パリクラブのネットワーキング

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「フランス人は人生の楽しみ方を知っている。
私も彼らのようでありたい」(足立)

瀬藤 対日キャンペーン時代から「ファッション、グルメ、香水」イメージのフランスから「ハイテク、中小企業、地方」のフランスへの転換が叫ばれました。我々もフランスの地域圏については、学ぶべきことが多いと感じています。フランスでは92あった県を20の州に統合して、予算編成などの権限を地方に大幅に与えました。その結果、10年くらい前から農村部の人口流失が止まり、日本のような過疎化現象は見られなくなりました。また、地元に根づく中小企業も、実に活気にあふれています。日本では農村部だけでなく、地方都市でもエネルギーが失われつつありますから、フランスの例えば「美しい村運動」などを参考するといい。

坂下 常に新しいものを吸収し、変化していくダイナミックさは、日本という国の素晴らしさです。でも、そうしたお話を伺いますと、パリを訪れるたびに感じる、悠久の歴史の中で決して変わらない本質的な美しさ、それを愛でる精神文化といったものを、もっと大事にしなければと思いますね。

足立 確かに、経済成長の一方で、“人生の楽しみ方”についてはやや疎かになっていたかもしれません。ゆっくりバカンスを取り、ご夫婦で出かける機会も多いフランス人の暮らしぶりに触れますと、私も彼らのようにありたいと思うんです。

瀬藤 日本とフランスでは、男女の関係が決定的に違いますね。女性の自由度が広がっているように見えますが、まだまだ束縛されている部分も多いのです。日本という国がもっと成熟するためには、女性の自立が欠かせません。それによって、労働力の向上も期待できますから。

「若い世代が肩の力を抜いて参加
できる企画が増えるといいですね」(坂下)

瀬藤 クラブのさらなる発展のために、いま、新しい試みをいろいろ企画中です。10月はワインのブラインドテイスティング、12月はパリの日本人会会長が帰国するので、現地で暮らす日本人の暮らしの変化について伺います。そして、来春には、フランス大使の講演を実現できたらと考えています。みなさんにも、パリクラブに望むことをぜひお伺いしたいのですが。

坂下 会長は「もっと若い世代の会員を増やしたい」とおっしゃっていますが、パリクラブの活動に興味を感じている20~40代の友人は、実は少なくありません。ただ、イベントのテーマによっては“敷居が高い”と感じているようです。ワインテイスティングのような、参加しやすい企画、緊張感を保ちながら肩の力を抜いて集えるものが増えるといいですね。また、経済界の方々をお招きして講演を行った後、小グループでディスカッションをやるのはいかがでしょうか? 会員同士がより深くコミュニケーションできるのでは、と考えています。

足立 以前は、パリクラブの理事の方のご尽力で、銀座のメルシャンサロン、シーボニアクラブなどをお借りして定期的に集まっていました。“ランデブー・フランコ・ジャポネ”と言っていましたが、そこに行けば誰かしら会員がいて話ができる、新しい会員の方も早くなじめるというわけです。そんな場所があると楽しいですね。

瀬藤 そうですね、ご提案については早急に検討したいと思います。いま、会員倍増計画を実行中で、そのためには会員全員が参加できる、透明度の高い組織づくりを考えています。序列をなくしてフラット化し、女性や若手をどんどん登用していきたい。また、会員がお互いを人的資源として活用できる、異業種交流会のような側面も盛り上げていきます。今後のパリクラブにぜひご期待ください。