イベントレポート“海苔の美学(おいしさ)とワインとの体験”開催

海苔の栄養的特性と健康機能性について萩野浩志さん

海苔ペプチドについて研究をしてこられた萩野浩志さん

海苔ペプチドについて研究をしてこられた萩野浩志さん

「伝統食品の海苔はさまざまな栄養素を豊富に含み、健康維持のために価値あるものであるということをぜひ知っていただきたい」と話し始めた萩野浩志さん。萩野さんは協和発酵工業で発酵関係の研究をした後、白子の研究開発センター長として、海苔ペプチドの研究に携わってこられました。

海苔は、海の大豆とも呼ばれるほどタンパク質を豊富に含み、水溶性食物繊維、各種ミネラル、数多くのビタミン類を含んでいます。抗酸化ビタミンのビタミンA、C、E、骨の形成を促すビタミンK  貧血予防に重要なビタミンB12、妊婦さんに必要な葉酸などが豊富で、ビタミンKとビタミンB12はシート状の海苔1 枚で、葉酸は海苔4枚で一日の必要量が摂れます。これほど栄養価が高い理由は、海苔の生育環境にあると萩野さんは話します。

血圧降下、冷え性改善などの海苔ペプチドの持つ機能性が明らかに。

血圧降下、冷え性改善などの海苔ペプチドの持つ機能性が明らかに。

血圧降下作用のデータも紹介。薬と違って低くなりすぎないのが食材の持つ機能性ならでは。

血圧降下作用のデータも紹介。薬と違って低くなりすぎないのが食材の持つ機能性ならでは。

久保井会長のお話しにも出たように、海苔は海表面に生育し、潮の満ち引きによって海水に浸かったり、海の上で太陽の光を浴びたり、を繰り返しながら育ちます。海の表面で生活するため豊かな太陽光により盛んな光合成によって高タンパク、高ビタミンとなり、紫外線による活性酸素から身を守るために抗酸化ビタミンを生成、さらに海苔は水分がなくなると死んでしまうため、乾燥から身を守るため保湿成分である水溶性食物繊維、ポルフィランを大量に含むようになります。一方、満潮時には海水からミネラルを豊富に吸収。こうした生育環境が栄養豊富な海苔を育むと話します。

海苔は健康機能成分も豊富です。その一つが「海苔ペプチド」。萩野さんの研究によれば海苔ぺプチドには、血圧低下作用、冷え性改善、肝機能改善、コレステロールや中性脂肪の低減作用などを持っていることが判明しています。血圧降下の研究では、収縮期血圧185/拡張期血圧97の59歳男性が、海苔2枚分に相当する海苔ペプチドを2カ月摂取した結果、140/80まで低下しました。また、水溶性食物繊維ポルフィランには、コレステロール、中性脂肪、血糖値などの低下作用や免疫賦活作用があります。そのほかEPA、タウリン、クロロフィルなどの機能性成分も含まれています。

うまみ成分豊富な海苔とチーズ、そしてワインとの新しい組み合わせに期待

海苔にはうまみ成分も多く、昆布のうまみ成分グルタミン酸、かつお節のうまみ成分イノシン酸、干しシイタケのグアニル酸の3種が含まれています。これらの相乗効果によって、あの奥深い旨みが創出されるのです。

萩野さんは、海苔と油の組み合わせは、海苔のうまみをさらに増強するといいます。例えば海苔とチーズ、海苔とバター・・・。「海苔とチーズ、さらにワインという組み合わせは、新たな相乗効果を生みだし、新しいおいしさを発見するはずです。ぜひ懇親会で味わってみてください」と締めくくり一連の講演会は終了しました。