【レポート】講演会『欧州新経済地図の展望』

ユーロ圏の国別レビュー

ルフルニエ氏の講演の第2部は、ユーロ圏のレビュー。国が借金をすることは悪いことであるという意識が強いドイツは、確かに健全財政となっている。VWのスキャンダルが今後、どのような影響をもたらすか読めない部分はあるが、ドイツはユーロ経済を牽引している存在となっている。

ユーロ圏の内需のレビュー。ここにおいてもドイツが最も堅調である。フランスも内需は拡大しつつある。悲劇的だったのはギリシャで、ユーロ圏に加入したことでバブルになり弾けてしまったことである。ギリシャには緊縮財政は悪という考え方もあるようだが、それをやめて放漫財政に向かえば、今後の成長は余りないと予測される。それに対しスペインは、過剰な投資を清算したことで内需が拡大し、年率4%になり欧州でもっとも高いスコアを記録するようになった。

公的債務についても注目すべきはスペインである。緊縮財政を採用したことで公的債務を減らすことに成功している。ここでも優等生のドイツは財政黒字によって公的債務も縮減している。その他、経常収支でもドイツとスペインが注目すべき改善を示している。

ヨーロッパ経済について、豊富なデータを示しながら比較します。

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そして、最後はユーロの難民問題について言及。ドイツが積極的に難民を受け入れているが、2015年にはドイツの労働人口の2%に相当すると言います。その状況をルフルニエ氏は、難民の受け入れは労働力不足に悩むドイツのソリューションになるだろうと指摘した。難民を受け入れることで、雇用と消費が生み出され良い意味でのインフレが起きるだろうと予測。ドイツが難民の扉を開くことは良いことだと指摘しました。