講演会「ユーロ危機はどうなる」~統合欧州の行方~

【ご報告】

ロバン氏のこの講演会は120名今日の申込みでここ数年で一番の盛況ぶりであったと思われる。日経映像社からの録画録音取りの要請もあった。1年間、インターネットにアクセスしてパリクラブの主催イベントが世界に発信されるのはまことに素晴らしいことである。

ロバン氏の講演は約45分。3部に分かれて第1部がユーロ危機の経緯、第2部が危機への対応、第3部今後のシナリオごとになされた。フランスを代表する大 新聞の経済欄のトップで、かつ豊富な国際会議取材や要人とのインタビューなどあるだけに一言一言、説得力と重みが感じられた。聴衆者からも「よかった」との声が圧倒的に多かった。同氏が率直に南北欧州の格差が一段と鮮明になる現実を見て、1980年代の通貨同盟時代のように2つの通貨同盟に別れる選択肢もやむを得ないとしてる。ロバン氏が非常に冷静にユーロ危機を観察し、欧州統合作業の逆戻りも視野に入れるべきと言う。欧州レベルの「ニューディール」政策や欧州中銀のもっと大胆な改革、欧州財政政府、欧州産業戦略の立ち上げなどが結論として紹介された。中島氏のパワーポイントの分析は非常にわかりやすく、国別の債務、貯蓄など示唆に富むものが多かった。それによるとドイツはもっと近隣国に寛容な経済政策がとれる余地がある。

3人の聴衆者から質問があった。欧州中銀の政策、ドイツの9月の総選挙、日本EU経済連携協定のインパクト、域内労働力の移動についてであった。

1階のフワイエで大勢のひとの懇談で意見交換がなされた。レスパスでの講師2人を囲んでの夕食会も盛り上がった。

報告:瀬藤

 

【イベント概要】

Jean-Pierre Robinユーロ危機は昨年9月欧州中銀の各国国債買支え(OMT*)の導入以来、銀行間取引の正常化、各国国債利回り格差も落ち着き、またスペイン、イタリア両国も来 年度まで財政赤字の手当見通しなども立って小康状態にある。ユーロ相場は対円で1月14日に11年5月4日以来の120円にまで上昇。ドラギ総裁も「金融 市場は大きく改善」と声明。悲観的見方が後退している。しかし足元では失業率は11月で11.8%で過去最悪、年初の世銀経済見通しでも成長率マイナス0.1%に下方修正され、リセッションが継続の見込み。政治的にも2月下旬のイタリアと9月のドイツの総選挙の結果次第で政策運営に不安が漂う。成長も重 視するオランド大統領の登場で独仏の不協和音、構造問題に手づかずの状態、英国のEU離脱の可能性など中長期的課題は山積。フランスの代表的日刊紙フィガロの経済編集長で各国要人のインタビューや論説記事を通じてマクロ経済解説で著名なロバン氏に今後の欧州統合とユーロ情勢についてご講演をお願いする。日本側の対談相手として経済産業研究所理事長・中島厚志氏に登場願う予定。

*Outright Monetary Transactionsの略

日時 2013年4月9日(火)18:30~
場所 東京恵比寿・日仏会館1階ホール
主催 パリクラブ(日仏経済交流会)
共催 日仏会館 笹川日仏財団 フランス商工会議所(CCIFJ)
後援 ジェトロ(日本貿易振興機構)
講演者 Jean-Pierre Robin ル・フィガロ経済編集長
対談者 中島厚志 経済産業研究所理事長
使用言語 日仏(同時通訳)
懇親会 終了後2階のブラスリー「レスパス」にて 会費2000円(予定)
定員 120名
お申込み締切 2013年4月8日18:30まで
お問い合わせ先 予約確認のメールが届かない場合や、イベントに関してご不明な点がございましたら、下記メールアドレスまでお問い合わせください。
bonjour@parisclub.gr.jp