第47回ランデブー・フランコ・ジャポネ《日本におけるフランス投資》

日仏経済交流会(パリクラブ)主催
在日フランス商工会議所(CCIFJ)共催

日時 2005年10月26日(水)18時30分~20時30分
場所 京橋メルシャンサロン
ゲスト 在日フランス商工会議所専務理事 ディディエ・ホフマン
参加人数 39名

1026-hoffmann今回はゲストに在日フランス商工会議所専務理事ディディエ・ホフマン氏をお迎えして、彼の専門分野である『日本におけるフランスの投資』についてお話を伺い、日仏両国間の投資の状況について、最新の綿密な統計の助けを借りて、真摯な分析を披露していただきました。

はじめに、フランス企業が如何に熱心に日本への進出を推進してきたかについての説明があり、世界第二位のGNP、高い購買力、流通インフラの整備な ど、フランスから見た日本市場の魅力が最近の統計によって示された。日本はフランスにとっては9番目の顧客であり供給者である。一方フランスは日本にとっ て14番目の顧客であり12番目の供給者だ。

2003年1月31日、小泉首相は施政方針演説のなかで外国の直接投資を迎え入れることを最優先課題とし、5年で投資額を倍増すると述べた。数量的 には目標を達成する過程にあるが、内容的には矛盾した部分もある。なお、2004年の前年比増大分の半分は合併、吸収という類のものであり、あとの半分が 親会社から子会社への送金であった。

ところでフランスの日本への直接投資は1997年から2002年の間に13倍となり、これまでの総額は110億ユーロ、アメリカに次いで二位となっ ている。2004年度については前年比7.8%増の8億6100万ユーロであった。こうして現在フランス企業はルノー・日産、ダノン、日本ロレアルなど約 600社が日本に進出しており、その領域は多岐にわたっている。フランスの投資は主に子会社設置の形をとっており、東京へ集中している。

このようなフランス企業の日本への進出は、日本経済市場の開放とフランス企業の国際化の結果であり、両国政府が《le Japon, c’est possible》や《France Japon, l’esprit partenaire》などのキャンペーンをつうじてのサポートの賜物だ。

しかし今日、両国の関係はその性格を変えつつある。2004年には合併・買収などのオペレーションが減少している一方で、パートナーへの参加が増え ている(ラファージュ、ロレアル、ルノーなど)。また販売拠点が増えているフランスの進出セクターがあり、それは特にデラックスおよび食料品部門で顕著で ある。さらに、日仏のパートナーシップによって第三国でのオペレーションの企ても多くなりつつある(千代田化工とテクニップなど)。

一方トヨタをはじめとして日本企業400社がフランスに進出しており、パリあるいはイル・ド・フランスに限らず、地方へ工場、研究所などが分散している。

将来の展望として、日仏経済関係の活発さが持続することは言を待たないが、競合はより激しくなるだろう。発展の軸として(1)消費財部門の地位の確 保(2)環境、健康、ナノテクノロジー、革新的なプロセスや製品と結びついた資材など、非常にポテンシャルの高い工業に照準をあわせること(3)サービス 部門の強化(4)新たなテクノロジーでのパートナーシップを互いに求めることが必要となるであろう。

【ディディエ・ホフマン氏略歴】
オートアルザス大学で国際貿易学を専攻、1986年、ストラスブール商工会議所に入所。1989年から、在ドイツフランス商工会議所勤務。1999年8月 から2002年8月まで在リスボンフランス商工会議所専務理事。2002年9月から、在スイスフランス商工会議所専務理事を務め、今年2月在日フランス商 工会議所の専務理事に着任した。