関係を築いていきたいと思います。日本におけるケベック州の活動も拡大して、日本各地の方々と交流を深めていきたいと考えています」。

ドゥロンジエさんは、最後にケベック州政府 経済・イノベーション・輸出大臣のジャック・ダウ氏の次のことばを紹介して、講演を終えられました。―『日本のパートナーとの信頼を築くためには、時間を要するかもしれない.ただし一度築かれた関係は固く、長きにわたって継続される』。

言語事情からプロ野球招致まで質疑応答も活発に

フロアからはさまざまな質問が出ましたが真摯にご回答いだきました。

フロアからはさまざまな質問が出ましたが真摯にご回答いだきました。

続いての質疑応答では、「カナダにおける日本企業の経済活動ではフランス語は不利ではないか?」、「TPP参加のメリット、デメリットは?」、「教育現場におけるイマージュ・メソッドとは?」「ケベックの放送政策について教えてほしい」、「シェールガス開発の現状は?」など多岐にわたる質問があがりました。それらに対してドゥロンジエさんは、「経済活動においてフランス語は決して不利ではない、むしろ英語とのバイリンガルは強みになる」、「日本とケベックがTPPの枠組みに入るかどうかはまだ不明であるが、全体としては賛成の意向。自由経済推進や移民促進のためにも、ヒトやモノが自由に行き来できるのは良いこと。デメリットはあるかもしれないが全体としてはプラスに働くと思う」、「イマージュ・メソッドとは、フランス語を教えるのではなく、フランス語で各教科を教える教育手法。バイリンガルの育成に役立っている」、「ラジオ放送はカナダ政府の管轄であるが、テレビについてはアメリカの番組や英語の番組などの時間枠が決められている」、「シェールガス開発は市民運動の反対もあり現在は中断中。自然環境と開発のバランスをとりつつ資源開発をすることが課題」と回答してくださいました。

最後にプロ野球チーム「モントリオール・エキスポス」のフランチャイズの可能性はあるか、との質問には「ケベックでは最近はサッカーッが盛ん。もちろん野球も人気がありますが、プロ野球のフランチャイズについて私はよくわかりません」と答え、会場が笑いに包まれました。