【レポート】磯村名誉会長時局放談会「2018年は欧州の年 その出足は!」第一部

中国で確かな商才を見せたマクロン

以上が内政面でマクロンに吹く順風ですが、外交面での順風は、ほとんど失点がないほどです。マクロンは40歳になったばかりなわけですよね。そんな若い人ですから、ナポレオンのごとく3,4時間しか寝ないらしいですね。そして全世界を飛び回って八面六臂の活躍をしています。今年に入ってからだけでも、1月7日の松の内に習近平国家主席と会っている。マクロンは記者会見で、「私はトランプのように、習近平と握手するために2200億ドルの商談をまとめたなどというバカなことは言わない」と言ったのですが、実際には184機のA320を売ることに成功しました。さらにこれからA350も売るといった商談もある。ル・ドリアンさんに聞いたところ、マクロンさんは日本が大好きで、選挙中から「自分は大統領になったら1年以内に是非行っておきたい国がある。それはアメリカと中国と日本だ」と周りの人に言っていたそうです。大変ありがたいことですが、これは間もなく実現すると思います。

マクロンの演説に涙するバランシエンヌのトヨタ労組委員長

マクロンの日本に対する感覚を示す、もう一つのいいニュースがあります。これはBSのニュースで見たのですが、パリからA1で2時間のところにバランシエンヌという町があって、そこにトヨタの工場があります。23万台のヤリスを作っているわけですけど、今度新しい工場を建設して、日本ではカローラにあたる車を作る。そのことによって700人の新しい雇用が生まれることになったんです。マクロンは、その開所式に飛んでいって演説をした。最初この地に工場を開いたときは、周りから散々色んなことを言われたらしいですが、今や共和国大統領が来て、この工場の功績がいかに日仏の関係に尽くしたか、そしていかに良質な車を作ってきたかを話している。最後に「私は誇りに思う」とマクロンが言うのを聞いて、労組の委員長が涙を流していました。パリクラブの方はそんなことはないと思いますが、日本人には、フランス人は合理的で浪花節ではないという偏見があります。しかし、フランス人というのは、実際には情にもろいゆえにうるさく理屈を言うわけですね。労組の委員長が涙をポロポロ流しているのをテレビで見ながら、何よりも良き日仏関係の象徴だと思いました。

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