新しい日仏関係について思うこといろいろ
パリクラブパリ支部長を務めてくださっている浦田さんの講演は、なんと4年ぶり。フランスの生きた “今” のお話を伺いながら、今回は「新しい日仏関係について思うこといろいろ」と題して、在仏の邦人と本邦企業の動向、そしてパリから眺めたアベノミクスや期待される日本企業像などなどについて思う存分にお話いただきました。
浦田良一さん 略歴
1939年大阪生まれ。大阪外国語大学フランス語科卒業後、63年(株)日立製作所に入社。73年、フランスでの家電品の販売会社設立のため渡仏。93年に帰任後、99年同社を退社。同年フランスに進出する化粧品関連会社に転職し、2000年フランスに再び赴任。03年に退職後も、そのままフランスにとどまり、05年在仏日本人会会長に就任。そして翌年06年、パリ日本語補習校設立に伴い同校校長に就任。09年、旭日中綬章を受勲。
パリクラブパリ支部長でもある。
パリから帰国されている浦田さんの貴重なお時間をいただき、2013年の最後を締めくくる、パリクラブ主催の講演会が12月21日開催されました。浦田さんは、肩書きをいくつかお変えになっているうちに、気がつくと在仏35年にもなるという、まさに「パリの日本人」の重鎮でいらっしゃいます。フランスと日本を行き来するお暮らしを実現されていらっしゃる浦田さんだからこそ、見えてくる両国の姿があるのではないでしょうか?美味しいデジュネを楽しんだ後、浦田さんのお話が始まりました。
昔は、日本人の片思い。今は、フランス人が日本に恋している?
「日本好き」というのは、以前はある限られた階層の人たちの間だけのものだったようですが、最近では、近所のカフェのギャルソンや学生たちにもすっかりポピュラーなものとなってきているという、日本ブームの話題で浦田さんの講演はスタートしました。「カフェでギャルソンが「こんにちは」と話しかけてきたり、近所のスーパーのレジ係の人が「日本に行ってきてとても楽しかった。また行きたい!」という光景は、日本旅行は高いし遠い国というイメージだった何年か前までは考えられませんでした」と、浦田さん。「そのきっかけとして、アニメやマンガなどの影響がかなり貢献しているのは、誰しもが認めることなのではないでしょうか。マンガにのっていた「渋谷」に行ってみたい!とフランスの若者が思っているなんて、想像すらしていなかったこと。以前は、日本人が文学や映画あるいはモードなどの影響でパリに恋こがれていたのが、今は日本のアニメやコスプレ、渋谷に寿司、、、にフランス人が夢中になっている。」これが、フランスの現状だそうです。
6~7年前にこじんまりと開催された「JAPAN EXPO」が、いまでは大規模な国際展示会場で開催されるようになって、コスプレして参加する多くの若者たちがメディアの注目を集めてしまう大きなイベントに成長。集客数は毎年のびていて、パリノール・ヴィルパントの会場は今年も4日間で23万人もの集客を動員し、さらに2014年は開催が5日間になるという報告もあるそうです。「たこ焼きなど、日本の屋台文化も紹介されていましたが、小さなたこ焼き器で焼いているからとても間に合わない。普段バゲットを買う以外にはあまり並ばないフランス人(笑)が、ここでは長蛇の列。だったらいっそもっと大きな鉄板で作れば、儲かるのに、、、とついつい余計なことまで考えてしまいました(笑)。」と、浦田さん。このようにアニメを通して翻訳本を出版したりイベントを企画したり日本の文化をうまくビジネスチャンスに転換しているフランス側ですが、日本側も文化を輸出することで、利益をより多くうみだしていける方法をもっと考えていくことで大きな可能性が隠されているのではないでしょうかと、いう課題も提案されました。