【レポート】セミナー「ラベルから見るフランスと日本のワイン」

日本ワインのラベルのルールが変わる

講義は、そんなOIVが発表している統計資料を紐解きながら、世界のぶどうやワインの生産量、消費量などグローバルなワイン事情について解説。作付面積を伸ばしているのが中国やトルコである一方、欧州は生産量をコントロールするために作付面積を減らしているそうです。こういった統計資料があるのもOIVという団体のおかげなのです。

そして、お話は本題である日本のワインラベルについて。日本では、世界の多くのワイン生産国とは異なる独自のルールが適用されていました。
それは、基本的には業界の独自基準で運用される、言わば75%ルールでした。

例えば、産地表示を北海道とするなら、北海道産のぶどうが75%使われていれば北海道産と表記することができるし、品種表示がピノノワールとなっている場合は、75%がその品種であれば、残り25%が他の品種でも良いというもの。

この独自ルールと業界の自主運用が限界だということで、2015年10月30日の国税庁告示「果実酒等の製法品質表示基準を定める件」(国税庁告示第18号)によってワインのラベル表示を規律し、酒類の地理的表示に関する表示基準を定める件(国税庁告示第19号)で「地理的表示」の指定手続きを定めました。

これによって、国内製造ワインの中から、国産ぶどうのみを原料とし日本国内で製造された「日本ワイン」と濃縮果汁などの海外原料を使用したワインとでラベル表示が分けられることになるそうです。とりわけ、日本ワインに関してはこれまでよりも厳しいルールが適用されるそうです。改めて日本ワインについてのラベル表記をまとめてみました。

日本ワイン

■「国内製造ワイン」のうち、果実酒で、原料の果実として国内で収穫されたぶどうのみを使用したもの。

■原料として水を使用したものを除く(濃縮果汁を希釈するために水を使用したもの、酒類に水を加えたものなど)。

■日本ワインに限り、地名を表示できる(同一の収穫地で収穫されたものを85%以上使用した場合の当該収穫地を含む地名)。

■表ラベルに品種名を表示できるのは日本ワインのみ。(日本ワイン以外のワインは裏ラベルに表示)

■表示できるのは、表示するぶどうの品種の使用量の合計が85%以上を占める場合のみ。

となります。これまで、75%の同一産地で獲れたぶどうを使っていれば産地表示できたものが、85%となっています。例えば、日本ワインの産地表示が「北海道」であれば、北海道産のぶどうが85%以上使っていることが条件となり、さらにその収穫地で収穫されたぶどうを使って同じ場所で醸造すれば地名を(例えば、余市ワイン)表示できるようになるそうです。

ワインを試飲しながらの講義となりました。

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