講演会「2020年の世界―第2幕:グローバル化と地政学的変動の予測」

日仏経済交流会(パリクラブ) 主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)、日仏会館、フランス語振興協議会、フランス語1級の会 共催

【ご報告】

講演の要旨『新たな世界地図の第2幕が始まった』

16世紀から続いていた世界地図は今、5つの新しい地図で塗り替えられようとしている。産業、技術、金融、文化、安全保障の領域では、これまでの先進国の 優位はアジア、アフリカ、中南米の台頭によって崩壊しつつある。2020年に向けて世界は第2幕に入った。同氏が1999年4月に行った第1幕において は、米国型の市場主義の跳梁に対して世界は社会民主的な欧州的モデルによって対抗しえるものかどうかという問題設定であった。それがたった10年で大きく 変貌しようとしている。トロント大学のロジャー・マーチンが著書“Fixing the Games”で述べている通り、果たして欧州は連邦国家として矮小化され結局は衰退していくのか。米国は政治経済の荒廃と危機を背負ってアジア太平洋世界への方向転換の舵取りを急いでいる。混迷を深める世界だが政治面で国連も、経済面でWTO(世界貿易機構)も調停者としての役割を放棄したかのように世界 的交渉はストップしたまである。2010年にカナダで600億通、世界で3兆1100億通に達したインターネットのEメール。このバーチャルな情報世界の 拡がりには国際的な情報のセキュリティ問題の国際的協議は緊喫の課題。2020年には80億に達する人類の食料、水、教育、医療、環境。都市問題に見合っ た世界的なガバナンスはどうなるのか。国連は消滅してG20が統治するのか。国際法を遵守できない中国に期待はできない。インド、ブラジル、南アに民主主義国家の用意はできているか。果たして世界は科学技術の進歩によって問題解決をたどりつけるのであろうか?

ほぼ満員の会場からは、世界政治のガバナンス、アラブ世界や先進国都市のデモの意味合い、若者へのメッセ^-ジ、ソフトパワーについても質問が寄せられた。充実した内容で参加者に変貌する世界について鋭い思索の反省を迫る気迫が感じられた講演であった。

なお同氏は日仏会館のほか、TMF(フランコフォニー)、早稲田大学(人権問題)、明治大学(フランコフォニー)でも講演を行った。

講演後、懇親会カクテルがケベック州政府からの提供で行われ、参加者の間の会話がさらに進んだ。

報告:瀬藤澄彦

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    講演するロワ氏

  • 熱心に聞き入る参加者

    熱心に聞き入る参加者

  • 質問する駐日モーリタニア・ンガム大使

    質問する駐日モーリタニア・ンガム大使

  • モーリタニア大使公邸

    モーリタニア大使公邸

 

【イベント概要】

今回の講演会は、世界フランス語圏機構第二代事務総長、元カナダ・ケベック州駐仏代表、モントリオール高級日刊紙Le Devoir元論説主幹で、作家・ジャーナリストのM.Jean-Louis Royを講師にお迎えします。新興諸国の台頭を中心とした世界政治経済地図の地殻的変動が日に日に速度を上げて進行しています。日本でもこれを論評した講 演や記事・著作は枚挙にいとまがありませんが、北米大陸のフランス語圏の中心であるケベック州の外交官としてフランスに駐在し、北米人だけでなく欧州人の 感性も持つ講師の目に、2020年の世界がどのように予測されるかをお話し頂きます。

日時 2011年11月29日(火)
18:30~20:00 講演会
場所 日仏会館ホール
講師 M.Jean-Louis ROY
世界フランス語圏機構第二代事務総長*、元ケベック州駐仏代表、元le devoir論説主幹、作家 *同機構事務局はパリに置かれています
使用言語 仏語(仏日通訳付き)
会費 無料
お申込み締切 2011年11月29(火)の当日まで登録できます。
※要事前参加登録
お問い合わせ先 ご不明な点がございましたら、下記メールアドレスまでお問い合わせください。
bonjour@parisclub.gr.jp