イベント報告 『グローバル化とENAの役割と展望』 

講演者 ENA学長 ナタリ・ロワゾ
司会ディスキュタン 磯村尚徳

ENAロワゾ学長の講演を終えて感じたこは、彼女が発信するメッセージが日仏の間の架け橋につながる内容で、パリクラブがまさに講演会をすることによって日仏関係の促進の「触媒」になれるということを身を持って実感したことである。麹町のフランス商工会議所の1階会議室は決して大きくないが、フランス語の講演でもほぼ日本人で「超」満員で熱気に溢れていた。人事院や農林省の霞が関のみならず金融機関、岡山県、中央大学助教授、大妻大学教授、富士通、東電など多彩な顔ぶれの参加が特筆される。パリクラブに多大の関心を皆様、抱いていただいと確信する。

司会をというかdiscutantをお願いした磯村尚徳氏はフランスの競争優位はエリート教育に存するというテーゼをお持ちの方、もっともこの夕べの講演会の司会にふさわしい方。開催3日前のお願いにも拘わらず快諾いただいた。

シオルティノ政務参事官を伴って定刻に現れたロワゾ学長の話しの内容は、よどみない明確なフランス語でいかにENAがグローバル化のなかで内外に開かれた学校になろうとしているかに関するものであった。エリート学校で居丈高に運営していこうとする印象は全くなかった。それは彼女自身が、告白している通り、ENA出身でないこと、初の女学長であることなど、ENAの新たな時代感覚の表れであると感じささせるものであった。3つの開放が強調された。世界、社会、ハイテクの面でENAはfacillitateurになると言明。ファシリタトウールとは間に立ってものごとを円滑に仲裁推進していくこと。このときパリクラブも日仏関係の触媒を自称していることと重ね合わせて興味深かった。

86か国からの外国人学生を受け入れていること、日本は第2位のENAへの留学生派遣国でありこと、恵まれない社会格差のある階層の若い人の特別枠を設けることの重要性、女性昇進の一時的な割り当て制の必要性など民主化政策に取り組んでいるとも強調した。

できればもっと大きな会場で多くの日本人に聴講していただいく価値のある立派な内容であった。終了後の懇親会でも誰とでも打ち解けてお話しされる学長の姿が印象的であった。夕食会ではご自分のこと、3つ子のお子様をお持ちであること、中国語をマスターしていること、最近の国際関係などについて磯村さんも交えて活発に話が弾んだ。

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別添の写真をメールで送るとすぐにお礼の返信が来た。これでENAの学長はずーとパリクラブを関連支援機関のひつとして取り扱ってくれそうな気がして、心が弾んだ。

文責 瀬藤澄彦