イベントレポート 第61回Rendez-vous Franco-Japonais 開催「フランスは2014年の世界情勢をどう見ているか」

二国間協定のルートマップをもとに
さらに確かなパートナーシップを

「日仏間は他に類を見ないほど親密で深い関係にあります」と話すマセ駐日大使。昨年のオランド大統領の訪日は、1982年のミッテラン大統領、1996年のシラク大統領の訪日に続く3回目でしたが、その際に締結した二国間協定についてルートマップをもとにさらに確かなパートナーシップを実現させていきたいと話します。

身振り手振りを添えて熱心に話すマセ駐日大使。

身振り手振りを添えて熱心に話すマセ駐日大使。

日仏間は、これまでさまざまな先人たちの努力によって親密な関係が築かれ、両国は共通の価値観を有しています。文化的側面でも多くの交流があり、それを示す展覧会なども多く開催されています。例えば、この2月から4月までパリ日本文化会館では「蚕-皇室のご養蚕と古代裂 日仏絹の交流」展が開かれ、日本では4月26日から神奈川県立歴史博物館で特別展「繭と鋼 神奈川とフランスの交流展」が開催されています。こうした深い日仏関係を土台として、今後それをどのように時流に乗せていくか、来る安倍首相の訪仏の際には、さまざまな課題について話し合われる予定といいます。

まずは政治・外交面での課題。今年の1月に開かれた日仏外務・防衛閣僚会合の際には、双方の信頼と方向性が確認され、地域及び世界の平和と安定に向けてこれまで以上に積極的に貢献することが確認されています。首相訪仏時には、日本企業の関心が高まっているアフリカの安定化や北朝鮮、ウクライナなどの地域的な安定のほか、サイバーセキュリティなども議題に上がる予定です。

会場の八芳園ウィンドの間には130名余の参加者が駆けつけ、熱心にお話しに耳を傾けました。

会場の八芳園ウィンドの間には130名余の参加者が駆けつけ、熱心にお話しに耳を傾けました。

経済面での課題はグローバル化への対応と経済成長の促進。これは両国における共通の問題とのことで、特に若い人が希望の持てる社会、働くことによって将来が開ける社会をどう創出するか、さらに公共財政の見直しなどについて、双方で意見交換される予定です。マセ駐日大使は『パートナーシップ』が日仏の経済関係を考える上で最も重要なキーワードあるとも指摘。企業同士の提携や技術分野での市場開拓、原子力エネルギーでの共同事業などを推進していくとともに、気候変動やCO2削減など自然環境問題での協力もさらに進めていきます。

文化・人的交流も重要であり、とくに若い人を対象とする交流事業も推進していきます。たとえば、大学の学位の相互認証制度はこの5月までには形にしたいとのことです。文化的には今年は日仏会館が設立されて90年という節目の年。秋には京都にある関西日仏文化会館ヴィラ九条山がリニューアルオープンする予定で、さまざまな日仏文化交流イベントが開催されます。さらにスポーツ交流の強化やフランス語の普及、女性の地位の向上といった社会問題についても両国間で話し合われます。

マセ大使は、昨年のオランド大統領の訪日後、日仏関係に数多くの新たな進展がみられており、その一例として在日フランス人が10%から15%増加、とくに若い世代の増加が顕著である、今後もさらに深い絆を結んでいきたいとしてお話しを締めくくりました。