講演会「日本の文化発信・パリ日本文化会館の運営を振り返って」

日仏経済交流会(パリクラブ) 主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ) 共催

【ご報告】

「ポップカチャー隆盛の昨今、伝統芸術に立脚した真の文化ルネッサンスを提唱したい」。本年3月末まで勤めた第2代パリ日本文化会館館長・中川氏の今回講演の結論である。

当日参加も含めた64名の参加者を前に6年半の在職経験を通じて中川氏が語った講演内容のポイントは次の3点である(以下「・・・」、中川氏ご本人の文 筆)。まず第1点、「文化は一国の存在感ないしは評判をつかさどる上で最早プラスアルファ―的なものでは無く、国の成熟度を示す尺度でもある、日本は豊か な文化を有するがSoft Powerとしての発信がまだ充分ではない。この意味ではパリ日本文化会館のフロントラインにおける活動は大切な役目を担って いる。第2点、文化発信は国と民間の両輪で推進されるのが望ましいが、日本の国としての文化予算はフランスの八分の一程度。民間支援を高めるには果敢な税 制特典の施行が必要。(フランスのメセナ税制では寄付額の60%を法人税からの控除が許される)。第3点、日本の民間企業からの文化支援は多くの場合、幅 の広いCSRの範疇で実施されているが、文化支援メセナは数ある内の一つとの位置づけに安住されないことが望ましい。」

熱弁の後、関心をそそったパリ日本文化会館のDVD映を会場利用時間の都合で全部を 最後まで鑑賞することができなかったのが唯一、残念であった。日本の 文化発信を真剣に考えさせられる講演であった。講演後のカフェテリアでは多くの会員が名刺交換をしてまたとない懇親の場となった。会場と飲み物をご提供し ていただいたBNPParibas証券東京支店に心よりお礼申し上げたい。

瀬藤澄彦

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【イベント概要】

ひとつの国の存在感は政治、経済、文化、国防の四つの要素から評価されるのが常であるが、特に文化は近年Soft Powerという言葉がもてはや されている如く、一層注目を浴びる時代となり、その発信力の充実が求められている。商社マンから文化会館運営の仕事に転じた前パリ文化会館館長が語る日本 文化発信の最前線における経験と問題点。

日時 2011年10月14日(金)
18:30~20:30(開場18:00)
場所 BNPパリバ証券東京支店
東京都千代田区丸の内1丁目9番1号 グラントウキョウ・ノースタワー
17階スカイロビー セミナールーム
※JR東京駅・八重洲北口より徒歩約1分
http://www.grantokyo-nt.com/access/index.html
講演者 中川正輝
独立行政法人国際交流基金 パリ日本文化会館 第二代館長
講演者略歴 1941年生まれ 慶応義塾大学卒業 在学中に2年間フランスGrenoubleに留学。
1966年三井物産入社 本社・New York・Parisに勤務、その後会長秘書、フランス三井物産社長、在仏勤務中に本社理事・在仏日本商工会議所会頭・パリ商工会議所日仏経済交流委員会 副会長を歴任し、1998年フランス共和国より国家功労勲章を受章。
2001年三井物産を退職し小野田化学工業理事に就任し3年間米国に勤務。
2004年国際交流基金よりパリ日本文化会館の運営を委嘱され、2005年4月同館の二代目館長に就任。6年半に亘り同館事業の活性化に努め、2011年3月退任し帰国。
使用言語 日本語
懇親会 講演終了後同階カフェテリアにて講演者を囲み懇親会
会費 3,000円/人
※締切日以降はキャンセル料がかかりますのでご注意ください
お申込み締切 2011年10月11日(火)18時30分