イベントレポート 日仏会館・日独協会 共催シンポジウム 「日仏独における子育ての支援 ―それが少子化問題に与える影響」

子どもを産むか産まないかは、女性が決める社会へ井上たか子名誉教授

以上3名の日独仏のパネリストたちの報告をうけて、シンポジウムのテーマのスペシャリストである井上たか子獨協大学名誉教授が、全体を総括しました。

コメンテーターの、獨協大学名誉教授の井上たか子さん。現代フランス・ジェンダー研究、主な著書に、「フランス女性はなぜ結婚しないで子供を産むのか」、「EUのジェンダー平等政策とフランス」、新書に「フランスのワーク・らいふ・バランスー男女平等政策入門:EU、フランスから日本へ」など。

コメンテーターの、獨協大学名誉教授の井上たか子さん。現代フランス・ジェンダー研究、主な著書に、「フランス女性はなぜ結婚しないで子供を産むのか」、「EUのジェンダー平等政策とフランス」、新書に「フランスのワーク・らいふ・バランスー男女平等政策入門:EU、フランスから日本へ」など。

「お三方のお話を伺い見えてくることは、ドイツ、フランス、日本、それぞれ結婚に関する意識が違うということ。そして子どもを産むか産まないかを、女性本人が決めるということも大きな違い」と井上さん。日本では、中絶が早くから認められていて、女性たちはこれを『産まない権利』と勘違いしているところもありますが、「これは産む権利であり、いつ産むか自分で決める権利」として再認識してほしいと付け加えます。日本では”婚外結婚”も認められていないので、必然的に出生率も下がりますが、国が子育て支援に対して多くの政策を検討、実行していることの報告は、少子化問題、高齢化社会を背負った今日への朗報。「国だけではなく、企業に対してもぜひ期待したい」と井上さん。フランスでは企業からの支援も大きく、働く人たちのための家族手当を事業主が負担しています。「日本でも、女性が活躍する会社は業績もいいという結果がでているので、ぜひ女性が働きやすい環境を作ってもらいバッグアップをお願いしたい」と。そういう環境が整えば、日本の親たちも安心して子育てを楽しめるのではないでしょうか。
日本が独仏と子育て支援に対してまったく同じにするのは、さまざまな局面の問題があり難しいですが、国に求めるだけではなく、集団あるいは個人レベルでの意識改革はすぐにスタートできるのではないか思われます。今回のシンポジウムは、フランスやドイツの女性たちの姿をヒントに、新たな結婚観や価値観とともに日本女性の新しい生き方を示唆するものとなったようです。

参加者からの質疑応答のあと、3国のワインが用意された懇親会がなごやかに開催されました。

参加者からの質疑応答のあと、3国のワインが用意された懇親会がなごやかに開催されました。